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2024.04.09

From北海道新聞

〈旬!を味わう〉炒めて香る 雪下ニンジン*生でも強い甘み

北海道新聞記事
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ニンジンののり塩炒め
ニンジンののり塩炒め

 厳しい冬を乗り越えた後志管内真狩村特産の「雪下(ゆきした)ニンジン」。雪解けのこの時期に収穫されるニンジンは、雪の中で潤いが保たれてみずみずしく、特有の青臭さが抜けて甘みが際立つ。

 「まずは、何もつけずに食べて」と野菜スティックでの食べ方を勧めるのは、同管内俱知安町に本所を置く、ようてい農業協同組合(JAようてい)販売事業本部の新谷一馬さん(28)。「今年は根雪になるのが遅く、ニンジンは十分な大きさに育った」と話す。

羊蹄山をバックに雪下ニンジンのおいしさをPRするJAようていの篠原佳夏さん(左)と新谷一馬さん
羊蹄山をバックに雪下ニンジンのおいしさをPRするJAようていの篠原佳夏さん(左)と新谷一馬さん

 雪下ニンジンは、通常10月末ごろに収穫されるニンジンをそのまま土中に残し、雪の下で越冬させ、翌年の春に掘り起こす。

 真狩村内で主に栽培されるのは、寒さに強い品種「紅あかり」と、フルーティーな味わいの「クリスティーヌ」の2種類。真狩村では今年は3月14日に収穫が始まり、4月20日ごろまで収穫作業が行われる見通しだ。

手作業で収穫される真狩村産の雪下ニンジン(JAようてい提供)
手作業で収穫される真狩村産の雪下ニンジン(JAようてい提供)

 約4カ月間、冬の寒さに耐えたニンジンは甘みが強い。新谷さんは「普通のニンジンは苦手でも雪下なら食べられるという声をよく聞く」と味の良さをアピールする。

 ニンジンには、ベータカロテンや食物繊維、カリウムなどの栄養素が含まれているという。JAようてい管理本部の篠原佳夏さん(24)がお勧めするのが「ニンジンののり塩炒め」=末尾にレシピ。調理時間は5分と手軽にできて、お弁当のおかずやおつまみにぴったりだ。揚げ焼きにするとニンジンの香りが引き立つ。篠原さんは「青のりのうまみ成分との相乗効果で、よりおいしくなる」と語る。

 もうひとつは「ニンジンとツナのマヨネーズサラダ」。まず、ニンジン1本を細切りにし、耐熱容器に移してラップをかけて電子レンジ(600ワット)で2、3分加熱する。次に、水分を捨て、ツナ1缶、マヨネーズ大さじ2、酢、砂糖各大さじ1、塩こしょう少々を加えて交ぜる。皿に盛り付け、白ごまをかけたら完成だ。  (斎藤夏美)

*偶然の越冬から品種開発*JAようてい29ヘクタール栽培

 JAようていによると、後志管内の雪下ニンジンは44戸の農家が計29ヘクタールで栽培する。今年の収穫量は、前年比約2割減の1400トンを見込む。真狩村産が9割以上を占め、ニセコ町や喜茂別町、留寿都村でも作られている。

京極町の施設で選別される雪下ニンジン。この後各地へ出荷される
京極町の施設で選別される雪下ニンジン。この後各地へ出荷される

 雪下ニンジンが誕生したのは1980年代前半。ある農家が秋に収穫しきれなかったニンジンを春に掘り出したところ、甘みのあるおいしいニンジンになっていた。その後、越冬に適した品種が開発され、安定した収穫となり栽培する生産者も増えた。

 収穫作業は早朝から行われる。トラクターで畑の土を掘り起こした後、手作業で土の中からニンジンを抜き取り、1本ずつ丁寧に土を払う。村内で収穫されたものは、京極町の選別施設に運ばれ、全国へ出荷される。

 道内ではキャベツやダイコンなど雪の下で冬を越す野菜がほかにもある。道農政部技術普及課花・野菜技術センター駐在上席普及指導員の斯波(しば)肇さん(57)は「野菜によって差はあるが、寒さで凍ることがないよう細胞に糖を蓄えるため甘くなる」と解説する。

♢ ♢ ♢

■ニンジンののり塩炒め
◇材料(2人分) ニンジン1本、ごま油大さじ3、青のり、塩各適量
◇作り方
①ニンジンを細切りにする。
②フライパンにごま油を入れ、切ったニンジンを炒める。
③香ばしい香りがしてきたら、青のりと塩を加えて好みの塩加減にする。

(北海道新聞2024年4月8日掲載)

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北海道新聞記事
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