【本別】町産亜麻を活用した商品をマチの新たな特産品に育てようと、町内の生産者有志が本格的な栽培に取り組んでいる。亜麻の種から抽出した亜麻仁油と道産タマネギのドレッシングを商品化し、12月15日から町内などで販売を始めた。生産から販売まで手掛ける6次化を目指すため、2024年3月にも法人を立ち上げる計画だ。勇足地区の富川範己さん(70)は「挑戦を続けて本別を盛り上げていきたい」と力を込める。
商品名は「十勝農家の和風タマネギドレッシング」(300ミリリットル、860円)で2200本を製造。町内の道の駅「ステラ★ほんべつ」やAコープほんべつ店、JR帯広駅内のとかち物産センター、音更町のスーパー「ハピオ」で取り扱っている。
亜麻仁油は、中性脂肪の抑制や美肌効果があるとされるオメガ3系脂肪酸が含まれており、健康食品などに活用されている。
かつて町内には亜麻工場があり、幼少期に祖父が栽培していたという富川さんは2018年ごろから亜麻に着目し20年から栽培を始めた。ドレッシングへの活用を提案した北海道フードネットワーク(事務局・帯広物産協会)が2022年、700本を試験販売したところ「すっきりとした味わい」が評判を呼び1カ月で完売した。これを受け富川さんは、実から種を取り出す農機具を導入し収穫を効率化。今年は作付面積を約2倍の0・7ヘクタールに拡大、増産に成功した。
有志は30~70代の4人。今後は化粧品の開発や、亜麻の茎から取れる繊維を使いタオルを製造する事業を模索する。亜麻以外の新規作物の開拓にも挑戦し、農業生産法人の設立も視野に入れる。
本別町農協の佐野政利組合長は「地域の新たな取り組みを可能な限り支援したい」と話す。 (大井一平)
(北海道新聞2023年12月22日掲載)