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2023.05.24

詩人・谷川俊太郎さんの魅力発信 公認の私設記念館「俊カフェ」 開店7年目 全国からファン続々

小川郁子編集長
小川郁子編集長

 苫小牧生まれ、札幌育ち。ビール、ワイン、日本酒、お酒全般、控えめにいって好きです。食べ物の好き嫌いもほとんどありませんが、ウナギやハモ、アナゴなどニョロっとしたものは苦手です。1996年に北海道新聞入社後は、道内各地や東京で1次産業や政治、行政などを担当しました。2023年5月からTripEat北海道編集長。

谷川俊太郎さんの等身大パネル。指さす先にはカフェ開店時に谷川さんが贈った詩「俊カフェ案内」が掲示されています

 赤ちゃんから大人まで、幅広い層のファンがいる日本を代表する詩人の谷川俊太郎さん公認の私設記念館「俊カフェ」が、開店7年目に入りました。熱烈な谷川俊太郎ファンの古川奈央さんが、谷川さん本人から「公認」を得たカフェで、谷川さんの等身大パネルが訪れた人を出迎えます。飲み物片手に谷川さんの詩集や絵本、谷川さんにまつわる著作物約600冊を楽しむことができ、全国から愛好者が訪れています。

詩集や写真パネル、詩をあしらったグッズ 読んで、見て、聞いて楽しむ

谷川さんの詩集が並ぶ本棚
谷川さんの軌跡をたどる写真パネル

 店内に入るとすぐにあるTシャツ姿の谷川さんの等身大パネルは、谷川さん本人のアイデア。その谷川さんの指さす先には、「ここは全身で/詩を味わうカフェです」と、カフェオープンに際して谷川さんが詩作した「俊カフェ案内」の詩の額装が掲げられています。谷川さんに関する音楽のCDも試聴でき、作曲家の武満徹さんや指揮者の小澤征爾さんらと対談する谷川さんの写真パネルも展示。詩をデザインしたTシャツやトートバッグ、マスキングテープなど谷川さんの詩をあしらったグッズも販売しています。詩集や絵本、エッセー集などは、手にとって席で読むことができます。

20代のころ、最初に手にした谷川さんの詩集「夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった」を持つ古川さん
谷川さんの詩をモチーフにしたグッズ

 古川さんは大学卒業後、首都圏で働いていた20代前半に谷川さんの詩集に出会い、「その時の気持ちにぴったりマッチし、すっかりはまりました」。その後、谷川さんの長男賢作さんら3人が現代詩を歌うグループ「DiVa」に出会い、音楽で詩を感じる喜びを知ったといいます。谷川さんの詩をデザインしたえんぴつ「ポエペンシル」を見て、「詩は本の中にあってページをめくって読むだけではなく、いろいろな角度から味わえるんだ」と気づき、谷川さんの詩をデザインしたグッズ収集も始めました。

言葉にはまり、音楽で感じ、グッズで楽しむ 熱を増す「谷川愛」

谷川さんが作詞した札幌開成高校の校歌を紹介するコーナー

 古川さんが実際に谷川さんと対面したのは2012年、古川さんの母校、札幌開成高校の開校50周年記念式典がきっかけでした。「山あり 空あり 大地あり」で始まる同校の校歌は谷川さんが作詞し、50周年の記念歌「未来へ」も同校の依頼で谷川さんが詩を書きました。古川さんは、式典に来賓として出席した谷川さんと、帰りの空港までの車中で話すことがかなったそうです。

 その後も古川さんの「谷川愛」は熱を増し、いつしか「多くのファンと、多面的なおもしろさを共有したい」と思うようになります。集めた本やグッズを展示する場所をつくりたいと考え、谷川さんにもそう伝えます。15年には谷川さんの協力も得て、札幌市内で友人が運営するギャラリーで企画展「とても個人的な谷川俊太郎展」を開き、わずか3週間で1000人を超える来場者を集めました。古川さんの常設展示への意欲は高まりました。その後、今のカフェの場所が空くことを知った古川さんは、クラウドファンディングでも資金を募り、17年5月、念願の「俊カフェ」をオープンさせました。

築100年近いとされる「KAKUイマジネーション」
俊カフェに続く階段。歴史を感じさせます

 俊カフェが入る建物「KAKU イマジネーション」は、資生館小学校と南3条通りをはさんで向かい合う、築100年近いとされる木造建築。札幌軟石を運搬する馬車鉄道の事務所として建てられ、1947年(昭和17年)からは北海道女子栄養学校(現北海道文京大)の校舎として使われていたそうです。外壁は板張りで、東側は札幌軟石の防火壁に囲まれています。俊カフェはこの建物の2階。木の階段のくすみ具合や人の手が長年触れてきた手すりのつやが、歴史を感じさせます。

コーヒーやハーブティー、日替わりヴィーガンスイーツも 詩と一緒に味わって

日替わりヴィーガンスイーツのアイスクリーム添えコーヒーゼリーとコーヒー
テイクアウト用の焼き菓子「フロランタン」と「詩人の言葉」

 俊カフェのメニューは、飲み物と日替わりヴィーガンスイーツ、食事。コーヒー3種類、ハイビスカスやラベンダーなどのハーブティー4種、自家製のショウガジャムを使ったジンジャーホットオレンジなどがひとくちクッキー付きで1杯800円。日替わりスイーツは、肉や卵、乳製品など動物由来の原材料の代わりに、豆乳や米油、粉寒天などを使った手作りです。バニラや抹茶、きなこ、ピスタチオなどのアイス、パフェ、あんみつ、プリンなどが日替わりで500円からです。食事は玄米おにぎり2個とみそ汁、梅干しがセットになった「こばらごはん」(600円)を提供しています。このほか、フロランタンなど日替わりの焼き菓子もテイクアウトできます。焼き菓子には、谷川さんがテレビで話した言葉を古川さんがメモし、谷川さん本人にチェックをしてもらったという「詩人の言葉」のカードが付いています。

「『ぼくはこうやって詩を書いてきた』で俊太郎さんの人生に思いを馳せて」など、古川さんの言葉が書かれた「なおみくじ」

 店内では、谷川さんや詩に関わりのあるものだけではなく、音楽ライブやオープンマイク、朗読ワークショップなどさまざまなイベントも開催。俊カフェを出発し、歴史ある建物などが残る周辺をガイドとともに巡った後、カフェで街並みについてのお話とともにドリンクを楽しむ「俊カフェ散歩」、詩を書いたり読んだりするのが好きな人が集まって、詩について語り合う「詩のことをおしゃべりする部活」といったユニークなイベントも企画されています。

▽住所/札幌市中央区南3条西7丁目4-1 KAKUイマジネーション2階
▽電話/011・211・0204
▽営業時間/午前11時~午後6時。午後1時からの日もあり。毎朝10時にSNS(http://www.facebook.com/shun.T.cafe)で告知
▽定休日/火曜日(祝日の場合、水曜日)
小川郁子編集長
小川郁子編集長

 苫小牧生まれ、札幌育ち。ビール、ワイン、日本酒、お酒全般、控えめにいって好きです。食べ物の好き嫌いもほとんどありませんが、ウナギやハモ、アナゴなどニョロっとしたものは苦手です。1996年に北海道新聞入社後は、道内各地や東京で1次産業や政治、行政などを担当しました。2023年5月からTripEat北海道編集長。

トリップイート北海道

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