【鶴居】村内の特産品販売施設「鶴居たんちょうプラザ つるぼーの家」が、エゾシカ肉の希少部位を種類別に分けた商品の販売を始めた。村内在住のハンター菊地和広さん(63)が協力。つるぼーの家は、国内でまだ広まっていない食品の提供に力を入れている。
菊地さんは約30年前、シカの増加に伴う森林被害に危機感を抱き、ハンターになった。年平均約50頭を狩猟し、村内の処理場で自らシカ肉の解体も手掛ける。
シカ1頭からロースやモモは各数キロ取れ、ジビエ料理店向けに卸している。一方で、希少部位のウデ(肩)やランプ、スネなどは1頭あたりそれぞれ100~300グラムしかない上、知名度が低くて需要も少ないことから、希少部位を混ぜてソーセージなどに加工してきた。
ただ部位ごとに合った料理があり、菊地さんは家族ら親しい人たちの間で味を楽しんできた。つるぼーの家の店長、赤本卓也さん(34)が村内の食文化の一つとして着目。菊地さんに希少部位を種類別に分けて商品化することを提案し、9月上旬に販売が始まった。
現在は焼き肉用に切り分けた商品(300グラム、1500円)を主に販売している。菊地さんは「希少部位の魅力を多くの人に知ってもらいたい」と話す。
つるぼーの家は7月から村内で生産された羊乳のヨーグルトも販売中。国内では珍しい食品を村内産中心にそろえる考えで、赤本さんは「この場所から食文化を発信してきたい」と意気込む。(松井崇)
(北海道新聞2023年9月30日掲載)