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2022.06.18

From北海道新聞

〈これが旬!〉十勝管内足寄町*日本一巨大 ラワンブキ*独特の香り爽やか 郷土自慢の「遺産」

北海道新聞記事
北海道新聞記事
ラワンブキを収穫する鳥羽秀男さん(左)と昇子さん
ラワンブキを収穫する鳥羽秀男さん(左)と昇子さん=9日、十勝管内足寄町鷲府

 「日本一大きなフキ」として有名な十勝管内足寄町のラワンブキ。同町東部の螺湾(らわん)地域に自生しているが、近くの河川の氾濫や乱獲などの影響で、少なくなってきている。町内では保護の観点から栽培も行われており、6月初旬から7月中旬に収穫期を迎える。独特の爽やかな香りが立ちこめるフキ畑を訪ねた。(文・有田麻子、写真・舘山国敏)

 9日、町鷲府(わしっぷ)の鳥羽(とば)農場。背丈が2メートル超、直径3~6センチの太さのラワンブキが群生し、ハーブのような香りが漂う。ラワンぶき生産部会会長の鳥羽秀男さん(60)が鎌でフキを根元から切り落とすたび、断面から水滴が勢いよく飛び散るほどみずみずしい。「あと1週間もしたら、もっと香り高くなりますよ」と妻の昇子さん(54)は話す。

 鳥羽夫妻は町内5カ所、計3ヘクタールの畑でフキを育てる。苗植えから、収穫まで3年越しだ。天候によるが、毎年6~7月に計40~50トンを出荷する。冬は、積雪が布団の役割を果たし土の中の温度を0度前後に保つ。ここ数年は積雪量が少なく、凍害と乾燥で収穫量が伸び悩んだが、今年は例年通りの収穫を見込んでいる。

 鳥羽夫妻がラワンブキ栽培を始めたのは1989年。減少する自生のラワンブキを絶やさないよう、JAあしょろが町内の農家に栽培を働きかけた。「まずは自分で食べる分を」と現在の30分の1の10アールの面積から挑戦した。

 「栽培は手探りの連続だった」と2人は振り返る。フキの内部を虫に食い荒らされ、収穫量の9割を捨てた年もあった。畑を丸ごと被覆資材で覆うと、虫の産卵を防ぐことができた。病気になりがちでもあったので、化学肥料をやめ、近所の肉牛農家の牛ふんを利用した堆肥のみを使うようにした。

束ねて塩に漬け、倉庫に保存されるラワンブキ
収穫したラワンブキの約9割は束ねて塩に漬け、倉庫に保存する

 「ラワンぶき生産部会」は、15戸で構成。畑の作付面積は計18.7ヘクタールで、徐々に増やしているという。各農家で収穫されたラワンブキは、JAあしょろが運営する「山菜工場」に運ばれる。年間生産量約300トンのうち、1割は生ラワンブキとして出荷され、残りは束ねて塩に漬け、倉庫に寝かす。山菜工場長の戸崎守さん(41)は「鍋ものやおでんを食べる冬の需要のピークに合わせて水煮などに加工して出荷する」と説明する。

 高さ3メートルにも伸びるラワンブキは、道内に広く分布する「アキタブキ」の仲間とされる。帯広畜産大准教授の秋本正博さん(51)=作物栽培学=は「大きく育つ理由はまだ解明されていない」と話す。冷涼な気候や、近くを流れる螺湾川などのミネラル成分、土壌中の火山灰の影響が考えられるほか、「何らかの進化の結果の変わり種という可能性もある」という。

 ラワンブキは2001年、北海道遺産に選ばれた。郷土の自慢を知ってもらおうと、昇子さんは02年から小学生を畑に招いて作物の育ち方などを伝える青空教室を開き、フキにみそを付けて振る舞ってきた。

 コロナ下で中止していたが、今年3年ぶりに再開。「子ども時代を振り返って、『あの時食べたフキ、おいしかったな』と感じてもらいたい。フキって、年を重ねてから食べたくなると思うから」。

 JAあしょろの直売所「寄って美菜(みな)」では生ラワンブキを330グラム、270円で6月いっぱい販売している。このほか水煮や漬物、つくだ煮などもある。問い合わせは直売所(電)0156・28・0303へ。

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*天ぷらなら下処理いらず

ラワンブキ料理。上から時計回りに、ゆでたラワンブキ、天ぷら、カッテージチーズ詰め
(上から時計回りに)ゆでたラワンブキ、天ぷら、カッテージチーズ詰め

 生のラワンブキを味わえるのは、6~7月だけ。鳥羽昇子さんの一押しの調理法は天ぷらだ。「ラワンブキはあくが少なく、繊維も柔らかいので、天ぷらなら下処理はいりません」という。

 洗って、爪で皮をむき、一口サイズに切って、衣を付けて揚げるだけ。色が鮮やかになったら火が通ったサインだ。塩を付けて頂くと、豊かな香りが鼻に抜け、シャキシャキの食感が楽しい。

 このほか、ゆでてからみそに付けたり、カッテージチーズを詰めると、子どものおやつや酒のつまみになる。さつま揚げと一緒に炒めてしょうゆと砂糖で味付けするのも、鳥羽家の定番だ。

 購入したら、すぐゆでるのがポイント。ゆで方は《1》大きめの鍋にたっぷりの湯を沸かし、塩をひとつまみ入れ、ラワンブキを入れる《2》いったん沸騰が収まり、再び沸騰してから3~5分ゆでる《3》冷水に入れ、皮をむき、しばらく流水にさらしあくを抜く。

 ゆでたら冷蔵庫で1週間程度保存できる。秀男さんは「冬になったら、コンビニのおでんの具と一緒に、ラワンブキの水煮を温め直すのがおいしい」という。

(北海道新聞2022年6月17日掲載)

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