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2024.05.17

ライラックワインガーデン2024の〝穴場〟「しりべしに行くべし!仁木・余市セレクション」~後志のフードと仁木・余市のワインのペアリング

小川郁子編集長
小川郁子編集長

 苫小牧生まれ、札幌育ち。ビール、ワイン、日本酒、お酒全般、控えめにいって好きです。食べ物の好き嫌いもほとんどありませんが、ウナギやハモ、アナゴなどニョロっとしたものは苦手です。1996年に北海道新聞入社後は、道内各地や東京で1次産業や政治、行政などを担当しました。2023年5月からTripEat北海道編集長。

「しりべしに行くべし!仁木・余市セレクション」のブース。立ち飲みのほか、テーブル席もあります

 札幌・大通公園7丁目で開催中の「ライラックワインガーデン2024」の一画で、おもしろそうなコーナーを見つけました。「しりべしに行くべし!仁木・余市セレクション」です。後志管内産の農産物加工品やスイーツなどと、北海道内で最もワイナリーが集積している余市・仁木両町のワイナリーのワインをシニアソムリエの阿部真久さん(NPO法人ワインクラスター北海道代表理事)監修の下ペアリングし、提供しています。ワインガーデンではグラスワインが1000円前後で提供されていますが、このコーナーでは同じ価格帯でそのワインにぴったりの一口おつまみが付いており、お得な〝穴場〟です。

後志管内産のフードと仁木・余市両町のワインをペアリングした阿部さん

 仁木、余市両町は国の構造改革特別区域法による「ワイン特区」の認定を受け、ワイン醸造の新規参入者への支援などが実施されており、2024年4月現在、余市には19軒、仁木には6軒のワイナリーが開業しています。それらのワインと地元の食材のペアリングを体験してほしいと、阿部さんが監修し、6つのペアリングを実現させました。

余市ワイナリー白「ケルナー シュール・リー」×カネト水産(古平町)「たらこの燻製」(1200円)

余市ワイナリー白「ケルナー シュール・リー」とカネト水産「たらこの燻製」

 塩辛やニシンの切り込みなど水産物の加工品は、ワインというより日本酒に合いそう。タラコもそのまま白ワインと合わせると、生臭さが全面に出てしまい、ミスマッチです。阿部さんは、クリームチーズを合わせることでタラコの生臭さを油分でマスキングし、タラコのうまみやしょっぱさ、くん製のスモーク感をうまく引き出しました。

 シュール・リーは、ワインの製法のひとつで、おりの上で熟成させる手法。ブドウの果汁に酵母を加えると、アルコール発酵をする過程で酵母の「死骸」が沈んで底におりがたまります。通常はおりを引き、熟成させますが、シュール・リーはおり引きせずおりと一緒に熟成させます。これによって、おりが自己分解してアミノ酸や多糖類に変わってワインにうまみが溶け込みます。このうまみ成分が、水産物などの生臭みを消す効果があるとされています。

 実際に味わってみると、クリームチーズを加えた時にはまろやかさとタラコの塩気、ワインのうまみが一体になっておいしいのですが、タラコだけとワインだと生臭さが鼻につきます。びっくりです。

 阿部さんは「ただ軽快な白ワインだと、タラコとは全く合いません。クリームチーズを加えたこと、また、シュール・リーの特性によって、合わないはずのものがぴったりと、おもしろいペアリングとなりました」と説明します。

余市ワイナリー赤「アッサンブラージュ果実の旨味」×南保留太郎商店(余市町)「燻し奴」(1000円)

余市ワイナリー赤「アッサンブラージュ果実の旨味」と南保留太郎商店「燻し奴」

 「燻し奴」は豆腐のくんせい。白ワインだとスモーク臭に負けてしまい、ワインのおいしさが感じられないので赤ワインをセレクトしたそう。果実の旨味はピノ・ノワールとキャンベルアーリーの2種類のブドウ果汁をブレンドした果実感がある軽やかな酸味のワインです。

DEAN&DELUCAの赤ワインソルト
ワイン色のソルトにローズマリーなどが混ぜ込まれています

 さらに赤ワインとの相性を良くするために、燻し奴に食品のセレクトショップ「DEAN&DELUCA」の赤ワインソルトをかけました。赤ワインソルトは赤ワインの風味や香りがあるほか、ローズマリーやオールスパイスで香り付けされており、塩味と酸味を感じます。阿部さんは「赤ワインソルトをかけることで、燻し奴が赤ワインにぐっと寄り添い、一体感が生まれました」と話します。

キャメルファームワイナリー スパークリング「ブリュットナチュレ ドザージュゼロ」×楽SIMO(余市町)「ドライトマト」(1200円)

キャメルファームワイナリー スパークリング「ブリュットナチュレ ドザージュゼロ」と楽SIMO「ドライトマト」

 ヨーロッパ系ワインブドウの「ブラウフレンキッシュ」を100%使ったスパークリングで、高い酸のきりっとした辛口のゼロ。阿部さんは「さっぱりしたフードだと、味気なくてつまらない」と思い、うまみの強いドライトマトを合わせました。トマトは乾燥させることで、グルタミン酸とグアニル酸がぎゅっと凝縮され、うまみのかたまりに。水分の飛んだ固いドライトマトを口に含み、かみしめながらワインをすすると、トマトのうまみが引き立ち、さらにワインのみずみずしさやエレガントな香りがひときわ感じられます。阿部さんは「両方を組み合わせることで完成された味になります」と言います。

NIKI Hills Winery スパークリング「NEIRO ペットナット」×フルーツラボプチドメーヌ仁木(仁木町)「ブルーベリーのマドレーヌ」(1300円)

NIKI Hills Winery スパークリング「NEIRO ペットナット」とフルーツラボプチドメーヌ仁木「ブルーベリーのマドレーヌ」(マドレーヌはカットして提供します)

 NEIROはワイン用ブドウのバッカス100%でさわやかな味わい。ペットナットはブドウの果汁を1次発酵させている途中でびん詰めし、アルコール発酵の過程で発生する炭酸ガスがワインに溶け込み、発泡するスパークリングです。アルコール度数が低く、ブドウの甘さが残っているのが特徴です。NEIROペットナットは一般に販売しておらず、ワインガーデン限定のリリースです。

 マドレーヌは仁木町の「きのこ王国」で販売されています。マドレーヌには塩やたっぷりのバターが使われており、しっかりした味わい。NEIRO ペットナットのさわやかさと果実味が、マドレーヌの塩味とバターの香りにぴったりで、ブルーベリーの甘さやフルーツ感ともマッチします。

余市ワイナリー「ナイアガラスパークリング」×すこやか自然農園(余市町)「炙りりんごミックス」(1000円)

余市ワイナリー「ナイアガラスパークリング」とすこやか自然農園「炙りりんごミックス」(りんごミックスは皿に盛って提供します)

 ナイアガラは余市でワイン醸造が始まる前から生産されている食用にもなるブドウ。それと、フルーツのまち・余市を代表するリンゴを合わせました。炙りりんごは、北斗とふじ、昴林を厚めにむいてじっくり乾燥させ、まきストーブであぶってあり、水分が飛んで凝縮されたうまみと、炙った香ばしさが、ナイアガラの華やかな香りにぴったり。阿部さんは「カサカサとしたリンゴの食感と一緒に楽しんでほしい」と話します。

余市ワイナリー ロゼ「ロゼ・ド・セニエ」×フルーツラボプチドメーヌ仁木(仁木町)「りんごのシフォンケーキ」(1100円)

余市ワイナリー ロゼ「ロゼ・ド・セニエ」×フルーツラボプチドメーヌ仁木「りんごのシフォンケーキ」(シフォンケーキはカットを提供します)

 「ロゼの鮮やかさ、かわいらしさとリンゴのフルーツ感を合わせました」と阿部さん。しっとり、ふわっとしたシフォンの柔らかさと、ロゼ・ド・セニエの軽い口当たりがぴったりです。

 「しりべしに行くべし!仁木・余市セレクション」はライラックワインガーデン会場の大通公園7丁目の南側の西端で開催中。26日(日)までの午前10時から午後9時まで(午後8時半ラストオーダー)。

「ライラックワインガーデン2024」開幕~北海道産ワイン200種以上も!~5/26まで札幌大通公園7丁目で
小川郁子編集長
小川郁子編集長

 苫小牧生まれ、札幌育ち。ビール、ワイン、日本酒、お酒全般、控えめにいって好きです。食べ物の好き嫌いもほとんどありませんが、ウナギやハモ、アナゴなどニョロっとしたものは苦手です。1996年に北海道新聞入社後は、道内各地や東京で1次産業や政治、行政などを担当しました。2023年5月からTripEat北海道編集長。

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