【余市】町沢町のすし店「菊鮨」は、余市で水揚げされる良質のアンコウを使った「北海道余市あんこう鍋セット」を商品化し、JR余市駅に隣接するエルラプラザで販売を始めた。アンコウは知る人ぞ知る余市の名物。認知度を高めてブランド化したいと、アンコウの身とスープを冷凍にし、通年で楽しめる鍋セットにした。
菊鮨が冬場のメニューとして店で出すアンコウ鍋は、コンブとシイタケがベースのだし汁に刻んだアンコウの肝を入れ、みそで仕立てた濃厚スープが特徴。具はぷりぷりのアンコウの身や骨のほか、白菜などの野菜と共に提供される。
余市のアンコウについて菊鮨店主の鳴海勇さん(53)は「東京の店では指名して取引されるほど」と話す。余市郡漁協によると、毎年9月下旬から翌年6月にかけて水揚げされ、2020年4月から21年3月までの水揚げ量は45トンだった。
鳴海さんは通年で楽しめる鍋セットの商品化を模索。スープの風味を落とさないためには急速冷凍が必要で、設備を持つ町内の水産加工業「マルコウ福原伸幸商店」に協力を依頼し、商品化にこぎ着けた。今後は「町のふるさと納税返礼品として使ってほしい」(鳴海さん)という。
鍋セットは、身(400グラム)と特製スープ(500グラム)の2人前で、3240円。野菜は付いていない。エルラプラザのほか、余市観光協会通販サイトでも取り扱う。(松嶋加奈)
(北海道新聞2022年5月24日掲載)