北の大地で醸した酒とご当地グルメを楽しむ催し「北海道 お酒と食のおいしいマルシェ2022」(実行委員会主催)が7月1~3日の3日間、札幌市中央区の大通公園で初めて開かれる。大通西8丁目特設会場には期間中、酒造会社や飲食店約60社が参加し、道内各地の特産品を使った酒肴(しゅこう)が並ぶ。これまで知らなかった味に出合い、酒と料理のお気に入りのペアリング(組み合わせ)を探してみては―。(拝原稔)
お酒43社 地域の限定品も
お酒はワインが17社、日本酒と焼酎が15社、クラフトビールが7社、ウイ スキーとジン4社の計43社が参加する。価格は1杯500~千円が中心で、ボトル売りは千円台~5千円を予定している。
このうち、堅展(けんてん)実業厚岸蒸溜所(釧路管内厚岸町)は、通常は厚岸町内でしか 飲めないウイスキー「牡蠣の子守唄」を特別に用意しハイボールで提供する。
道内最大手の北海道ワイン(小樽)は、日本ワインのスパークリングで最も販売量が多い「おたるナイヤガラスパークリング」などを販売。上ノ国ワイナリー(檜山管内上ノ国町)は稼働後の初商品「上の泡セイベルロゼスパークリング」 の試飲と予約販売を行う。
ワインとジンの連合テントでは、道外でも人気の山崎ワイナリー(三笠)や全国最北ワイナリーの森臥(しんが、名寄)などがグラスで商品を販売。千歳ワイナリーのハスカップワインや紅櫻(べにざくら)蒸溜所(札幌)のジンもある。
クラフトビールは澄川麦酒(札幌)が4種類の飲み比べを企画。北海道麦酒醸造(小樽)は後志管内余市町産のブドウで造った「ナイアガラエール」を提供する。日本酒は道内全酒蔵の商品を用意しており、札幌酒精工業の焼酎もある。
〝食〟17店 和洋にスイーツ
お酒に合わせるご当地グルメには17店が出店し、1品300~1500円程 度で販売する。札幌のフランス料理店のル・ジャンティオムは滝川産のカモを じっくりと油で煮たコンフィを提供する。北斗(函館)は留萌管内羽幌町産の甘エビのガーリックシュリンプを会場内で焼き上げる。
はたご家・クシロバコ(釧路)のツブ焼きや、やきとりの一平の室蘭やきとりなど各地のソウルフードもある。一久大福堂(札幌)の串わらび餅など、スイー ツと酒のマリアージュも楽しめる。
マルシェは道や札幌市、道経連、北海道新聞社などの実行委が主催。花フェスタ札幌(7月3日まで)の催しの一つとして開催する。北海道の食と観光に特化したWEBメディア「TripEat(トリップイート)北海道」でも詳細を紹介している。
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7月1日~3日、11:00~18:30(最終日は17:00まで)。会場内は立ち席のみとし、十分な間隔を取るなど、新型コロナ対策を講じて開催します。問い合わせは実行委事務局の北海道新聞社事業センターTEL011・210・5329へ。
市制100年の6市 特産集合
「北海道 お酒と食のおいしいマルシェ」の実行委には、今年が市制施行100年の節目となる道内6市も加わっており、ブースを設けて特産品の販売やPRなどを行う。
道内では1922年(大正11年)8月1日、本州同様の市制が施行。札幌、函館、旭川、釧路、小樽、室蘭が同時に市となった。
マルシェの期間中、函館市は昨年12月に稼働した酒蔵「五稜乃蔵」の日本酒の試飲や販売を行う。旭川市は地元産の赤肉メロンの試食を企画。釧路市は地元産のミルクアイスやシシャモの珍味などを売る。
小樽市も2日にアップルパイ、3日にニシンのたまり干しを無料配布。室蘭市はカレーラーメンや焼き鳥のたれの販売などでご当地グルメをPRする。
札幌市は、100年間の歩みを写真で振り返るパネル展を開く。
おいしいマルシェを100倍楽しむ方法〈飲食のルール編〉1~3日・札幌大通公園
マルシェ 新たな観光資源に*北海学園大・佐藤教授に聞く
「北海道 お酒と食のおいしいマルシェ」を開催する意義などを、北海学園大の佐藤大輔教授(48)=経営学=に聞いた。
道内では今、ワインや日本酒、ウイスキー、ジンなどのお酒の製造会社が次々に生まれています。でも残念ながら、その恩恵を実感できている人は限られているのではないでしょうか。
新しい造り手の商品は生産量が少ないため、一般市民が知る機会がなかなかありません。せっかくいいお酒を造っていても、自社の製品を売り込むストーリーづくりや宣伝があまり得意ではない会社もあります。
マルシェを通じて道民がおいしい道産酒とぴったり合うグルメを知り、道内外に広め、関係する業界が潤う好循環を生み出してほしいですね。
新型コロナウイルス禍により、若い人がお酒と出合う機会が減っています。酒造会社がフルーツビールやハスカップワインのような飲みやすいお酒を世に出し、将来の飲み手を増やしていく。そして、道内の酒造業界を持続可能な産業にし、産地の地域活性化にもつなげるという視点も大切でしょう。
マルシェのようなイベントは、一過性のもので終わらせてしまっては意味がありません。7月上旬の札幌は、道外からの観光客にとっては最高の気候です。マルシェを新たな観光資源として育てていってほしいと思います。
(北海道新聞2022年6月26日掲載)