【留萌】香港出身の店主羅偉明さん(58)が「萌美(ほうみ)飯店」(市内開運町3)で手掛ける本場の中華料理が人気を集めている。旅先で出会った留萌管内の人々や美しい夕日に魅了されて移住。故郷の味を武器に「人が集まるアットホームな店にしたい」と笑う。
店はテーブル5卓や小上がりを備え、10月にオープン。一番人気のネギやしょうゆの風味が食欲を誘うエビチャーハン(950円)のほか、手作りギョーザや、ピリ辛のマーボー豆腐焼きそばなど多彩なメニューを用意する。羅さんは「味が濃すぎず、飽きが来ない香港の家庭料理を再現する」のがこだわりだ。
幼少期から日本文化に関心を持ち、21歳で来日した羅さん。東京でアニメーションの専門学校に通うなど4年間を過ごした後、香港の出版社に勤めた。独立して絵画教室で20年ほど指導し、大好きな日本は旅行で何度も遊びに訪れた。
転機は5年ほど前、道内旅行で札幌から稚内に向けて北上中、たまたま小平町内の「そば&カフェからくれ」に立ち寄ったこと。店主の金野郁子さん(67)が外国人観光客向けに民泊を営んでいることもあり、会話が弾んだ。この民泊にも泊まり「出会いや、美しい夕日が忘れられない。残りの人生をここでのんびり過ごすのも悪くない」という思いが芽生えた。
ひそかに夢に描き、憧れた日本暮らし。留萌管内での体験が背中を押してくれた。日本や香港の中華料理店の厨房(ちゅうぼう)で働いた経験があり、料理が得意な羅さん。金野さんの協力を得ながら店舗探しを進め、今秋にオープンを果たした。
羅さんの店には多い日で1日40人以上が来店する。「なじみの客も増えて、『おいしかった』という声を聞くとうれしい。近所の方も親切で、留萌の温かさが身に染みる」。来夏には妻も来日して、二人三脚で店を切り盛りする予定だ。
木曜定休。年末年始は1月1~5日が休み。問い合わせは羅さん、電話080・7695・3337へ。 (吉川幸佑)
(北海道新聞2023年12月27日掲載)