【新冠】町内の食肉加工業「北海道食美楽」は今月から、エゾシカ肉を使ったレトルト食品の販売を開始した。同社が加工食品を販売するのは初めて。道の駅「サラブレッドロード新冠」で販売されているほか、町のふるさと納税の返礼品としても扱われている。
同社は2005年の創業以来、ハンターから買い取ったエゾシカを食肉に加工処理し、レストランなどに販売する食肉加工業を主として営業していた。
しかし、新型コロナウイルスの影響で、飲食店のシカ肉需要が落ち込んだことを受け、昨年4月から「誰でもおいしく手軽に食べられること」をコンセプトに、狩猟肉の販売、商品開発などを手がける「クイージ」(東京)と共にレトルト食品の開発に着手した。
新商品はエゾシカ肉を米油で煮込んだ「オイル煮」で、カレーのような「エスニックスパイス風味」、ローズマリーなどが香る「プロヴァンスのハーブ風味」、和風の「柚胡椒(ゆずこしょう)風味」の3種類。島根県にあるクイージの工場で製造した。価格はいずれも750円(150グラム)から。
シカ肉はしばしば、血抜きなどの処理が適切にされないまま、ハンターと飲食店が直接やりとりする場合がある。そういった肉を食べた人の中には、シカ肉に「まずい・固い・臭い」といったイメージを抱くケースが多いという。
北海道食美楽ではハンターとの間で狩猟方法を厳格に定め、高品質の食肉を確保。8日から道の駅で販売を始め、道外から訪れる観光客を中心に人気だ。同社で開発に携わった赤田亜矢子さんは「臭さは全くなく、口の中でとろけるやわらかさ。ごろっと入ったシカ肉をぜひ楽しんでほしい」とPRしている。
日高管内では従来、新ひだか町の「ウタリ共同養鹿(ようろく)加工組合」が、エゾシカの缶詰やソーセージ、ジンギスカンなどを出荷しており、同町のふるさと納税の返礼品でも扱われている。今回、新たに参入した北海道食美楽も、オイル煮に加え、カレーなどの新たな商品の開発を計画中という。(石井純太)
(北海道新聞2022年7月22日掲載)
シカ肉ゴロゴロ カレー缶詰*足寄「やせいのおにくや」×陸別「浜田旅館」*すね、もも使用 「キャンプ飯」需要狙う