【伊達、洞爺湖】国内の高級ホテルに勤務してきた元ホテルマンが、洞爺湖周辺で富裕層向けに高品質な観光サービスを提供するコーディネート事業を始めた。五つ星ホテルで勤務経験のあるシェフが料理を提供するケータリングサービスを柱として、洞爺湖温泉のホテルの特別室やゲストハウスの販売も行う。新型コロナウイルス禍から回復を後押しする動きとして、関係者の注目を集めている。
事業を行うのは「LUX Hokkaido Advisor(ラックス ホッカイドウ アドバイザー)」(伊達市)の佐藤徹代表(64)。
佐藤代表は大学卒業後、東京ヒルトンホテルやパークハイアット東京、ハイアットリージェンシー京都などの高級ホテルに長年勤務。ザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート&スパを運営するサフィールホテルズ(東京)の営業統括常務取締役を昨春退職後、今年6月に事業を始めた。新たな挑戦に乗り出したのは「洞爺地域の魅力にほれ込んだから」だ。
鹿肉など地場産の食材を使ったバーベキューのケータリングが事業の柱。国内五つ星ホテルの総料理長を歴任してきた「いぶり食のアンバサダー」の飯島豪シェフが監修し、シカ肉のジビエ料理などを提供する。洞爺湖を臨む月浦地区のハーブ蒸留体験施設「ハーバルランチ」などで4~24人を受け入れる。コースは1人当たり2万2千円(デラックスは2万5千円)。
また、万世閣と提携し、洞爺湖万世閣ホテルレイクサイドテラスの露天風呂付きスイートルームや、富裕層向けゲストハウス「洞爺湖別邸進木庵(あん)」の販売などを請け負う。湖周辺の絶景ポイントなどを巡るサイクリングツアーの運営にも乗り出す。
事業展開の背景には、洞爺湖温泉がニセコやルスツなどに比べ、富裕層の取り込みで後れを取っていることがある。佐藤代表は「見どころが多く、食材も豊富なのに、富裕層は洞爺湖温泉で1泊して札幌や函館に向かってしまう。富裕層の滞在時間が延びれば、経済効果や知名度が着実に上がる」と語る。
6月中旬にハーバルランチで開かれたバーベキューのケータリングサービス内覧会では、参加した旅行業者たちが新業態に期待を寄せた。
札幌の韓国系旅行会社の幹部は「こうしたサービスはこれまでの洞爺湖観光になく、海外の富裕層に間違いなく受ける。私たちも、道内旅行の売り込みの幅が広がる」と話している。(梶山征広)
(北海道新聞2023年7月12日掲載)