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2022.12.17

From北海道新聞

 〈これが旬!〉厚岸産カキ 身入りヨシ*養殖研究しブランド化

北海道新聞記事
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地元の漁業者によって市場に持ち込まれたカキ=厚岸漁協地方卸売市場

 寒さが増し、釧路管内厚岸町の沖合ではカキの水揚げが盛んに行われている。江戸時代から貴重な水産物であり、今も道内のカキ養殖の一大産地として名をはせる。特に地元漁業者が養殖方法を研究しながら「カキえもん」などをブランド化してきた。産地ならではの市場の様子や、おいしい料理などを紹介する。(編集委員 鈴木雅人)

 「身入りは例年並みに良いよ」。厚岸漁協地方卸売市場。今月7日、衛生管理型の新市場に組合員からカキが持ち込まれた。漁業者の山崎篤尚(あつひさ)さん(53)は殻付き「マルえもん」3L(150グラム以上)70個、LL(120グラム以上)100個を持ち込んだ。道内外のスーパー、居酒屋などで消費される。「厚岸で大きく育ったカキをおいしく食べてほしい」と笑顔を見せた。

 水揚げされたカキは紫外線を照射して殺菌した清浄海水に48時間蓄養される。2年前にできた新市場では大型の水槽が設けられている。同漁協市場部の林亮太部長は「義務づけられた24時間の倍の時間を蓄養し、生食用として衛生管理を徹底している」と食の安全安心を強調する。

 厚岸町によると、直販などを除いた市場取り扱い分は2021年が703トン、5億6千万円。厚岸はサロマ湖と並ぶ道内の一大産地で、江戸時代に天塩のシジミ、十勝川のフナと並んで「蝦夷(えぞ)の三絶(絶品)」と重宝された歴史を持つ。厚岸湾とつながる厚岸湖、その奥の別寒辺牛湿原や森林から豊富な栄養分が流れ込む。このためアサリも含め貝類が豊富だ。

 厚岸産カキは、厚岸生まれの種苗で厚岸育ちの「カキえもん」、宮城県産の種苗を厚岸で育てた主力の「マルえもん」、そして厚岸生まれの幼生を、マルえもんと同じようにホタテの貝殻を使った原盤に数多く付着させて育てた「弁天かき」などがある。このうちカキえもんは、ホタテ貝殻の粉末1粒にカキの幼生1個を付着させるシングルシード方式で育成する。

 養殖に携わるのは100戸余り。年間を通じて出荷するが、やはり年末の需要がある11~12月がピークだ。今季はコロナ禍の影響から回復し、生産量全国1位の広島県産の不漁もあって、単価はマルえもんで3L1個150円と、昨年より20~30円高いという。林部長は「冬は身が回復し、需要も高い」と期待する。

〈これが旬!〉渡島管内知内町*カキ 海と雪水の恵み*一番ニラ 甘みじゅわっ

*ステーキ丼人気/ウイスキーと一緒に

 道の駅厚岸グルメパーク・コンキリエ(住の江2、電話0153・52・4139)は旅行雑誌「北海道じゃらん」による今年の道の駅ランキング・食事メニュー部門で12年連続1位に輝いた。レストラン、炭焼き専門店、バール(飲食店)などが入っている。

 レストランの人気1位は「あっけし牡蠣(かき)ステーキ丼」。丼のほかにフライ、生ガキ付きで1800円。年間7千食出る。レストランやバールでは生ガキの食べ比べもできる。カキえもんはすっきりした甘み、マルえもんは野性的な磯の風味、弁天かきは甘く濃厚な味わいが特長という。バールでは「堅展実業厚岸蒸溜所」が造ったウイスキーとのセットもあり、カキに垂らして食べるのもお薦めだ。

コンキリエ内のレストランで提供している「あっけし牡蠣ステーキ丼」

 湖畔のオイスターバー「牡蠣場(かきば)」(奔渡1、電話0153・52・5277)は漁業者の中嶋均(ひとし)さん(63)が自社加工場2階を改装して2017年開業。週末に開いたが、11月から予約制で平日も営業し、自ら育てたカキえもんを中心に生で味わってもらっている。

バールでは町内の飲食店限定のウイスキー「牡蠣の子守唄(うた)」(右上)が付いたセットも好評だ

 1982~83年の大量へい死で宮城産の稚貝を入れて持ちこたえたが、一方で純厚岸産への機運が高まった。95年に中嶋さんを会長に漁業者が「かき研究会」を結成し、オーストラリアで低コストのシングルシード方式を見学するなどして、カキえもんを生んだ。苦労を経ながら「先人による厚岸の歴史も含めて生ガキを味わってほしい」と語る。

 桜亭(真栄2、電話0153・52・3702)ではえもん丼を出している。町商工会が2010年に企画した「ご当地グルメ」第1弾として町内の飲食店が提供したもので、ひじきやゴボウなどが入った炊き込みご飯に、しょうゆ味の「みたらしカキ」とツブかホタテ、昆布締めなどを乗せた。春巻き、すし、柳川鍋なども用意し、人気を集める。

(北海道新聞2022年12月16日掲載)

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