【清水】町内熊牛で乳牛180頭を飼育する会社「ビヨンドホルスタイン」は3月、キャンピングカーを活用した宿泊所を同社敷地内にオープンする。町が進める民泊事業「まちまるごとホテル」と協力し、町と連携する世界大手の民泊仲介サイト「Airbnb(エアビーアンドビー)」に登録して国内外の旅行者を受け入れる。町の民泊事業の民間ホストはJR十勝清水駅前の宿泊所に続き2例目となる。
キャンピングカーは米国製のトレーラータイプで、長さ約7・6メートル、幅2・5メートル、重さ約2トンの本格派。ガスコンロ付きのキッチンやテーブル、ソファ、大型ベッドのほか、シャワー、トイレ、電子レンジやオーディオなどを備える。同社の上田大志社長(42)が家族旅行などを目的に一昨年に購入したが、1年のうち2週間ほどしか使わず、空いた時間の活用方法を模索していた。
町はエアビー社と昨年6月に連携協定を結び、世界の旅行者を呼び込む民泊事業を展開。町長や町職員の自宅、町の移住体験住宅などで受け入れを始めた。この事業に「まちの将来につながる試み」と関心を寄せた上田社長は、新しい旅の形になればとキャンピングカーを使った宿泊業への参入を決断。同11月に旅館業の登録を済ませ、今年3月末から敷地内で若者や家族連れらに貸し出す。期間は冬を除く3月末から11月上旬を予定。
酪農業界は新型コロナウイルス禍による乳製品の消費低迷や人手不足で厳しい状況が続く。同社周辺は豊かな自然が広がり、農業や酪農への興味を観光客に持ってもらう絶好の環境で、上田社長は「観光はもちろん、酪農のファンになってもらい、乳製品の消費拡大や長期滞在、移住につながればうれしい」と夢を語る。1日1組限定で1泊2万5千円(定員4人、食事別)。問い合わせは上田社長、電話090・9510・7852へ。(伊藤圭三)
(北海道新聞2023年1月26日掲載)