【剣淵】町内で栽培されたキヌアやアスパラガス、トウモロコシを使ったユニークなお茶が相次いで誕生している。いずれも町内農家13戸でつくる農産物販売会社「けんぶちVIVA(ビバ)マルシェ」が原料を供給。一部は町内の道の駅で販売され、ベトナムなど海外に輸出されたものもある。町産農作物の新たな付加価値を生み出せるか、注目される。
南米原産で町特産の穀物キヌアの種子を焙煎(ばいせん)して作るキヌア茶は、ほうじ茶のような色合いで、癖のない香ばしい味が特徴。風味が出やすい三角すいのティーバッグに詰めた。飲料原料製造会社「京都グレインシステム」(京都)が昨年4月から1年近くかけ、旭川市内の旭川フードデザイン研究所で開発した。
栄養価が高く「スーパーフード」とも呼ばれるキヌアを、日本の食文化に定着しているお茶に加工することで、日本食を好む健康志向の富裕層を狙ったという。同社は中国など東アジアに販路を持ち、3月下旬にベトナム、中国、タイのバイヤーに1袋10パック入りのキヌア茶を20~30袋ずつ輸出。需要が見込めれば本格輸出する計画で、田宮尚典専務は「東アジアなど海外では道産食材のネームバリューがあり、売りやすい」と説明する。
アスパラ茶は、アスパラを出荷する際に長さをそろえるため、切り落とされた根元の部分を活用。やや苦みはあるものの、素材の風味を堪能できるお茶となった。とうきび茶は、収穫が遅れて生食用に販売できなくなったトウモロコシを使用した。甘くまろやかな後味が楽しめる。
いずれも道産資源で商品開発を行う合同会社「人考研」(札幌)が企画し、札幌市内の製造会社が乾燥、焙煎してお茶に仕上げた。同社の独自ブランド「北海道もったいない印」のアイテムとして、昨年12月に商品化された。
VIVAマルシェの高橋朋一社長(45)は「国産キヌアを使ったキヌア茶は他にない面白い商品。アスパラ茶、とうきび茶は食品廃棄の削減につながり、持続可能な開発目標(SDGs)の理念にかなうものになった」と成果を自負。アスパラ茶ととうきび茶について「おやつとしてそのまま食べてもいい」と勧める。
アスパラ茶、とうきび茶はいずれも1袋50グラム648円で、町内の道の駅「絵本の里けんぶち」で3月下旬から販売中。キヌア茶は、6月からVIVAマルシェを通じ、道内外のスーパーや百貨店などで販売予定だ。(宗万育美)
(北海道新聞2022年4月21日掲載)