【本別】町内のすし店「源すし」が建設した、町内初のビジネスホテル「和さび」が30日で開業1年を迎える。「すし屋が経営するホテル」として注目を集め、これまでに延べ約4千人が宿泊。相乗効果で併設のすし店も売り上げを伸ばすなど活況が続いている。
「きれいな部屋に泊まれておいしい料理がある。イメージ通りの店で100点満点」。釧路出張の前泊先として初めて利用した札幌の男性(59)が、源すしのカウンターでサケのハラス焼きを味わいながら笑みを浮かべた。
和さびは池田圭吾社長(42)が国の事業再構築補助金を活用し、総事業費約2億2千万円で建設。鉄骨造2階建てで延べ床面積500平方メートル。全15室で、1階にすし店を併設する。
オープンから業績は好調で、道内外のビジネス客をはじめ、観光客や工事関係者が連日利用する。同窓会などで町内や近隣町村の客も多い。冬に一時的な閑散期となったが、コロナが5類に移行してからは利用が急回復。7月の稼働率(予約含む)は過去最高の91%に達した。
大半のホテル客がすし店を利用するため、本業の売り上げも大幅に増えた。池田さんは「地元客と観光客が入り交じり、今までにないにぎわいが生まれている」と手応えを語る。
スタッフは正社員5人を含む10~80代の35人で、新築前に比べ20人増と多くの雇用を生み出した。札幌での就職を検討していた熊本美花さん(22)は、同店のアルバイトだった縁で、開業時から正社員として働く。「池田さんのおかげで大好きな地元に残ることができた。接客の仕事もやりがいがあって楽しい」と充実の日々を送る。
池田さんは「生まれ育った本別のために」との思いを原動力に、さらなる集客増を見据える。コロナ下、売り上げ確保に苦心する中、多くの町民が持ち帰りですしを注文してくれたことが忘れられない。「マチにとってなくてはならない店になることで、お世話になった方に恩返ししたい。まだまだ盛り上げていきますよ」。熱意あふれる大将が飛躍を誓った。(大井一平)
(北海道新聞2023年7月27日掲載)