
小樽市を訪れる観光客数が毎年ピークとなる夏休みを前に、小樽運河周辺で宿泊、観光施設の開業が相次いでいる。18日には、運河周辺で最大規模の客室を備える「小樽グランベルホテル」(堺町)が開業。小樽堺町通り商店街には、人気キャラクターの土産店「小樽ミッフィーポートタウン」(同)が同日、オープンした。小樽芸術村5館目の「浮世絵美術館」(港町)も24日に開業し、訪日客の急回復で高まる需要を取り込む動きが加速している。
通販大手ベルーナ(埼玉)が開業したグランベルホテルは、6階建てで客室は159室。最上階には石狩湾を望む露天風呂のほか、運河周辺の町並みを見渡せるバーテラスを設けた。道産食材をふんだんに使った約70種類の料理が並ぶ朝食ビュッフェも売りの一つだ。
石本敬伍支配人(30)は「立地の良さやホテルからの眺望といった強みを生かし、集客に努めたい」と気合が入る。このほか宿泊施設では、大和ハウス工業(大阪)が色内1の色内大通り沿いにホテル建設を計画する。
グランベルホテルから約600メートルの堺町通り商店街内にできたミッフィーポートタウン。同商店街にあった和菓子メインの土産店「みっふぃー おやつ堂」を、運営する寺子屋(京都)がリニューアルした。洋菓子、パン店などを複合した全国初の店舗で、海をテーマとした限定グッズも並べる。

初日の開店前から長蛇の列ができる盛況ぶりで、千葉市から旅行で訪れた看護師八巻温緋(はるひ)さん(23)はハンカチとポーチを購入。「かわいらしい商品がたくさんあって癒やされた。小樽にまた来たい」と笑顔で話した。
似鳥文化財団(小樽)が手掛ける浮世絵美術館は、運河をまたぐ浅草橋そばに開館した。現在は、同財団所有の葛飾北斎や歌川広重らの作品を展示している。
8月1日には、小樽港第3号埠頭(ふとう)基部の新観光船ターミナルの利用も始まる予定だ。
2024年度に市内を訪れた観光客数は、7年ぶりに800万人台を回復。同年8月の観光客数は85万8千人と月別では最多だった。小樽観光協会の徳満康浩専務理事は「いろいろな施設ができて選択肢が広がる。小樽に長くとどまって観光を楽しむ滞在型観光の推進につながれば」と期待する。 (和田樹)
(北海道新聞2025年7月19日掲載)