定置網を破壊したり、市場では値段がつかないなど、厄介者扱いされている近海産のサメを使った「函館サメフライバーガー」を、函館市の海産物卸問屋「福田海産」(宇賀浦町)が開発した。小骨がなく食べやすい点などをアピールし、毎週木曜日に同店で販売している。
発案したのは、同社水産加工工場長の斉藤いゆさん(33)。昨年10月、生後11カ月だった息子の離乳食を作る際、小骨がなく忙しい親でも調理しやすいサメの活用を思いついた。
渡島総合振興局によると、2023年の速報値でサメ類の漁獲量は約57.7トンで、全道の漁獲117.8トンの半数を占める。流通するのはむき身がほとんどだが、アブラツノザメは体長最大1.2メートルほどで、手作業なら大人が全体重をかけ皮を剝ぐようにさばくため、かなりの労力が必要だ。函館には加工施設もなく、消費者にもなじみが薄いが、低脂質・高たんぱくで、寄生虫のアニサキスがいないなど利点がある。
サメフライバーガーには、函館近海で水揚げされたアブラツノザメやホシザメを使用。いずれも味は淡泊でくせがなく、白身魚に似ており、子どもたちにも好まれやすいフライにした。今春に市内の認定こども園の給食でサメフライを出したところ、園児たちの完食率も高かったという。
フライの上にはタルタルソース、下にはウスターソースを混ぜたトマトピューレを塗った。爽やかな酸味がフライになじみ食べ応えがある。斉藤さんは「サメは親子で安心して食べられるので親しんでほしい」と話す。
600円。7月13、14日に函館市国際水産・海洋総合研究センター(弁天町)で開かれる「函館マリンフェスティバル2024」でも販売される。 (星茉莉枝)
(北海道新聞2024年6月17日掲載)