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2023.06.07

札幌のおすすめ「回転寿司」道東発祥の人気店4選~こだわりのネタをお手頃価格で!

小川郁子編集長
小川郁子編集長

 苫小牧生まれ、札幌育ち。ビール、ワイン、日本酒、お酒全般、控えめにいって好きです。食べ物の好き嫌いもほとんどありませんが、ウナギやハモ、アナゴなどニョロっとしたものは苦手です。1996年に北海道新聞入社後は、道内各地や東京で1次産業や政治、行政などを担当しました。2023年5月からTripEat北海道編集長。

「回転寿司根室花まる」西野店で、レーン上を流れるすし
新型コロナの影響で、レーン上にすしを流すのを休止している店もありますが、「回転寿司根室花まる」西野店では、流れていました。目の前においしそうなお皿が来ると、つい手が伸びます

 新鮮なネタを気軽に、手頃な値段で楽しめる回転寿司。釧路など道東発祥で、地元の人たちに愛されている回転寿司が、札幌市内でも人気を集めています。各店は産地に近く、仕入れルートを持つ強みを生かし、ネタの新鮮さを誇るほか、汁ものや創作寿司、デザートにも力を入れています。道東発祥の4店を紹介します。(価格は取材した当時の各店のもの。同じチェーンでも店によって価格の違うことがあります)

「こぼれいくら」豪快な盛りとパフォーマンスで
🍣なごやか亭

「こぼれいくら」を注文すると、店員さんみんなで盛り上げながら、いくらをかけてくれる「鮨処 なごやか亭」
「こぼれいくら」を注文すると、店員さんみんなで盛り上げながら、いくらをかけてくれます。本当にこぼれています

 釧路市に本社のある「鮨処 なごやか亭」の一番の売りは、なんと言っても「こぼれいくら」(1040円)。注文を受けると、全店に設置されている太鼓をどどん、と鳴らし、店員さんが「わっしょい、わっしょい」とかけ声をかけながらいくらをこれでもかと盛り付けます。軍艦2貫がいくらに埋もれてしまうほど。ほかの店員さんたちも、鳴子を打ち鳴らしたり、手をたたいたりして盛り上げます。土井政規社長は「おいしさと楽しさを両方味わってほしい」と話します。ひとつ注文が入り、豪快な一皿とパフォーマンスを見たほかのテーブルのお客さんからも、つられてオーダーが入ることがよくあるそうです。

手前右から時計回りに、「貝づくし3点盛」、「こぼれいくら」、「時鮭」、「ピスタチオプリン ベリーソースがけ」
手前右から時計回りに、「貝づくし3点盛」、「こぼれいくら」、「時鮭」、「ピスタチオプリン ベリーソースがけ」

 6~7月のおすすめは、時鮭(360円)。春のサクラマスに代わり、登場します。取材に伺った日は、根室・落石産。季節の風物詩の一皿ではありますが、近年は不漁が続き、漁獲のない時もあります。ただ、長年取引のある漁師さんや水産会社もあり、優先的に仕入れているとのこと。この価格で食べられるのはお値打ちです。

 活ホッキとホタテ、アワビを盛り合わせた「貝づくし3点盛」(655円)も地元客に人気です。季節や漁模様で産地は変わりますが、この日はホッキは釧路管内白糠町産、ホタテは根室管内標津町産。貝の食感と磯の磯の香りがしっかり。ホタテは大きく口を開けても入るか心配になるほど肉厚です。先ほどのこぼれいくらは、軍艦2貫だけではとても食べきれず、ホタテに載せて味のコラボも楽しめます。

貝づくしのホタテにこぼれいくらのいくらを載せた様子
貝づくしのホタテにこぼれいくらのいくらを載せてアレンジ

 実はなごやか亭の自慢の一つは、佐賀・有明海産の「のり」。「〆の一品」として手巻きをすすめており、ねぎとろ(506円)や十勝管内幕別町産の山ワサビとキュウリのカッパ巻き(220円)などで、のりの風味をぞんぶんに感じられます。

 手巻きで寿司を「〆」ても、まだ終わりません。なごやか亭には専用のパティシエがいて、コーヒーゼリーや冷やしぜんざいなど定番のデザートのほか、季節ごとにさまざまな甘味を用意しています。その数、10種類以上。夏のスイーツ「ピスタチオプリン ベリーソースがけ」(360円)で、本当に「〆」です。

コケの美しい日本庭園とお城のような「鮨処 なごやか亭」北野店の店舗外観
コケの美しい日本庭園とお城のような「鮨処 なごやか亭」北野店

 今回、取材で伺ったのは北野店。実は昨年12月に駐車場20台分を日本庭園に改修しました。モミジやアカマツ、アオダモなどを植栽し、一面にコケを巡らせています。池もつくり、水も流しています。入店するまでつかの間、趣のある緑を楽しめます。夜になるとプロジェクションマッピングも点灯し、コケを保全するためのミスト装置も作動するため、さながら雲海のよう。道央道札幌南インターチェンジに近いこともあり、レンタカーで新千歳空港に向かう観光客らが立ち寄ることも多く、特に外国人観光客に大好評だとか。

住所/札幌市清田区北野5条5丁目20
営業時間/午前11時~午後10時
定休日/年中無休
店舗/釧路地区4店、十勝地区3店、札幌地区9店、滋賀県2店
※情報は取材当時のものです

根室産の希少なネタと圧巻山盛り花咲ガニ鉄砲汁
🍣根室花まる

「回転寿司根室花まる」西野店の店舗外観
「回転寿司根室花まる」西野店

 根室市発祥の「回転寿司根室花まる」は、根室やその周辺からの仕入れが自慢。西野店に取材に伺いました。季節によりますが、サンマやホッキ、ホタテ、イクラ、真タチなどのほか、コマイの卵のしょうゆ漬けやタラバガニの外子など道内の人も味わう機会が少ない希少なものもあります。地元・根室の仕入れルートならではの強みです。

 すしのネタだけでなく、汁物のアサリや花咲ガニも根室産です。汁物1番人気の花咲ガニの鉄砲汁(418円)は、1杯に花咲ガニ2分の1杯を使用。直径20センチほどの三平皿の半分を花咲ガニが占め、圧巻の見た目です。

 のりで酢飯と一緒に包んで食べる「いくら包み」(418円)は、香りの良い有明のりの上にいくらを贅沢にたっぷり。同じく、のりで包んで食べる、風蓮湖産のニシンの切り込みやめんたいこは、花まるが独自に開発。ニシンやタラコのうまみが分かるように浅くまろやかに漬け、寿司に合う塩加減にしているため、たっぷり載っているのに塩辛くありません。

手前右から時計回りに、「花咲ガニの鉄砲汁」、「いくら包み」、「タラバガニのふんどし」
手前右から時計回りに、「花咲ガニの鉄砲汁」、「いくら包み」、「タラバガニのふんどし」

 1皿130円から380円のグランドメニューに加え、商品開発部が季節ごとにメニューを開発。各店は仕入れに応じて、ホタテの白子を軽くあぶったポン酢握りや卓上で殻ごと焼く根室産浜焼きホタテなど、その日のおすすめメニューを毎日、書き換えます。

 また、花まるは薬味がたっぷりついているのも特徴。この時期に人気のカツオには、ショウガやミョウガ、青シソ、セロリなど8種類の薬味がこんもりと盛り付けられ、真イワシにも新ショウガの針ショウガがたっぷり。特に女性に人気だそうです。

使う分だけ毎日玄米を精米するため、お店には置かれている精米器
お店には精米器が置かれ、使う分だけ毎日玄米を精米します

 お米にもこだわりが。道産米を玄米で仕入れ、各店で使う分だけ毎日精米しています。西野店の奥谷昌史店長は「精米したては味が違います」と話します。

 また、お寿司のお供に、根室の地酒「北の勝」大海(300ミリリットル、858円)も置いており、根室のネタにぴったりです。

 新鮮なネタが自慢の花まるですが、職人さんたちの研修も充実しています。札幌と東京に「花咲学校」という社員の研修施設があり、入社1年目に魚のさばき方やネタの切り方、寿司の握り方などいちから勉強するそうです。花咲学校には模擬店舗もあり、実践しながら熟練の技を身に付け、おいしい根室のネタをいかせるようになるのだそうです。

住所/札幌市西区西野2条2丁目4-12
営業時間/午前11時~午後10時
定休日/不定休
店舗/札幌地区6店、根室1店、中標津1店、函館1店、東京10店(立ち食い寿司7店含む)
※情報は取材当時のものです

一番人気の〝特大〟サーモン さまざまな味で提供
🍣トリトン

「回転寿し トリトン」豊平店の店舗外観
「回転寿し トリトン」豊平店

 「回転寿し トリトン」を運営する北一食品の本社は北見市。豊平店は取材に伺った平日午後3時をすぎても、30分の待ちが出るほどの人気店です。ネタの大きさを自慢するだけあり、1番人気のサーモン(242円)は長さ15センチを超え、お皿からはみだしそうです。子どもから大人まで人気のサーモンはほかに、あぶり(286円)や大とろ(同)、しょうゆ漬け(同)などがあり、全部で7~8種類がそろいます。

手前右から時計回りに「とろにしん」、「贅沢貝づくし」、「サーモン」、「生ホタテ」
手前右から時計回りに「とろにしん」、「贅沢貝づくし」、「サーモン」、「生ホタテ」

 この日のおすすめは、「贅沢貝づくし」(803円)。活アワビ、活ツブ、生ホタテの3かんのセットです。足の速いアワビとツブは殻のまま仕入れ、店でさばきます。アワビの弾力ある歯ごたえと磯の香り、ツブのコリコリ感、肉厚なホタテのサクサクとした食感が楽しい一皿です。生ホタテは生の仕入れがあった時だけの提供で、オホーツク産など北海道産が中心。この日は中サイズ(430円)でも十分に分厚く、さらに大きい大サイズ(583円)が入ることもあるそう。

 春から秋にかけては「とろにしん」(385円)もおすすめ。名前通り、まさに「とろ」。ミョウガとネギ、ショウガのみじん切りと一緒に口に入れると、嫌味のない脂をさっぱりと食べられます。小骨を手作業で取り除いており手間のかかる商品とのことですが、旬の味としてこの時期、欠かせません。

希少な「たこの子」の札を載せた皿がレーンにある様子
回らないすし店でも置いている店は多くはない「たこの子」など、希少なネタも

 「回らない」普通の寿司店でもなかなかお目にかかることのできない「たこの子」の軍艦など、水産会社とのパイプがあるからこそ出せるネタもあります。

 また、運が良ければ、「ばくだん軍艦」(242円)にも出会えます。仕込みの途中で出たさまざまな種類の切り落としがたっぷりと盛られており、お得感があります。いろいろな味を楽しむなら、「本日のおすすめ3種」もあります。この日は、本マグロ、生サーモン、生ホタテの3貫セットで715円。

 いずれのお寿司も、シャリは人肌。お客さんの口に入るまでの時間を計算して、ちょうどいい温度で仕上げているそうです。

 また、湯飲みに描かれているオリジナルキャラクターのはちまきをしたピンクのイルカも密かな人気なんだとか。

住所/札幌市豊平区豊平4条6丁目1-10
営業時間/午前11時~午後10時
定休日/なし
店舗/札幌地区10店、旭川地区1店、北見地区3店、東京2店
※情報は取材当時のものです

独自の仕入れルートで旬の味そろえ「創作」も自慢
🍣まつりや

「回転寿し まつりや」札幌菊水元町店の店舗外観
「回転寿し まつりや」札幌菊水元町店

 「回転寿し まつりや」は、釧路市発祥。取材に伺った札幌菊水元町店には、店名の通り、BGMに祭りばやしが流れていました。季節の魚介を釧路などから入手しており、タラバガニの内子や外子、ふんどしなどの珍しいネタも出します。今が旬のトキシラズも漁獲量が減っているなか、320円で提供。しっかり脂ののったオレンジ色の身を、ショウガのすり下ろしとネギで後味よく楽しめます。漁模様や仕入れの都合でネタは変動しますが、地元の仕入れルートを活用し、その時々のおいしいネタがそろいます。

 もともと、「創作回転寿司」と掲げてスタートしたこともあり、一工夫した巻物や創作寿司も得意です。「とろたく巻」(230円)はマグロのとろとたくわんを巻いて白ごまをふり、上にたっぷりと千切りの大葉が載せられています。中にとんかつを巻き込み、キャベツの千切りで覆った「キャベツのトンネル」(230円)やザンギを具にし薄焼き卵で包んだ「鳥子ロール」(230円)、卵焼きやキュウリ、うなぎ、大葉など6種類の具を盛り込んだ「ロックンロール」(320円)など変わり種メニューも多数。ただ、店舗開発部長の桜井大祐さんは「手間がかかるため、作り手の教育が必要。考案するのもメニューにのせるのもなかなか大変」と教えてくれました。

 肉寿司も提供しています。牛ロースの寿司は、ガーリックバター(288円)や魚醤(同)、ゆず塩(同)、わさびしょうゆ(同)など味の変化も楽しめます。ローストビーフ(230円)や「ホエー豚厚切りベーコン(同)などもあり、桜井さんは「家族やグループに魚が苦手な人がいても、みんなで来て楽しんでもらえる」と言います。

 デザートにもこだわりが。菓子製造業者にまつりやのプライベートブランドとして開発してもらった「手作りプリンポーネ」(288円)は1日50個限定。マスカルポーネチーズを使った10年以上続くロングラン商品で、お店で蒸し上げます。「MILKわらびもちプリン」はさっぱりしたミルク味で、もちもちとした食感。黒みつときなこで仕上げます。

店内には祭りばやしが流れ、お祭りのようににぎやかに装飾されています

 十勝管内に3店舗出店しており、十勝産のゴボウやカボチャなどを使った「ごぼうスティック」(230円)や「かぼちゃ団子」(同)、「フライドパンプキン」(同)など、サイドメニューも充実しています。

 地元産の強みを生かす一方、昨年からは沖縄からの仕入れルートを開発し、沖縄産のキハダマグロやキンメダイも入れています。沖縄のキンメダイは質が良いものの知名度が低く、不定期の入荷になるものの、九州産のブランドものの半額ほどの320円で提供。桜井さんは「コスパは最高。地元産のこだわりの一方、差別化のため進化し続けています」と話します。

住所/札幌市白石区菊水元町6条3丁目6-1
営業時間/午前11時~午後10時
定休日/不定休
店舗/札幌地区3店、釧路地区3店、十勝地区3店
※情報は取材当時のものです
お手頃価格、新鮮でおいしい魚介料理を存分に~水産会社直営の道東・白糠「やまかん」
小川郁子編集長
小川郁子編集長

 苫小牧生まれ、札幌育ち。ビール、ワイン、日本酒、お酒全般、控えめにいって好きです。食べ物の好き嫌いもほとんどありませんが、ウナギやハモ、アナゴなどニョロっとしたものは苦手です。1996年に北海道新聞入社後は、道内各地や東京で1次産業や政治、行政などを担当しました。2023年5月からTripEat北海道編集長。

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