【江別】食肉加工・販売のトンデンファーム(市内元野幌968)が、知床産の海産物が入った2種類の豚肉ソーセージを同社直売所で販売している。2年前の観光船事故で痛手を受けた知床を応援しようと開発した。通常、加工の際に廃棄されるタコ皮や、商品価値の低い昆布の端材を使い、食材の有効利用にもつなげる狙いだ。
ソーセージの開発は事故があった2022年の夏、知床・ウトロ(オホーツク管内斜里町)のホテルから、同社のソーセージをホテルの食事で使いたいと打診を受けたのをきっかけに着手した。引き合いがあったのは看板商品の「骨付きソーセージ」など従来品だったが、松山増男会長が「何かの形で知床を応援したい」と開発を社内で提案した。
同社では受託加工でイカソーセージを作ったことはあったが、オリジナル商品で海産物を使ったことがほとんどなかった。試行錯誤を重ね、「たこ入り」と「昆布入り」の各1種類を開発。昨夏、販売所で毎月開くセールで販売したところ好評で、オリジナルのパッケージも作り秋から常時店頭に並べている。
たこ入りはウトロの水産会社から直送されたタコ皮、昆布入りは問屋を通じ仕入れた羅臼昆布の端材をそれぞれ使用。細断、味付けなどの下加工をした上で豚肉に加えた。タコ皮は「やわらかく、しっかりとした風味が感じられる」、昆布入りは「昆布独特の粘りのある食感を楽しめる」という。
現在は市内限定の販売だが、今月からの大型連休にはウトロの「道の駅うとろ・シリエトク」の売店にも並ぶ予定だ。
いずれも1パック210グラム入り。直売所での販売価格は1パック950円。問い合わせは同社、電話011・383・8226へ。 (石井昇)
(北海道新聞2024年4月13日掲載)