【蘭越】町などが町内で研究栽培を進める薬用植物を使った商品が続々と登場している。レモンのような香りが特長の赤シソ「下阿達(しもあだち)」などが原料の飲料品を中心に、4種類を町内で販売。町の新たな特産品として知名度を高めようと、販路開拓にも力を入れる。
町と京都大、製薬開発支援大手のシミックホールディングス(HD、東京)は2020年に生薬栽培の共同研究を始めた。商品開発はシミックHDが担い、主に町外の企業が製造する。
昨年11月から今年2月にかけ、ジン製造販売の積丹スピリット(積丹町)に製造委託した下阿達のジン(500ミリリットル入り1万1千円)のほか、下阿達ハーブティー(15パック入り3780円)、下阿達から精油を抽出して作った手や髪用バーム(10グラム入り3080円)、苦みが特長のヒキオコシ(延命草)のトニックウオーター(200ミリリットル入り500円)を売り出した。素材の色や香りを楽しめると反応は上々という。
下阿達の商品では、4月中旬に町地場産業振興加工センターが製造する濃縮ジュース、6月に神奈川県のクラフトビール醸造所の協力でビールをそれぞれ発売予定だ。
町内では地元農家が下阿達の栽培に取り組み、本年度は家庭でも使いやすいよう生葉の販売を始める。現在は町の施設でのみ育てている高麗人参も農家に広げる。
シミックHDは、ニセコ地域のホテルや飲食店へ販路を拡大したい考え。同社担当者は「農家の生産意欲の向上につながる。地域内で6次産業化し、ブランド価値を高めたい」と話す。
商品は町内の「街の茶屋」や道の駅などで販売するほか、町内の飲食店で味わえる。ジンとハーブティーは町のふるさと納税の返礼品にも採用されている。 (加藤遥花)
(北海道新聞2024年4月12日掲載)