調味料の開発・販売などを手がける函館市の合同会社「EGAO(えがお)」は、函館近海で漁獲される未利用の魚を使った商品開発を始めた。第1弾は小ぶりのサバを使った塩焼きで、真空パックのため長期保存できる。同社は「未利用魚の活用を通じて道南の水産業の助けになりたい」としている。
第1弾の「さばの美人焼き」は、20センチ未満のサバを同社が開発したコンブ万能調味料「極UMAMI美人」に漬け込んで焼いた。この調味料を使うことで魚の臭みが抑えられ、上品な味わいに仕上がったという。
製造は食品製造会社「エビスパック」(函館)に依頼。常温で約4カ月保存できるほか、レトルト加工機に入れることで骨が軟らかくなり、丸ごと食べることができる。
EGAOによると、函館近海でのサバの漁獲は昨年春ごろから急増。しかし、多くが需要が少ない20センチ未満の小ぶりなもので、網に入ってもそのまま海に放すなど、収入につながらないのだという。こうした現状を知り、同社は「小ぶりでも万能調味料を使った加工品にすることで需要はある」と商品化を決めた。
漁場の変化に伴う魚の量や質の低下、燃料費高騰によるコスト増など道南の漁業者も苦境に立たされている。同社は今後も未利用の魚介類の商品化を進めていく考えで、「いかめし」に使えない小ぶりなイカや、市場に出回ることが少なく、値がつきにくいというカガミダイを使った新商品の開発も検討している。同社の川崎良平プロデューサーは「漁獲されるものの販路が広がっていない魚介類を使うことでフードロス削減にもつなげたい」と話す。
「さばの美人焼き」は2~3匹入りで、オープン価格。函館市宇賀浦町の海産物卸問屋「福田海産」、北斗市東前の温泉施設「しんわの湯」などで扱っている。(野口今日子)
(北海道新聞2023年1月17日掲載)