【恵庭】市内のスイーツ店「ICHIE(イチエ) Flower&Sweets」のパティシエ高橋匠さん(32)が、国内最高峰の洋菓子コンクール「ジャパン・ケーキショー東京」のピエス・アーティスティック(あめ細工)部門で、最高賞にあたる連合会会長賞に輝いた。昨年の大会でもケーキ部門で最高賞を受賞し、2年連続日本一の快挙に「努力が報われて良かった」と胸を張る。
大会は東京都洋菓子協会などが10~11月に開催。14部門に分かれ、洋菓子の味と見た目を審査した。高橋さんは今回、ギフト菓子部門でも銅賞に入賞した。
あめ細工部門にはオルゴールをテーマにした作品を出品。ピンクゴールドとオレンジに輝く花に、本物そっくりのオルゴールとホーンが巻き付いたデザインで、120点の中から頂点に選ばれた。
高さは約50センチで、花や葉、支柱部分はあめ、オルゴールなどは砂糖菓子で「全て食べられます」と高橋さん。あめを溶かしながら引き伸ばしたり、シリコンで自作した型に流し込んだりして製作した。
高橋さんは昨年、あめ細工部門にも挑戦して銅賞を受賞したが「悔しさがあり、次は絶対にあめで日本一になると誓った」という。昨年のうちにテーマを決め、1月から小樽のオルゴール堂に通って構造を研究。6月の道大会で優勝後、全体のバランスなどを改良した。
作品は事前に部品ごとに整形し、壊れないよう飛行機ではなく新幹線で東京まで移動し、滞在先のホテルで組み合わせて完成させた。あめは引き伸ばす際、湿度が高いと鮮やかさが落ちるため、ホテルでは除湿機を4台動かしながら制作するなど細部に気を払い、その繊細な細工技術が高く評価された。
2部門制覇に「それぞれトップを取れたので、この大会はひとまず卒業」とした上で、「次は国際コンクールにつながる別の大会で結果を出し、世界の舞台に挑戦してみたい」と、さらなる高みを目指している。
作品は当面の間、同店(柏木町3)で展示している。(伊藤凱)
(北海道新聞2023年12月16日掲載)