朝からしっかり、そして美味しいごはんが食べたい―。そんな方にお届けする、札幌市内で早朝から営業している、おすすめのお食事どころをご紹介する記事の第2弾です。今回は「市場めし」や米国スタイルのサンドイッチ、曜日限定の早朝営業でしか味わえないラーメンや中華粥(がゆ)など、さまざまな朝食を楽しめる4店をご案内します。
目次
早朝4:30から豊富なメニューをセルフで気軽に
札幌市中央卸売市場 水仲食堂 順路
観光シーズンには、カニやイクラ、メロンにアスパラなど北海道名物を買い求める道内外さらに海外からの観光客で賑わう「札幌中央卸売市場 場外市場」。ここには海鮮丼や寿司、ラーメンなど北海道グルメを提供する飲食店も立ち並んでいます。もちろん早朝にはセリが行われる「食の物流拠点」市場内には、そこで働く人々の朝昼ごはんを支える飲食店も営業しています。そこは一般客の利用もOK。食に精通した市場関係者の胃袋をガッチリつかんでいるから、味・ボリュームともに間違いありません。
市場内には、業者が買い付けした魚介や青果を積み込むセンターヤードをはさんで青果棟と水産棟があり、その両方に飲食店が営業しています。その水産棟の3階に店を構える「札幌中央卸売市場 水仲食堂 順路(すいなかしょくどう・じゅんろ)」です。〝水仲〟とは、水産仲卸の略。この棟の1階では早朝から海産物のセリが行われ、それらを鮮魚店や飲食店に卸す仲卸店が軒を並べています。
同店は、美唄で商店や仕出し業などを営む会社による出店。使用する魚介類などの食材は、店名通り1階の仲卸店から仕入れるものがメインです。店内はセルフスタイルで社員食堂のような雰囲気。早朝午前4時半から営業と、まさに市場内で働く方の食事を支えています。営業時間中は、休憩や食事時間を迎えた人が次々と訪れ、しっかり朝昼食をとったり、ちょっと小腹を満たしたり、コーヒーでくつろいだり。設置された新聞などを広げながら、思い思いに過ごしていました。
メニューは観光客にもおすすめの「海鮮丼」や「鉄火丼」、仕入れによって変わる各種定食、ラーメン、ビーフカレーライス、そば、うどんなど、毎日通っても飽きない豊富な品揃え。煮魚や焼魚、「みそザンギ」、「満腹ザンギ」、「チキン南蛮」、小鉢、サラダ、納豆、生たまごなどのお好きな単品を選び、ごはん・味噌汁セット250円(ごはんのみ200円、味噌汁のみ100円)と組み合わせて、自分好みの定食にして味わうこともできます。
定食または単品・セットのごはん、味噌汁は、何度でもおかわりOK!お腹が空いている時にうれしいサービスです。仕出し業を営んでいることもあり、手作り料理の味は間違いなし。マグロは生の本マグロにこだわるなど特に魚介類の質は抜群で良心的な値段です。取材日の本マグロは函館・戸井産で、程よい脂のりと酸味を味わうことができました。またこの日の定食のアジフライは、身の大きさが15センチ以上。身厚でふっくら、食べ応え抜群です。
定食ほか、料理内容は日によって、または季節によって変わります。また、時間がない方などに好評なのが、店で手作りされる各種弁当。バラエティーに富んだ惣菜がバランスよく入り、コストパフォーマンスは抜群!
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市場への入場は、環状通側にある「西門」か、JR線高架沿いにある「東門」から管理センターを目指してください。車で来場の場合は、そこで「水産棟3階の『水仲食堂』に食事に行きたい」と伝えれば、駐車スペースを案内してくれます。徒歩の場合は、告げるだけで入場できます。詳しくは札幌市中央卸売市場アクセス情報を(https://www.sapporo-market.gr.jp/common/img/pdf/map.pdf)。
青果棟、水産棟ともに開場日には見学も可能(事前に要予約 ※詳細は https://www.sapporo-market.gr.jp/へ)。場内は市場の仕事優先。運搬車・ターレやトラックも行き来していますので、車は徐行必須。徒歩の方も交通ルールを守って入場し、おいしい朝ごはんを味わいましょう。
住所…札幌市中央区北12条西20丁目2-1 札幌市中央卸売市場水産棟3F |
電話…011・644・7188 |
座席…約50席 |
営業時間…午前4時30分〜午後1時30分 |
定休日…市場休に準ずる(基本は水・日曜・祝日) |
駐車場…あり(管理センターで要受付) |
手作り具材のN.Y.スタイルサンドイッチ
ハサミヤ
札幌市の路面電車電停「静修学園前」から札幌静修高等学校角の交差点を、校舎方向に曲がって2分ほど歩くと、ネイビーに白文字で「SANDWICH」と書かれた看板が目に留まります。地下鉄南北線「幌平橋駅」からも徒歩3分程度という好立地。2012年12月にオープンしたサンドイッチの専門店です。
アメリカ、特にニューヨークのサンドイッチ屋をイメージしたという同店は、メニューもアメリカ東海岸やニューヨーク・スタイル。現地で定番のサンドイッチを味わうことができます。
例えば、ニューヨーカーが好むという典型的〝ユダヤ系サンドイッチ〟で、ニューヨークの名物料理の1つ「ルーベン」は、コーンドビーフ(コンビーフ)とチーズ、ザワークラフト、ロシアンドレッシングをはさんだトーストサンド。ビーフの旨味とチーズのコクを塩っ気や酸味が引き立てる、食べ応えのある一品です。
もう1つ紹介したいのが「エルビス」。かのエルビス・プレスリーが好んで食べたサンドイッチで、名前の由来となっているそうです。これはベーコン、バナナ、ピーナッツバター、はちみつというユニークな具材のトーストサンド。甘じょっぱさがクセになるおいしさです。
おなじみの「ハムレタスチーズ」はその名の通りの組み合わせ。これらに使われているコーンドビーフ、ベーコン、ロースハムは全て自家製。厨房奥の勝手口手前にはスモーカーが置かれています。そのほかの具材やドレッシングなども独自の味に仕上げています。
メニューはパンを焼かないサンドイッチにトーストサンド、ホットサンドがあり、食材の組み合わせで多彩に楽しませてくれます。サイドメニュー、ドリンク、スイーツもあり、それらとサンドイッチがセットになったコンボもあり。全品テイクアウト、イートイン可能で、急ぎの方は種類は限られますが、作り置きを購入することも可能。
出店場所はオーナー・竹島悟史さんの生まれ育ったまちということですが、実は娘さんが近くの高校に進学したことで、「娘の学校の近くに店を構えれば、放課後に立ち寄ってくれるだろう」との思惑があったからとか。そんな訳で、高校生が買いやすい値段を意識しているそうで、一番安価な「チョコバナナ」は260円。近隣に愛され、遠くからもたくさんのお客さまが訪れる「ハサミヤ」。月・火・金の週3日の朝営業には同店を訪れて、1日のスタートに活力をつけませんか?
住所…札幌市中央区南16条西5丁目3-13 住地ビル1F |
電話…011・211・0868 |
座席…7席 |
営業時間…月・火・金曜午前8時〜午後4時/木曜正午〜/土・日曜・祝日午前11時〜 |
定休日…水曜 |
駐車場…なし |
「月・火曜限定」朝ラーのあっさり煮干中華そば
らーめん ほっぺ家
和食の職人から、2012年に念願だったラーメン店の道を切り開いた先代店主。キャリアから導き出した魚介豚骨の和風ラーメンは、手間と時間を惜しまない仕込みによる繊細で深みある味付けが評判となり、開店後、瞬く間に人気店に。現在は5年ほど同店で修業してきた遠藤佳輝さんが、先代の味を引き継いでいます。2023年3月から月・火曜限定で朝営業をスタート。家族思いの遠藤さんが少しでも2人の息子と奥さまとの時間を大切にするため、午後の営業時間を削る代わりに、早朝営業を取り入れたというのが始めた理由の一つ。そんな遠藤さんが作る朝ラーは、あっさり食べられて、しっかり旨味が楽しめる〝無化調〟(化学調味料を無使用)の優しい一杯です。
朝ラーのメニューは、「平子煮干そば」のしょうゆとしお2種類で勝負。「平子煮干しで取るダシは、煮干の中でもクセがなくあっさりしながら、旨味を出せるので、朝ラーにピッタリだと思って選びました。スープを飲み干していかれるお客さまも多くてうれしいですね」と遠藤店主。ダシに合わせてイワシの魚醤を隠し味に加えているのが、しっかりとした味わいのポイント。ツルツルもっちりの手もみ風平打ち麺は、このスープにぴったり。4日間もかけて完成させる太切りメンマは、先代から叩き込まれた「ほっぺ家」の味。しっとりジューシーで弾力が心地よい豚モモチャーシューは、朝メニュー向けに脂身が付いていません。これぞ〝ほっぺ家イズム〟と遠藤さんの感覚から生まれた絶品朝ラー。
遠藤さん自身、高校時代からラーメンチェーン店でアルバイトし、卒業後そのままその会社へ就職。国内外の支店長も務めましたが、独立を考えた時「一からラーメン作りを勉強しよう」と一念発起。「弟子は取らない」主義だった先代のもとに、ツテを頼って弟子入り。家庭の事情で一時、店を離れたそうですが、先代から「ほっぺ家」継承を打診され、2021年から引き継ぎました。
朝から最高の一杯を提供するため、朝ラー営業日は早朝午前3時には店に入り、仕込みを始めます。忙しい週末営業の後の月・火曜だけに体力的には大変。「お客さまと家族の笑顔を見たら、疲れは吹き飛びます」と優しい遠藤さんが作る一杯をぜひ!
住所…札幌市東区北11条東6丁目1-40 館ビル1F |
電話…011・752・0011 |
座席…9席 |
営業時間…午前11時〜L.O.午後2時45分、午後5時30分〜午後8時30分 (月・火曜は午前6時〜午前8時30分、午前11時〜L.O.午後2時45分) |
定休日…水曜 |
駐車場…4台(土・日曜・祝日は6台、朝営業時は5台駐車可能) |
日曜限定の朝営業で人気の「季節の中華粥」をお得に!
台湾小籠湯包 HUANG’S円山
札幌・円山、裏参道に面したビルの1階で2018年から営業する本格台湾料理店の「台湾小籠湯包 HUANG’S(ファンズ)円山」。台湾人のベテランシェフ・ファンさんとスタッフが作る、台湾家庭料理が楽しめるお店です。こちらは日曜日のみ午前8時〜10時の朝営業を行っており、ランチで人気の「季節の中華粥」がお得に味わうことができます。ウィークデーで疲れた身体を、優しい朝ごはんでいたわる、というのはいかがでしょうか?
「季節の〜」と名が付く通り、季節ごとに内容が変わる中華粥。食材の時期や天候によって前後しますが、10月〜11月いっぱいは「秋・豚肉と青菜」を味わうことができます。アツアツをすくって、お好みの薬味も添えて「ふぅ〜ふぅ〜」。ひと口すすると、口の中に青菜の爽やかな香りが広がります。豚肉がゴロゴロ入り、塩っ気がしっかり利いて、ネギ油の風味もいいアクセントになって食べ応えあり。
薬味の1つ、高菜漬けはファンさんの手作りです。おかゆはおかわり自由なので、お腹いっぱいになりますよ。
日曜朝営業では、「水餃子」(2個)は通常320円が280円に、台湾ジャスミン茶だと通常880円が500円になるなどの〝早起き割引〟メニューがあるのでお楽しみに。秋の次は「冬・真鯛」「春・シラス」「夏・とうもろこし」と続く予定です。お粥は作り置きしたものではなく、注文ごとに作ります。「日曜日の午前中、時間に余裕を持って、ゆっくりと楽しんでいってくださいね」と店長の桜庭美久さん。
内装は落ち着いた高級感の中に、台湾の雑貨や装飾が散りばめられて、ちょっとした現地の雰囲気を味わうことができます。
何を食べてもおいしいと評判のファンさんの料理の中でも、とりわけ「小籠包」はぜひ食べてほしい逸品。残念ながら日曜朝営業では提供しておらず、ランチかディナーのお楽しみです。注文が入るたびに皮を伸ばし、あんを包んで蒸すそうで、手作りの皮もあんも、中からあふれ出るスープも絶品です。出てくるまでに少々時間はかかりますが、食べないと損! 人気店なので、特に夜は席予約をおすすめします。
住所…札幌市中央区南1条西22丁目2-21 Palazzo裏参道ビル1F |
電話…011・590・0190 |
座席…24席 |
営業時間 ランチ/午前11時〜午後2時(L.O.午後1時30分) ※土・日曜ランチは、〜午後3時(L.O.午後2時30分) ディナー/午後5時〜午後9時30分(L.O.フード午後8時30分、ドリンク午後9時) ※日曜・祝日ディナーは、〜午後9時(L.O.フード午後8時、ドリンク午後8時30分) ★日曜は午前8時〜午前10時も営業 |
定休日…月・火曜 |
駐車場…近隣P利用で、ランチ100円引き、ディナー5000円以上利用で500円引き |