【洞爺湖】東京で日本料理店を10年以上営んでいた夫婦が町内に移住し、地元の食材にこだわった和食店を25日に開業。旅行中に手に入れた町産カボチャのおいしさに衝撃を受けてから、2人で思い描いてきた夢がかなう。洞爺湖を望む温泉街近くの高台に店舗兼自宅を新築し、子育てとの両立も目指す。
「湖の膳舎なかむら」(洞爺湖温泉町)を開く中村悠佑さん(40)、美佳さん(33)夫妻。悠佑さんは千葉県出身。明治大文学部を卒業後、専門学校に入り直し、調理師免許を取得した。美佳さんは北斗市出身。札幌の調理師専門学校で学んだ後、東京へ向かった。
2人は修業先の新宿の料理店で出会い、2人で11年前に独立。1月までJR中野駅周辺などで店を経営していた。2月に長女の六花ちゃん(2)を連れて新居に移り住み、開業準備を進めてきた。
5年前に洞爺湖周辺を旅行した際、とうや水の駅でカボチャを購入し、東京に戻って天ぷらや炭火焼きで食べたところ「甘みや口当たりが抜群。これまで味わったことがないおいしさに衝撃を受けた」(悠佑さん)。その後、何度も現地を訪れ、食材の豊富さとマチの魅力に引き込まれた。
「子育てをしっかりとやりたい」(美佳さん)との思いもあった。東京では経営に追われ、休む間もなく働いた。新型コロナウイルス禍も、人生を見つめ直す契機になったという。
新店はカウンターやテーブル、小上がり合わせて16席。町内財田地区の財田米「ゆめぴりか」を使うほか、地元産の野菜や魚、肉などをふんだんに取り入れる。料理は3300円と5500円の2コースで、ビールや日本酒、ワインなども用意している。
洞爺湖や伊達、壮瞥、豊浦の各市町の住民には初回、500円を割り引く。夫妻は「洞爺湖を借景にして、多くの方々に私たちの料理を楽しんでほしい」と話している。営業時間は午前11時~午後4時(最終入店は午後2時)。定休は日、月曜。予約などは電話080・9269・2578へ。(梶山征広)
(北海道新聞2023年4月22日掲載)
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