【北広島】ハム・ベーコンの製造会社「エーデルワイスファーム」(市輪厚531)は6日から、長期間熟成させた燻製(くんせい)の豚肉を薄く削った「ベーコン節」の販売を始めた。かつお節に着想を得た商品で、札幌や北広島の飲食店にも採用されている。同社は「豚肉をかつお節のように削った加工品は国内でも珍しい。熟成したうまみが濃縮されている」とアピールする。
ベーコン節は、道産豚もも肉を約1カ月間、マイナス2度の状態で塩などに漬け込み、燻製する。さらに熟成庫で約3カ月間寝かせる。とろけるような味わいで、かみ続けても、しばらく味が残るのが特徴だ。同社の直売店で20グラム入り1814円で販売している。
開発のきっかけは5年前。同社の野崎創(はじめ)社長が考案し、同社の工場で試作品の製造に着手した。当初は原材料を通常のベーコンと同様に豚バラ肉にしたが、熟成庫で寝かせる際に乾燥した脂身の酸化が進み、味に苦みとえぐみが出るという課題が浮上。脂を完全に取り除くのは難しく、開発が難航した。
そこで着目したのが、脂身が少ない豚もも肉だった。同社は「豚もも肉は国内で需要が少なく、主にミンチにして使われる。そんな豚もも肉に付加価値を付けたい」と意気込む。
発売を前に、同社はすでに国内と欧州連合(EU)、米国でベーコン節の商標登録を行った。現在は同社のレストランや和食店「小料理なごみ」(市北進町)やワインバー「カンティネッタ サリュ」(札幌)など5店舗でサラダやリゾット、炊き込みご飯の材料に使われている。スペインの星付きレストランで腕を振るう料理人からも好評だったという。
野崎社長は「海外展開なども含め、まさに可能性の塊。これからどんどん広がってほしい」と期待している。(綱島康之)
(北海道新聞2023年7月11日掲載)
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