【白糠】町内で水産加工品を製造するイミュー(東京)は、地場産シシャモの加工・販売を始めた。道内有数のシシャモ水揚げ量を誇る同町で、昨夏に廃業した老舗水産加工業者から伝統的製法を受け継ぎ、贈答用として人気の商品を道内外に出荷する。
全国で地場産品の開発事業を手掛けるイミューは昨年、白糠町に加工場を建設し、同町で水揚げされるブリの加工品を製造してきた。今回、老舗のマルダイ大森水産が昨年8月に廃業したことを受け、技術継承を申し出た。
大森水産はシシャモ加工を60年以上続け、道内外に根強いファンがいる。大森照子社長(78)を中心に家族5人で操業してきたが、従業員らの高齢化に伴い廃業を決めた。
イミューの社員6人は大森さんらから指導を受け、仕入れのほか、塩振りや乾燥などの技術を学んでいる。大森水産では、魚体のピンク色が鮮やかな時期にのみ、買い付けを行ってきた。さらに塩水につけ込むのではなく、手作業で塩になじませるのも特徴。乾燥させすぎない柔らかさが人気で、大森さんは「作業の手順のほか、包装の仕方など、細かいところまで教えたい」と話す。
シシャモ漁は毎年10~11月に行われ、イミューは昨年11月仕入れ分として3千食を販売し、売上高は4千万円を見込む。今後、シシャモとともに水揚げされるキュウリウオのブランド化も検討する。イミューの黒田康平社長は「地域で愛されてきた伝統の味を継承し、未利用魚を使った製品も展開できれば」としている。 (三島七海)
(北海道新聞2024年1月9日掲載)
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