【北広島】農業機械大手クボタ(大阪)が北海道ボールパークFビレッジ内で運営する農業学習施設「クボタアグリフロント」で、イチゴが収穫のピークを迎えている。7月までの1年間に昨年の倍の約280キロの収穫を見込んでいる。
同施設は2023年3月に一部開業し、同年4月からイチゴの栽培に取り組んでいる。機械が自動で給水や肥料をまくなどする同社の最新システムを使い、社員がパソコンで水や二酸化炭素の供給量、日照時間などを細かく管理。本来は夏に収穫するイチゴを需要が増える年末年始やクリスマス時期に合わせて収穫できるよう試みている。
ガラス張りの温室内には幅7メートルの棚8台が置かれ、イチゴの苗350株をヤシ殻に植えている。1年目(23年4月~24年7月)は、道内でも多く栽培されている「すずあかね」「よつぼし」など4種類のイチゴを育て計約140キロを収穫。2年目(24年8月~25年7月)は本州中心に人気のある「すず」を栽培したところ、実りが良く1株当たり800グラムの収穫を見込んでいるという。
収穫したイチゴの糖度はいずれも一般的に甘いとされる10度を超え、同社北海道ボールパーク推進課の石井裕樹ファーム統括マネージャーは「小さな農地でも歩留まり(良品率)を高めれば、ビジネスチャンスが広がる。『すず』の収穫がどうして好調だったのかなど、今後さまざまな検証を行っていく」と話した。
収穫したイチゴは、同施設1階のカフェで提供するラッシーやジャムにしているほか、1パック6粒入り(300円)で販売。バランスの良い酸味と甘みが好評という。 (丸山格史)
(北海道新聞2024年1月9日掲載)