朝からしっかりと、そして美味しいごはんが食べたい―。職場や学校に向かう前に、観光で札幌を訪れた際に、そして「たまには早起きして朝から外食をしてみようか」という方に、札幌市内で早朝から営業している、おすすめのお食事どころ5店をご紹介します。
目次
鮮度抜群の海鮮を使った中華粥
中国料理 布袋 中央市場店
札幌桑園地区の西、早朝からトラックや小型運搬車「ターレ」が行き交い、活気あふれる「札幌市中央卸売市場」。この場内に立つ丸果ビル前に黄色いのぼりがはためいています。階段を2階上がり、黄色い行燈を目指して進むと「中国料理 布袋(ほてい)」の文字が。ここは“布袋式ザンギ”や“麻婆麺”などでおなじみの有名店「布袋」が、2021年4月、〝札幌の台所〟に出店した支店です。
市場の食堂として、朝早くから仕事をする市場関係者の朝の空腹を満たすのはもちろん、市内で働くビジネスマンや近隣に住む方、お土産を買いに来た観光客がランチを食べに来たり、テイクアウトを利用したりと、午前8時~午後2時までの営業時間中、客足が絶えない人気店です。
朝ごはんスポットとしておすすめしたい理由は、朝から営業しているというポイントだけでなく、朝ごはんとして魅力的なメニューがあるから。それが4種類の「海鮮中華粥」です。例えば「紅ズワイ蟹の中華粥」は、同店が提供する多くの料理のベースとなる鶏ガラ清湯の中華スープに乾物の昆布や干し椎茸を加えた特製スープにお粥を入れて素早く仕上げる優しい味わいの料理。
特製スープに、ズワイガニの抱き身(脚の付け根部分)、蟹ミソ、甲羅を入れることで、カニのダシが染み出した贅沢な味わいが楽しめます。抱き身には身がたっぷり詰まってるので、ぜひ箸でホジホジほぐし、お粥に混ぜて食べてください。紅ズワイ蟹以外に「道産あわび」「牡蠣」「ウニ」がラインアップ。
いずれも高級食材の中華粥で、「ズワイ蟹の中華粥定食」が1380円、「道産あわびの中華粥定食」が1800円、「牡蠣の中華粥定食」が1280円、「ウニの中華粥定食」が2000円という値段。地元の人にとっては、なかなか普段の朝ごはんというわけにはいかないかもしれませんが、たまの贅沢、自分へのご褒美、休日のブランチなどでいただきたい逸品です。
布袋式ザンギ1個と水餃子、香の物が付いたセットで提供されるので、観光の方にも卸売市場ならではの新鮮な海鮮を使ったお粥という、ちょっと趣の違った“北海道グルメ”としてもおすすめです。
住所…札幌市中央区北12条西20丁目1-20 丸果ビル2F |
電話…011・215・5350 |
座席…30席 |
営業時間…8:00〜14:00(テイクアウトは7:00〜) |
定休日…日曜、不定水曜 |
駐車場…あり(9:00〜さっぽろ朝市駐車場利用可) |
※料理のお値段は変動する場合があります。 |
やわらかくホロリ、温かいおにぎり
名代にぎりめし
繁華街すすきのの中心部に1958年(昭和33年)に建てられた5階建ての建物。1階には主にすすきので商売をする飲食店が顧客の市場「すすきの市場」があります。この建物の西角にお店を構えるのが、24時間営業のおにぎり屋さん「名代にぎりめし」。
朝はすすきので働く仕事終わりの方や、これから出勤という方が朝ごはんを求め、日中はビジネスマンがランチに、深夜は飲んだ後の〆や最後の1軒として飲んで帰る方もいるなど、まさに24時間、さまざまな利用客が後を絶たない人気ぶりです。サクッと軽くお腹を満たして観光に出かける、道内外や海外からの観光客の姿も目につきます。
現在の場所に移ってから20年以上続く同店。ファストフード的な出来あいのおにぎりとは異なり、ほんわか温かい出来立て、手握りにこだわっています。多彩な具材があり、それぞれ白飯の「塩にぎり」か名物の「醤油にぎり」か好きな方を選ぶことができます(一部どちらか一方という種類あり)。
握り方ひとつで味が変わるといわれるおにぎり。本間直也店長に同店のコツを伺うと「やわらかく握って、海苔でしめるイメージ。口の中でホロリと解ける感じがベスト」とのお答え。注文を受けてから握るので、「仕事で疲れた方から、少し塩を強めに」といったリクエストにも応えているそうです。
おすすめの2種類を教えていただきました。まず一つが不動の人気「たらこバター 醤油にぎり」。たっぷり入ったたらこバターに驚くやらうれしいやら。甘じょっぱい醤油ごはんとの相性が抜群によく、おいしさは言わずもがなです。
もう一つが「卵黄の味噌漬け(醤油にぎりのみ)」。玉子の黄身を味噌ダレに漬けた、トロンとした食感と旨みが、こちらも醤油ごはんにぴったりです。汁物といえば「とん汁」。良く熱が通ってやわらかな大根と、香りのいい皮付きゴボウが特にゴロゴロ入り、具だくさんがうれしい気分になります。
店内はカウンター席のほか、ボックス席が2卓。イートインの出入り口とは別に、テイクアウトカウンターが設けられています。多彩な総菜も取り揃え、各種おでんはほぼ通年提供。朝からサクッとでも、バランスよくしっかり食べることも可能なのです。
住所…市中央区南6条西4丁目 すすきの市場西角 |
電話…011・512・1616 |
座席…カウンター5席、ボックス席2卓 |
営業時間…24時間 |
定休日…年末年始 |
駐車場…なし |
奥深い醤油スープと平打ち麺の優しい“朝ラー”
とし井ちゃんラーメン
テクテクと自宅から歩いて来たり、自転車や車で少し遠くから立ち寄ったりと、朝からひっきりなしに来客が訪れる様子はまるでランチタイムのような賑わい。「いらっしゃいませ! おはようございます!」と出迎え、「ありがとうございました! 行ってらっしゃい!」と、もれなく声を掛けて送り出してくれるのは、店を切り盛りする佐野駿正さん(愛称・としちゃん)、友理子さん(愛称・ゆりちゃん)夫妻。このあいさつが、朝からおいしい一杯を堪能したという満足感を何倍にも増幅させて、気持ちよく一日が始められる! これこそが〝朝ラーの店〟「とし井ちゃんラーメン」の魅力です。
濃厚煮干しつけ麺と濃厚煮干しラーメンの人気店「井さい」の〝セカンドブランド〟として、2023年1月6日から営業をスタート。実は佐野さんと井さい店主・井上翼さんは、つけ麺が人気の東京の有名店で長く腕を振るっていた先輩・後輩の間柄です。
2人は同店を退職後、佐野さんは縁あって2019年にアメリカでラーメン店を出店し、世界的グルメ情報誌のマークが付く評価を得ました。22年にその店を人に譲り、日本に帰国。札幌で井さいを営業していた先輩の井上さんに誘われて札幌へ。そして、「これまでの札幌にはない新しい朝ラーを提供させていただきたい」という思いで、としちゃんと井さいの井を合わせた「とし井ちゃんラーメン」を立ち上げたというストーリー。
基本メニューは、鶏ガラと豚ガラ、煮干し、香味野菜を弱火で煮込んだベーススープに、数種類の醤油をブレンドして火入れしたまろやかな「かえし」で味付けした醤油味の各種「らーめん」。器から醤油とダシの優しい香りがふわっと立ち上り、レンゲですするとスルリと喉を通りながら、しっかりと深い旨みを味わうことができます。
「朝、出勤前や仕事帰りに食べてちょうどいい味加減」を目指している佐野さん。本人が食べ親しんだ、故郷・東京浅草の中華そばや、好みの福島・喜多方ラーメン、栃木・佐野ラーメンをイメージしているそうです。
製麺会社に特注した、太めの平打ち風手もみちぢれ麺は、ツルリと喉越しよく食べ応えがあります。じっくり味付けされた豚バラチャーシューに加え、細切りで固めの自家製メンマが印象的。最初はポリポリと歯応えを感じ、熱いスープを吸うとシャクシャクとした食感に変化していきます。
「東京の中華そばはポピュラーで、箸休め的にいいかなと思って」と佐野さん。トッピングで用意された半熟煮玉子は、醤油ダレの味玉ではなく、塩ダレにつけた「塩玉」。随所に本人のルーツやこだわりが詰まった一杯です。
住所…札幌市中央区南6条西13丁目4-33 ホワイトレジデンス1F |
電話…011・200・9395 |
座席…13席 |
営業時間…6:00〜L.O.9:45(日曜は6:00〜L.O.9:45、11:00〜L.O.14:45) ※5月23日より火曜〜土曜も朝昼営業に変更(詳細はInstagramを参照) |
定休日…月曜 |
駐車場…なし(提携コインP利用で割引、その他近隣コインP利用で大盛りor海苔トッピング無料サービス) |
手間ひまかけて手作りする沖縄ソウルフード
沖楽パーラー ハッピータコライス
羊ヶ丘通を北広島方面に進み、右折すると札幌国際大学に着く交差点角に立つビルに入る「沖楽パーラー ハッピータコライス」。2023年3月21日にオープンした沖縄ソウルフードのタコライスやタコス、ブリトーを味わうことができるお店です。近くには札幌ドームがあり、滝野すずらん丘陵公園や平岡公園に向かうルート沿いでもあるので、朝ごはんはもちろん、行楽の途中に立ち寄るのもおすすめです。
店名にもなっている看板メニュー「ハッピータコライス」は、沖縄由来のスパイスを含む10種類ほどのスパイスなどで合挽肉を炒め、1日寝かすことで味をなじませたオリジナルタコミートとチーズ、野菜をのせたスパイシーなごはん。タコミートは〝多幸ミート〟とラッキーなネーミングが付けられています。ちなみに現地沖縄には「多幸寿(タコス)」という元祖沖縄タコスの店があるそうです。
この多幸ミートを使ったもう1品が「タコス」。トウモロコシ粉で作った手作り生地の皮(シェル)に多幸ミート、チーズ、野菜をはさんだスナックフード。発祥のメキシコでは焼いた皮が一般的ですが、沖縄タコスは揚げ皮が定番。出来立ては外側がサクッとして内側はモッチリ食感が楽しめます。
ちょっと珍しいメニューが「ブリトー」。こちらは小麦粉を練って薄く伸ばして焼いた皮を使用しています。圧力鍋でほろほろになるまで煮込んだ豚バラ塊肉や鶏モモ肉、チーズ、野菜、さらにケチャップライスを、皮でクルクルっと巻いたボリューミーな一品。沖縄中部・北谷町の海沿いにこのメニューを提供する店が多く、近くの米軍基地関係者に愛されているそうです。
これら3品ともにトマトベースで酸味はなくピリ辛のオリジナルホットソース付き。お好みで使用すると、いいアクセントになります。
こちらのオーナー小山内基(もとし)さんと妻の紗綾乃(さやの)さんは小樽生まれの同級生。基さんが20代前半の時、沖縄でスキューバダイビングのインストラクターを経験したことがきっかけで沖縄フードのお店を始めたそうです。出店前にレシピを独学で研究し、沖縄出身の人にアドバイスをもらったり試食してもらい、お墨付きをいただいて出店。「まだまだ進化中なので、どんどんおいしくなりますよ!」と紗綾乃さんはニッコリ。
住所…札幌市清田区清田2条1丁目14−14 清田山田ビル1F |
電話…011・802・5997 |
座席…21席 |
営業時間…7:30〜18:00(L.O.17:30)、土曜は11:00〜 |
定休日…日曜、他不定休有 |
駐車場…共用5台 |
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朝から食べ放題でがっつり焼肉
牛乃家 本店
〝肉食系〟におすすめの、午前中からがっつり焼肉が堪能できるお店が「牛乃家(うしのや) 本店」。札幌市内中心部、狸小路にほど近い場所で、午前9時30分から深夜午後11時(週末は0時)まで通し営業。時間を問わず、焼肉が食べたい時に開いているという、ありがたい営業スタイルです。特に「朝焼肉」という斬新な取り組みが好評で、開店から数10分で満席になる日もある人気ぶりだそうです。
せっかく食べるなら「モーニング焼肉食べ放題」を。塩ホルモン、豚カルビ、鶏モモ、生ハツ、豚レバー、野菜など全18種類が60分間食べ放題で、なんと1078円というリーズナブルな値段。ごはんやホルモンスープも食べ放題です。
岩見沢の精肉店から新鮮な肉を仕入れ、職人が手間ひまかけて手切りしているという本格派。特に人気なのが塩ホルモン。「食べ放題でなくても」という方には「ホルモン定食」539円がおすすめです。
住所…札幌市中央区南2条西4丁目 ラージカントリービル1F |
電話…011・232・5329 |
座席…34席 |
営業時間…9:30〜23:00、金曜・土曜〜24:00 |
定休日…なし |
駐車場…なし |
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