【美瑛】キャンプ場経営などの「旅する会社」(中富良野町)は4月27日、白金温泉に素泊まり宿「湯処(どころ)杖(つえ)忘れの湯」(17室)をオープン。コロナ禍の影響で昨年休館した「美瑛白金の湯」を改装し、レストランを併設した。木の温かみがあふれる落ち着いた内装となり、前川泰揮社長(61)は「のんびりと温泉を楽しんでもらいたい」と話す。
同社は2014年、札幌出身の前川社長が東京の外資系保険会社を脱サラして設立。中富良野町で「星に手のとどく丘キャンプ場」や、ジンギスカンを提供するレストランなどを手がけている。
杖忘れの湯の建物は1967年に旧国鉄の保養所として建てられ、鉄骨造2階建て延べ約千平方メートル。売りに出されていたところを同社が2016年に購入し、美瑛白金の湯として営業を始めた。だが、コロナ禍で客足が遠のき、光熱費などの高騰も重くのしかかり、昨年2月に休館した。
それでも前川社長は自身が60歳を迎えたことを機に「会社員であれば定年。第三の人生を歩みたい」と改装オープンを決意。事業の柱であるキャンプ場運営を長男に任せ、新たな一歩を踏み出した。
外装に加え、利用しやすいよう客室とトイレのレイアウトも変更。木を多用し、壁紙も貼り替えて柔らかい印象のデザインに一新した。一方、浴場はレトロな雰囲気を残そうと、壁の塗り替えなど最小限のリニューアルにとどめた。
併設するレストラン「ひつじの丘ジンギスカン白金温泉店」(38席)では、宿泊者向けにサフォークジンギスカン(1210円)やビール(600円)などを提供する。ランチ時間帯(正午~午後2時半)は宿泊客以外も利用できる。
杖忘れの湯は、白金温泉の源泉が湧き出ているところから最も近い温泉施設であることも売りで、前川社長は「値段以上のサービスを提供できる宿にしたい」と意気込む。宿泊は1泊1人3950円から。温泉は午前7時半~同10時と同11時半~午後5時の日帰り入浴(580円)も受け付ける。問い合わせ、予約は杖忘れの湯、電話090・1302・1422へ。(山中悠介)
(北海道新聞2024年4月20日掲載)
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