甘みと香りがしっかり感じられる江別市産のブロッコリー。収穫の最盛期を迎えている。市内の農業生産法人アンビシャスファーム社長の柏村(かしわむら)章夫さん(41)が勧める食べ方は「ブロッコリーの唐揚げ」だ。
「まるごと1個食べられる」と柏村さんが一押しする唐揚げ。作り方のポイントは、片栗粉をまぶしてからしばらく置くこと。衣がはがれにくく、焦げ付かずに揚がるという=末尾にレシピ。
濃いめの味付けで、ご飯のおかずやおつまみにも合う。
ブロッコリーと言えば、ふさふさのつぼみの部分がメインと思われがちだが、実は、茎もおいしく食べられる。茎は、ブロッコリー特有の青臭さが薄めで、野菜が苦手な子どもたちも比較的食べやすい。「茎の肉巻き」にするとおいしく、人気という。
まず、ブロッコリーの茎1個分の皮をむき、縦4等分にし、塩をひとつまみ入れた熱湯で約2分ゆで、湯を切り自然に冷ます。薄切りの豚肉100グラムに軽く塩コショウをし、小麦粉を薄くつける。ブロッコリーの茎に肉を巻き付け、油を薄く引いたフライパンでこんがり焼く。肉に火が通ったら余分な油をキッチンペーパーでふき取ってから焼き肉のたれ大さじ2を入れて全体に絡めて照りが出たら完成。
「食感が残り食べ応えがあって間違いなしの一品」と柏村さんが推すのは「ブロッコリーのカリカリ焼き」。ブロッコリー1株はよく洗い、小さめの小房に分ける。茎は厚めに皮をむいて細かく切り、ベーコン3枚も1センチ幅に切る。ボウルにブロッコリー、ベーコン、ピザ用チーズ60グラム、片栗粉大さじ3、コンソメ小さじ2を入れてよく交ぜ合わせる。少量の油を引いたフライパンに平らになるように具材を敷き詰め、ふたをして中火で5分焼く。焼き色が付いたらひっくり返し、ふたをして再度5分焼く。焼き色が付いたら食べやすい大きさに切って出来上がり。作り方のポイントについて柏村さんは「ブロッコリーを小さめに切ると、カリっとした食感が増す」と話す。(斎藤夏美)
*江別の収穫量 道内トップ*品種組み合わせ秋まで安定出荷
農水省によると、道内のブロッコリー収穫量は2022年、2万7600トンで全国1位。中でも江別市の収穫量は道内トップの2705トン(同年、道など調べ)となっている。
江別市内で栽培される主な品種は、寒さに強く4月下旬頃に植える「ピクセル」、「沢ゆたか」、「おはよう」や、夏の暑さに強く6月以降に植える「サマーポイント」、「SK9-099」、「SK8-123」。JA道央によると、江別市内では本年度、75戸が211ヘクタールで栽培している。
市内では、もともと米や小麦などを中心に栽培していたが、米価下落の影響を受け、1985年ごろから収益性の高い作物の栽培への転換を模索。栄養価の高い緑黄色野菜がブームとなり注目される一方、土壌条件をあまり選ばず風害などの影響を受けにくい作物として「ブロッコリー」が最重要品目の候補に挙がり、93年から野幌地域での作付けが始まった。
現在では、作型や品種を組み合わせることで、春から秋まで安定して出荷する体制を整え、全国各地の市場でも販売されている。JA道央営農センター青果園芸課の松崎好行課長(41)は「より多くの人に食べてもらいたい」と話す。
農業法人アンビシャスファームは今年、4ヘクタールで栽培。収穫作業は早朝から。野菜専用の包丁を使って茎や周りの葉を切るといった、手作業で進める。柏村社長は「今年は適度に雨が降っているので、順調に育っている」と話す。収穫は、6月上旬から始まり10月ごろまで続く見通し。
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■ブロッコリーの唐揚げ
◇材料(2人分) ブロッコリー300グラム、酒、みりん各大さじ1.5、しょうゆ大さじ1、すりおろしニンニク、すりおろしショウガ各小さじ1、かたくり粉大さじ3、揚げ油、黒コショウ各適量
◇作り方
①ブロッコリーはよく洗い、小房に分ける。ブロッコリーと酒、みりん、しょうゆ、ニンニク、ショウガを保存袋に入れ、全体になじませて冷蔵庫で30~40分置く。
② ①をザルに上げて水気を切る。かたくり粉とともにポリ袋に入れて粉をまぶし、バットに広げて約5分置く。
③低温の揚げ油で揚げ、黒コショウを振ったら完成。
(北海道新聞2024年7月19日掲載)