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2023.12.26

From北海道新聞

〈旬!を味わう〉マダラ 鍋料理だけじゃない*身あっさり 包み焼き、蒸し煮も

北海道新聞記事
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マダラのトルティーノ
マダラの白ワイン蒸し焦がしバターソース

 冬の鍋料理にぴったりのマダラは、安価で手に入りやすい。一方、いつも似通った調理方法になりがちでもある。もう一手間掛けたおいしい食べ方を料理の専門家に聞いた。

 水温2~4度の冷たさを好むマダラは、12月から翌年3月にかけて道内各地の沿岸で水揚げされる。脂肪が少なく、ビタミンを多く含むのが特長で、産卵に備えて栄養を蓄えるこの時期の身は、よりあっさりした味だ。

ムニエルを作る野村一正さん

 「骨が太くてすぐに取り除けるので調理しやすいですよ」と言うのは光塩学園調理製菓専門学校(札幌市)教授の野村一正さん(53)。西洋料理が専門で、カナダやフランスのレストランなどで腕を振るった経歴を持つ。お薦めの手軽で挑戦しやすい料理2品を紹介してくれた=末尾にレシピ=。

 「トルティーノ」は「重ねる」という意味のイタリア語。ジャガイモを千切りにしてタラの切り身を包んで丸めたら、焼くだけだ。「メークインを使うと、熱に強いため、形が崩れにくいです」

 タラはジャガイモの水分でじっくり蒸し焼きされる。ジャガイモはフライパンの縁に当てながら焼くと、焦げ目が付きやすく、ざくざくした食感が楽しめる。今回はサワークリームを上にのせたが、クリームチーズを使っても良い。野村さんは「子ども向けにはケチャップでどうぞ」。

 もう一品。キッチンに白ワインがあれば、蒸し煮もお薦めだ。白ワインはタラの臭みを取り除いてくれる。付け合わせのカリフラワーはゆでる時に塩やレモン汁を入れると鮮やかな白さに仕上がり、甘みも引き立つそう。

 ソースは香ばしさを出すためバターを焦がすが、焦がし過ぎには注意。焼いたタラはフライパンから直接皿に盛らず、キッチンペーパーなどの上にのせ、余分な脂や汁を取ると、ソースの味を邪魔しない。ソースは玉ネギの酸味が利き、タラのさっぱりした味わいによく合う。

 ソースはタラのムニエルにかけてもおいしい。タラに塩、コショウ、小麦粉をまぶし、油を熱したフライパンで焼き、バターを加えてさらに両面を焼く。

 ポイントは、溶けたバターをスプーンでかき混ぜながらタラにかけて焼くこと。「皮の臭みが消え、熱を閉じ込めるので、熱々のムニエルになります」。口に含むと、ほろっと身が崩れ、タラのだし汁があふれた。(文・神田幸、写真・中村祐子)

*マダラ漁獲量 16年比で倍増*22年北海道水産統計

札幌市中央卸売市場に入荷したマダラ=12月19日(神田幸撮影)

 北海道水産現勢(水産統計)によると、2022年のマダラの漁獲量は4万4979トンだった。近年は増加傾向で、16年と比べて約2倍まで増えている。

 要因の一つとして、北海道立総合研究機構(道総研)中央水産試験場の佐藤充さん(56)は「14年以前に生まれたマダラが大きく育っているのではないか」と説明する。マダラは道内全域で取れるが、特に日本海側や道南で増加している。

 一方、マダラの取引価格は下落傾向だ。東しゃこたん漁協(後志管内古平町)では、13日、地元で取れたマダラの消費拡大と付加価値向上を目指し、漁業関係者らを対象に活締め講習会を開いた。同漁協の白浜昌樹専務理事(67)は「活締めにすると、身が締まり新鮮でおいしい。白子だけでなく、身の価値も上げたい」と語った。(神田幸)

 

♢ ♢ ♢

■マダラのトルティーノ
◇材料(2人分) マダラの切り身120グラム、ジャガイモ(メークイン)180グラム、サワークリーム20グラム、バター40グラム、サラダ油大さじ2、万能ネギ、塩、コショウ各適量、イクラ少々
◇作り方
①ジャガイモは皮をむいて千切りにし、ボウルに入れて塩、コショウを振る。しんなりしたら手で包んで水気をしっかり切る。
②マダラは2センチ角に切り、塩、コショウを振る。
③ ①のジャガイモでタラを包み、水気をしっかり絞りながら形を整える。二つ作る。
④フライパンにサラダ油とバターを入れ、バターが溶けて泡が出てきたら③を入れ、両面をカリッと焼く。
⑤皿に盛り、サワークリーム、イクラ、ネギを飾る。

■マダラの白ワイン蒸し焦がしバターソース
◇材料(2人分) マダラの切り身(70グラム)2切れ、カリフラワー100グラム、サワークリーム20グラム、エシャロット(なければ玉ネギ)のみじん切り30グラム、白ワイン70cc、バター40グラム、レモン汁大さじ2、小麦粉少々、塩、コショウ、パセリ適量
◇作り方
①カリフラワーを一口大に切る。小鍋に水を入れ、塩、コショウ、レモン汁小さじ2、小麦粉を加えて混ぜ、カリフラワーを4~5分ゆでる。
②鍋の底にバターを塗り、タラを入れ、塩、コショウを加える。さらに、エシャロット10グラム、白ワイン、①の煮汁70ccを加えて火にかけ沸騰したら、ふたをして5分弱火にかける。
③フライパンに残りのバターを入れてきつね色になるまで熱する。泡立ったら火を止め、エシャロット20グラム、パセリのみじん切り、レモン汁小さじ4を加え、塩、コショウで味を調え、ソースを作る。
④ ①のカリフラワーと②のタラを皿に盛り、ソースをかける。

(北海道新聞2023年12月25日掲載)

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