生活全般に物価高の影響が広がるなか、札幌を代表する庶民の味、ラーメンも1杯1000円以上の店が増えています。そうしたなか、札幌中心部にありながら500~600円台で熱々の1杯を提供している4店を紹介します。
目次
「ワンコイン」を貫く 鶏白湯の「醤油」&「塩」
らーめん・サッポロ赤星
開店から20年以上、「ワンコイン」にこだわり、500円というお手軽価格で市民や観光客のお腹を満たしてきたのが「らーめん・サッポロ赤星」です。狸小路商店街の西端、7丁目、カウンター9席のみの店は、昼時と夜はほぼ満席が続きます。
いずれも500円の「醬油」と「塩」のスープは鶏白湯が基本。「醬油」にはかつお節を使った醬油だれを、「塩」にはアサリを使った塩だれを組み合わせ、まろやかな口当たりのいいスープに仕上がっています。卵を使わない白い中細の特製めんは、少し縮れており、スープをほどよく吸い上げます。具は柔らかめのチャーシューとメンマ、麩(ふ)、角切りの白ネギ。たっぷりの岩のりが香りよく、とてもいいアクセントになっています。
カウンターに置かれた、さば節とニンニクパウダーをブレンドした「さばにんにく粉」をスープに混ぜると、コクとうまみが増します。チャーハンなどの料理にも合うそうで、お土産用(300円)も販売されているほど、人気の特製調味料です。さらに、ピリ辛味の鶏ひき肉を団子状にした「ピリ辛赤玉」(150円)を追加し、ほぐしながら食べるのもおすすめ。最初はそのまま、途中でさばにんにく粉を入れ、終盤でピリ辛赤玉を追加すれば、1杯で3つの味が楽しめます。
大盛りや味玉、ネギやメンマの増量は各100円。「味噌らーめん」は800円。時間によっては並ぶこともありますが、午後2時から5時ころは、比較的入りやすくなっています。開店以来、2回の消費税増税も乗り越え、ワンコイン据え置きを貫く「らーめん サッポロ赤星」は貴重な一軒です。
住所/札幌市中央区南3条西7丁目7(市営地下鉄大通駅、すすきの駅から徒歩8分) |
電話/011・272・2065 |
営業時間/午前11時~午後11時 |
定休日/なし |
※記事中、「醤油」「塩」の価格について「500円」とありますが、現在は「600円」となっています(2024年9月4日更新)
「和食」を感じる看板メニュー「煮干し中華そば」
和×バル HARERUYA大通店
和の食材と手法を生かした創作料理が人気の「和×バル HARERUYA(ハレルヤ)大通店」ではランチタイムに、和食のエッセンスを取り入れた看板メニュー「煮干し中華そば」を1杯550円で提供しています。「バル」を名乗るだけに店内はおしゃれで開放感のある空間で、女性1人でも入りやすい雰囲気です。
煮干しをメーンに、かつお節やイワシ、ウルメイワシ、アゴなどを使い、透明感がありながら、奥行きも感じるだしを取ります。しょうゆ味のスープは、一口目はあっさりですが、こくも感じます。これに合わせる低加水の特製中細ストレートめんは、のどごしと歯ごたえを楽しむことができ、スープによく絡みます。具はチャーシューと角切りの白ネギ、なると、のり、メンマとシンプルで、中華そばの王道の外見です。
ちょっと物足りないという人には、「ちゃわんカレー」(200円)や「台湾式肉そぼろ飯」(同)、鶏唐揚げ3個(同)、ミニサラダ(150円)もあり、ボリュームも栄養バランスもばっちりです。
このほか、自慢の鶏唐揚げをのせた「鶏唐揚げ中華そば」(700円)や「台湾拉麺」(750円)もあります。大盛りは各100円増し。定食も提供しており、煮干し中華そばのハーフが付いた「本日の日替わり」(900円)や「チキン南蛮」(同)も人気です。
夜はお酒に合うオリジナル創作料理のバルとなりますが、「締めの1杯」として、煮干し中華そばも700円で提供しています。
同店は東区のラーメン店「麺や ハレル家」の2号店として2013年にオープン。本店は休業中ですが、大通店とオフィス街にある系列店「和食バル はれるや北1条店」(札幌市中央区北1条西3丁目3 敷島北1条ビル地下1階)で、中華そばの味を守っています。北1条店でも、ランチタイムに550円で提供しています。
住所/札幌市中央区大通西6丁目6-9(市営地下鉄大通駅から徒歩2分) |
電話/011・252・7733 |
営業時間/午前11時半~午後3時半(ラストオーダー3時)、午後5時半~11時(同10時半) |
定休日/なし |
昔ながらの味と値段の「しょうゆ」に町中華の心意気
東京五十番 大通西1丁目店
メニューで「昔ながらの味と値段」とうたう、札幌市民に長く愛される町中華「東京五十番」の大通西1丁目店は、看板にいつわりなく、看板メニュー「しょうゆラーメン」を550円で提供しています。値上げはしているものの、庶民に優しい町中華の心意気を守り続けています。
しょうゆラーメンは、鶏ガラと野菜で取った透明感のある澄んだスープ、固めのチャーシューとメンマ、のり、刻みネギとシンプルな具で、どこか懐かしさを感じさせるビジュアルです。やや縮れた細めの玉子めんに、ほんのりショウガの香りの漂うスープがよく絡みます。あっさり軽めで食べやすい昔風の中華そばで、東京五十番の伝統を受け継ぐ1杯です。
めん類はほかに、「塩ラーメン」(700円)や「味噌ラーメン」(780円)、「麻婆麺」(850円)、「広東メン」(880円)、「担々麺」(同)など、町中華の定番が並びます。ほかのメニューも豊富で、一品料理や点心のほか、半ラーメンと半チャーハン、唐揚げ、サラダ、ヨーグルトが付くお得な「五十番セット」(1000円)などのセットメニューも人気です。アルコールなどのドリンクと料理1品、ぎょうざ3個の「晩酌セット」(1400円)は昼でも注文でき、ドリンクはびんビールも選べてお得です。
カウンター6席、テーブル6つの小さな店なので、ランチタイムは混み合いますが、アイドルタイムのない通し営業なので、遅めのランチや早めの晩酌など、使い勝手が良いのもうれしいところです。
「五十番」は、明治時代に横浜・山手にあった外国人居留地に移り住んだ中国人が中華料理店を始めたのが始まり。明治末期にその店で働いていた日本人が東京・浅草の食堂の中華部門を経て、大正時代に独立して、東京・神田で「神田五十番」を起こし、のれん分けや料理人の独立で店が増えていきました。札幌には1961年に進出。大通西1丁目店のほか、麻生店(札幌市北区北39条西4丁目1-5 イオン札幌麻生店2階)とフランチャイズのすすきの店(札幌市中央区南5条西6丁目1 五條新町1階)でも、しょうゆラーメンを550円で提供しています。
住所/札幌市中央区大通西1丁目14-2 桂和大通ビル50地下2階(地下鉄大通駅直結) |
電話/011・271・2010 |
営業/午前11時~午後9時 |
定休日/なし |
厳選素材でとっただしの「煮干し正油」に行列
ラーメン木曜日
札幌市電の西線9条旭山公園通停留所近くの「ラーメン木曜日」は、ラーメンファンが列をなす煮干しラーメンの人気店です。看板メニューの「煮干し正油ラーメン」は630円。以前はワンコイン以下で提供していましたが、煮干しの価格高騰でやむなく値上げ。それでも、味へのこだわりや客への丁寧な対応を含め、満足度の高さを行列が証明しています。
厳選した3種類の煮干しと利尻昆布でとっただしは、柔らかく深みがあり、スープを口に含むと煮干しのうまみが広がります。めんは、道産小麦を使った全粒粉入りの自家製ストレートめんで、小麦の豊かな香りが楽しめます。その日の気温や湿度によって、水分量などを調整するこだわりよう。基本は細めんですが、数量限定で太めんや、少し時間がかかるものの手もみめんへの変更もできます。めんの固さやスープの油の量、味の濃淡など、好みにも合わせてくれます。
具はあっさりした豚ロースのチャーシューとメンマ、ネギとシンプル。追加でお好みチャーシュー(3枚、150円)、豚バラチャーシュー(同200円)のほか、50円で味付け玉子やゆでもやし、メンマ、ネギ、10円でのりと麩(ふ)を追加でき、好みでカスタマイズできます。ネギが苦手な人には、ネギをメンマに替えるなど苦手な具材の交換にも応じてくれます。さらに、無料の柚子皮や柚子胡椒(10円)を入れると、よりすっきりした味わいになり、味の変化も楽しめます。
このほか、自家製煮干しラー油を使った「カラニボ」(680円)と「つけ麺正油」(730円)、「カラつけ麺」(780円)があります。
店名の「木曜日」は、店主が以前働いていたスープカレー店の定休日からきており、その日だけ間借りでラーメンを提供していたためだそう。駐車場は3台のみで、近くのコインパーキングを利用した人には、麺の大盛りや小ライスなどのサービスをしてくれます。店主夫妻2人の細やかな気遣いもうれしい、味、価格、サービスと三拍子そろった名店です。
住所/札幌市中央区南8条西13丁目3−35 ビブレ南8条(札幌市電西線9条旭山公園通から徒歩3分) |
電話/011・563・6525 |
営業時間/午前11時~午後3時。売り切れ次第終了 |
定休日/日曜 |