【滝川】松尾ジンギスカンを展開するマツオ(滝川)が、ジンギスカン以外の羊肉料理の開発に注力している。2019年に市内に設置した開発拠点でソーセージやハンバーグ、つくねなど20種類ほどのメニューを考案し、道内外の店舗やキッチンカーで販売してきた。春には冷凍食品も販売予定で、同社は「羊肉のおいしさと調理方法の可能性を伝え、家庭でもっと味わってもらえるようにしたい」と話している。
同社は現在、松尾ジンギスカン直営店を道内外で14店舗営業。原料である羊肉は、オーストラリアからブロック肉単位で年間500トン輸入している。ブロック肉は、滝川市内の工場でジンギスカン用に加工しているが、その際に発生する端材や、火を通すと硬くなる部位はこれまで取り除いて破棄していた。
しかし近年、フードロス削減に注目が集まっているほか、ジンギスカン以外の調理方法であれば、おいしい料理として提供できると判断し、活用することにした。
そこで、同社が17年5月まで市内で営業していた回転ずし「らんまん」の調理室を改装し、燻製(くんせい)用の機械などを導入。19年、羊肉料理の開発拠点「ミートファクトリー」を稼働させた。
当初は端材を使ったソーセージとハムの製造が中心だった。ミートファクトリー責任者の中村正明製造部長は「手探りな部分が多く、うまくいくか分からなかった」と言うが、22年4~9月の半年間に道内外の店舗で提供したソーセージは、21年度の5万本を超え6万5千本に達するなど、開発からわずか3年で人気メニューに。ジンギスカンには適していない「フラップ肉」も煮込んで、滝川本店や東京パルコ店でスープカレーとして提供している。
さらに同社は21年11月、キッチンカーを導入。キーマカレーやメンチカツなどさまざまな羊肉料理を考案しては、キッチンカー限定メニューとして売り出している。
中村製造部長は「キッチンカーであれば考案してすぐに提供できて試しやすい」と話す。
全ての料理に同社の味付けジンギスカンで使っているタレを使用するなど、こだわりも見せる。春には、一食千円以下の羊肉の入ったスープ系の冷凍食品の販売も予定している。
同社の松尾吉洋社長は「日本では羊肉をジンギスカンで消費するのが一般的だが、開発を通じて羊肉の可能性を広めていきたい」と展望を語る。(榎本雅也)
(北海道新聞2023年1月14日掲載)
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