水産加工業のマルハ橋本商会(小樽市祝津2)が抱える“不人気商品”が、脚光を浴びる日がようやく来るかもしれない。13年間売れなかったすり身団子が近く、大手スーパー「ラルズ」(札幌)の道央圏72店で一斉に扱われる。商品名と包装を一新したことで、冬の鍋商戦を仕掛けるスーパー側の目に留まった。
商品は「ふわふわたま助」。タラなど白身魚のすり身にキャベツやニンジンを混ぜ込み、柔らかい食感が売り。同社は「鍋だけでなく、スープ、イタリア料理にも合う。加熱しても固くならない」とする。
同商品を2010年ごろ、「たま助」の商品名で、高齢者向けとして開発。首都圏の介護施設などと契約したが、毎年200キロ製造しても「9割が在庫処分だった」という。一方、「購入し続けてくれる会社があり、製造をやめるにやめられなかった」(担当者)と打ち明ける。
この悩みを昨秋、小樽地域雇用創造協議会に相談。スーパーの元バイヤーだった小樽物産協会の小野一洋事業部長をアドバイザーに迎え、商品名を「たま助」から「ふわふわたま助」に、青一色の包装はネコのイラストのほか鍋料理の画像を配して親しみやすさを打ち出した。小野部長は「良いものなら売れるというメーカーにありがちな発想を改めてもらった。すり身の柔らかさを前面に打ち出した」と話す。
ラルズがこの商品にいち早く反応。担当した上柿佑介バイヤー(44)は「存在すら知らなかった商品だが、新たな需要を獲得できるのでは」と期待している。従来は1キロ1600円前後で販売。店頭販売に向けて現在、1パック当たりの個数や価格を調整している。(石垣総静)
(北海道新聞2023年8月23日掲載)