【新ひだか】町内の北大静内研究牧場で育てられた日本短角牛のブランド牛肉「北大短角牛」を地元の人に味わってもらおうと、町内の精肉店「ひだかミート魚岸店」がハンバーグに加工して提供する準備を進めている。来年1月に試験販売し、4月から本格販売を始める予定で、地元の店で北大短角牛の新しい味が手軽に楽しめるようになる。
同牧場では一般的な黒毛和牛で多く使われる輸入穀物を与えず、牧草や干し草で飼育している。このため、脂肪分が多い霜降りではなく赤身が主体だ。昨秋から北大短角牛としてブランド化し、北大が民間会社と協力してネット通販を始めると「肉本来の味が楽しめる」と人気となった。
同店でも、ブランド化以前の約3年前から、同牧場の短角牛を毎年1頭購入し、すき焼き用などで販売してきた。ブランド化を機に北大短角牛の名称の使用許可を北大に申請し、今年7月に許可が下りた。
脂が多すぎず、締まった赤身の特徴を生かし、新たにハンバーグを考案。スジや脂が多くて使いづらい腕の肉を活用するため、モモ肉と混ぜた。本格販売に向けて、こねたひき肉をハンバーグの形に整える機械も導入した。
同牧場の短角牛を売り始めた当初は「和牛より肉質が硬いこともあり評判はさほどでもなかった」と店主の小堀幸一さん(54)。それでも「肉の種類の一つとして消費者になじめば受け入れられる」と販売を続けた。徐々にメディアなどで取り上げられ、ブランド化で人気に火がついた。
1個180グラムで、1月の試験販売では580円で売る。「食べやすいハンバーグなら人気が広がる」と考える小堀さんは「スタッフを増やし、売れ行き次第では年2、3頭の購入も考えたい。自然に近い状態で育てた町産の短角牛の肉を地元の店で売ることで、地域に定着してくれたらうれしい」と思いを込める。(杉崎萌)
(北海道新聞2022年12月14日掲載)
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