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2023.09.02

From北海道新聞

〈これが旬!〉大雪の水が育てるキュウリ*収穫量全道一の当麻*道内外 休みなく出荷

北海道新聞記事
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高橋佳靖さんが手塩にかけて育てる青々としたキュウリ(諸橋弘平撮影)
高橋佳靖さんが手塩にかけて育てる青々としたキュウリ(諸橋弘平撮影)

 残暑が続く中、サラダや漬物など日々の食卓に欠かせないのが、シャキッとみずみずしいキュウリ。収穫量全道一を誇る上川管内当麻町では、大雪山系の豊かな水源を生かして育て、道内外の市場に出荷する。5月下旬から始まった収穫は今、後半戦を迎えている。

 21日、よく晴れた当麻町。黄金色の稲穂の風景を行くと、当麻町そ菜研究会キュウリ部会の副部会長、高橋佳靖(よしやす)さん(39)の畑があった。高橋さんは現在、11棟計4300平方メートルのハウスでキュウリを栽培している。

 「どんどん成長するので、5月から10月まで休みは1日もありません」と高橋さんは汗をぬぐう。苗の定植から最初の収穫までおよそ60日ほど。今年は高温の影響で、収穫のペースが例年より早いという。

 午前5時から両親、パートスタッフ5人と計8人で、専用のリング状のカッターを親指にはめ、長さ22~24センチのものを選び、へたの上3ミリの部分に刃を入れていく。この日は5時間で約600キロを収穫した。

 よく見ると、青々としたキュウリの表面には先端が鋭いイボのようなものがたくさん付いていて、触れるとチクッと痛い。「イボは新鮮さの目安になる。だいたいは輸送中に角が取れてしまう」と高橋さんは説明する。

 当麻町のキュウリ部会の会員は50戸で、2021年の収穫量は約3千トンと、2位の深川市を大きく離して道内首位。全道の収穫量の約18%を占める。かつて農協がハウス栽培を推進する中で、キュウリに着目したという。選果場で箱に詰められた後は、札幌や旭川、大阪の市場へ出荷される。

 高橋さんはもともと、千葉でITプログラマーをしていた。2011年3月の東日本大震災の後、原発事故の影響で自宅近くで高い放射線量が観測され、7月、被ばくへの不安から故郷の当麻町に帰ってきた。米とキュウリを育てる父母の農業を手伝いながら「自分でいろいろと試行錯誤できるのが面白い」と感じ、17年に事業を継いだ。

 市場が求めるまっすぐなキュウリを育てるのは、大変な手間がかかる。キュウリは高温や水不足などのストレス、障害物との接触により曲がりやすい。このため、適度な換気と水やりに注意を払い、枝と枝がぶつからないよう調整する。「機嫌を損ねると、ひと月も曲がり続けることがある」と高橋さんは苦笑する。

 また、きれいな緑色を出すため、日光がどの実にも届くように、若い芽を取り除く。葉の陰になると、キュウリの色が抜けてしまうためだ。このほか、人件費と燃料、資材の高騰も悩みの種で「さらに効率の良い栽培管理の方法を見つけることが課題です」と話す。

 キュウリは暑さに弱い。このため、関東での収穫量が減る7、8月には東北や北海道が生産を補い、逆に冬季は比較的温暖な九州や四国から入荷して、融通し合っている。

 当麻町での収穫は10月中旬まで。高橋さんは「たくさん食べて夏バテを克服しましょう」と呼び掛ける。道の駅とうまに隣接するJA当麻直営農産物直売所「とうまの農産物」では、10本200円で販売している。 (有田麻子)

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*「ふりふり」で簡単漬物に

 キュウリと言えば漬物。高橋佳靖さんは普段、短冊切りにしたキュウリを一晩めんつゆに漬けて、ご飯のお供にしている。

 富良野市の野菜ソムリエ、岡野亜紀さん(48)がたくさんのキュウリの漬物を一度にまとめて作り置きしたい時にお勧めするのは「ふりふりキュウリ」だ。

 食べやすい大きさに切ったキュウリ5本と、塩小さじ1/3程度をふた付きの食品保存容器に入れ、振って混ぜる。30分置き、キュウリから出た水分を捨て、同様の容器をもう一つ用意してキュウリを等分し、片方に塩昆布、もう片方にキムチを適量入れて、再び容器をそれぞれ振る。「塩昆布は辛いのが苦手な子ども用、キムチは大人用にしています。忙しくても簡単にできますよ」(有田麻子)

(北海道新聞2023年8月31日掲載)

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