【江別】道内アスパラ農家の収益増につなげようと、酪農学園大の園田高広教授(園芸学)が紫アスパラガスの新品種「RG紫色舞(むらさきしきぶ)ファースト」と「RG紫色舞ルーチェ」を開発し、いずれも農林水産省に品種登録された。両品種とも従来品種より収量が多いなどの特長があり、園田教授は「北海道を紫アスパラの一大産地にしたい」と意気込む。
紫アスパラはイタリア南部原産の野菜で、表皮にアントシアニンを多く含むため紫色となる。従来の品種は収量が少なく、病気にも弱かった。特徴である紫色も全体的に暗く、個体によって色むらができるなどの課題もあったという。
福島県の農業試験場などでアスパラの研究をしていた園田教授は、2011年に同大に着任。日高管内新ひだか町の農業生産法人「ファームホロ」から「色が明るく収量が安定した品種がほしい」との声を受け、12年、同社の協力を得て紫アスパラの新品種開発に着手した。
品種改良は従来品種の株から色や収量などで優れたものを選んで交配。17年には2品種を開発して農水省に品種登録を申請し、現地調査などを経て3月に登録された。種子は既に全国販売されている。
新品種の「ルーチェ」は従来品より多収で茎が太く、露地栽培にも適している。収穫時期は5月中旬と、グリーンアスパラよりも10日ほど遅い。「ファースト」は太さではルーチェに劣るが、収穫時期がグリーンとほぼ同じ4月下旬ごろで、ホワイトと一緒に「3色アスパラ」として贈答用の出荷が可能だ。
道内は国内有数のアスパラ産地だが、収穫作業が手作業となるため、近年は人手不足などから作付けが減っている。道農政部の調査によると、15年度に全道で1277・7ヘクタールあった作付面積は、20年度に888・5ヘクタールとなった。
園田教授は「道内はアスパラの産地としての優位性がある。付加価値の高い紫アスパラを広めて農家の所得向上につなげたい」と語った。(土門寛治)
(北海道新聞2022年7月6日掲載)
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