【歌志内】市内上歌でワイン用ブドウを栽培している株式会社「ラトリエ・デュ・ソル」(遠藤美樹社長)が、馬でブドウ畑を耕す「馬耕(ばこう)」に取り組んでいる。トラクターが入りづらい狭い傾斜地などにも対応できるほか、優しく耕された土壌は、微生物による有機物の分解が進み、生育が良くなるなどの効果が期待できるという。
馬耕はフランスなどで伝統的に行われており、土おこしや土寄せ用などの機具をロープで引っ張る。同社は、ばんえい競馬の引退馬で木材などを運搬する西埜馬搬(胆振管内厚真町)に委託し、2021年11月から馬耕を始めた。
寒さでこわばった土壌をほぐし空気を含ませて水はけを改善。細かい根を切り、根を伸ばしやすくした。冬が本格化する前に寒さからブドウの幹を守るため、土寄せして地温を上げるなどの作業も行った。
遠藤真人取締役(45)は「昨年の春先は生育の早さを感じた。(化石燃料を使わず)環境への負荷軽減は、持続可能な開発目標(SDGs)にもつながる」と話す。
同社は、3年半前から馬耕に取り組むKONDOヴィンヤード(岩見沢)の近藤良介さん(49)の助言を受けて取り組んでおり、ワイン用ブドウ農家での馬耕は道内では珍しいという。
遠藤さんは2016年度から、市地域おこし協力隊員などとして市有地でワイン用ブドウの試験栽培を担当。21年2月、妻の美樹さんとともに会社を設立し、市から譲渡された圃場(ほじょう)で同年4月から本格栽培を始めた。2021年産のワイン約500本(1本750ミリリットル)は23年秋にも販売予定。(宍戸透)
(北海道新聞2023年1月11日掲載)