北見地区消防組合消防署の留辺蘂支署長を定年退職後、夢だったラーメン店を開き、第二の人生を歩み出した人がいる。北見市留辺蘂町の宮成隆弘さん(61)。町内にある妻の実家を改装した店のラーメンは塩のみで、基本価格はワンコインの500円。「地域の人に喜んでもらえれば」。きょうも張り切って調理場に立つ。
料理が趣味の宮成さんはラーメンが好きで、30年ほど前から勤務のない日に、家族や知人に手作りの一杯を振る舞ってきた。自分なりの塩ラーメンにたどり着き、「いつか店を開きたい」と思うようになった。
昨年春に定年退職。市留辺蘂町栄町にある妻直美さん(61)の実家が空き家だったことから改装し、10月22日に念願だった店を開いた。椅子と座敷の計10席で、店名の「あおやま亭」は義父母の姓から取った。
メニューは塩ラーメンとライス、サラダのみ。「スープは濁らせず、まろやかな塩味を心がけている」という。市内の製麺会社の麺を使い、手作りチャーシューと、メンマ、なるとが入る。
基本価格の500円は、年金暮らしの高齢者にも食べてもらえるようワンコインにこだわった。お好みでチャーシューの枚数を増やすと価格が増す仕組み。
基本は1人で切り盛りしており、1日35食限定だ。北見市内のユーチューバーに取り上げられたこともあり、週末は客が並んで早々に売り切れることも。町内では老舗の「すずや食堂」が9月末で閉店し、町内の人から「頑張る人がいるのはうれしいこと」と激励のはがきも寄せられた。
「自分の働く場を自分でつくれて良かった」と話す宮成さんは、「周囲の人たちの応援もうれしい。地域の人がほっとする食堂を目指したい」と気持ちを新たにしている。営業は午前11時~午後2時。月曜定休。(五十嵐文弥)
(北海道新聞2022年11月18日掲載)
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