札幌市中心部の狸小路商店街に面した複合商業施設「moyuk SAPPORO(モユクサッポロ)」内の都市型水族館「AOAO SAPPORO(アオアオサッポロ)」が子ども向けに、夏休みの特別企画を実施しています。「真夏の自由研究ツアー」は水族館の生物たちのえさや人工海水を作るバックヤードを見学できる初めての試みで、世界の水族館の歴史をまとめた巨大年表を作成、自由研究にも役立ちそうな情報を発信しています。
小3~中3対象に〝裏側〟見学
自由研究ツアーは小学3年生から中学3年生が対象。AOAOは海のない札幌市の中心部にあるため、生物たちが生きるのに欠かせない海水は「水と循環のラボ」で人工的に製造しています。食塩は魚用とペンギン用で違う種類のものを使っています。いずれも塩分濃度は3.4%。1度に3トンの海水を作ることのできるタンクが2つあり、投入口に塩を入れるとポンプで水と塩をかき混ぜ、エアを入れて塩を溶かして海水を作ります。
AOAOはスタッフが生物たちのえさを準備したり、水草などを育てたりする、通常の水族館の「裏側」に当たるスペースも、「水の生物のラボ」として、ガラス越しに見ることができます。見学ツアーでは、実際にラボの中に入って間近に見学できます。
ラボに入る時に、外部から病気や汚れを持ち込まないため必ず、くつ底を消毒液に浸して消毒します。ラボでは、生物たちに与えるえさを用意する「調餌(ちょうじ)」や繁殖、健康チェック、調子の悪い生物たちの治療、外部から新たに搬入してきた生物の展示するまでの間の準備などをしています。奥の部屋では、キタイワトビペンギンのえさとなるアジをカットしていました。
ちょうど、水槽で飼育されているヤマトヌマエビとドジョウの給餌の時間になり、スタッフがアカムシをスポイトで水槽に入れました。スタッフは「えさを与える時は、水槽にいるすべての個体が食べているかや、動きがいつもと違う個体がいないか、やせすぎたり太りすぎたりの体型の変化がないか、エラの動きが早くないかなど、生物たちの健康状態を把握するため、いろいろなことを観察しています」と説明しました。
世界の水族館の歩みを巨大年表で紹介
水と循環のラボから水の生物のラボに行くまでの壁面には、世界の水族館の歴史をまとめた長さ約25メートルの巨大年表が登場しました。日本には現在、100以上の水族館があり、①種の保存②教育・環境教育③調査・研究④レクリエーション-という4つの役割を果たしています。各地の水族館がどんな工夫や技術の革新で、これらを実現させてきたかを学ぶことができます。
日本では嘉永6年だった1853年にイギリス・ロンドン動物園内に世界で初めての水族館「フィッシュハウス」が誕生。日本では東京・上野動物園の開園から約半年後の1882年9月20日に、日本初の水族館「うおのぞき(観魚室)」ができたことなどを、社会の動きや北海道の歴史などとともに紹介しています。これらを見学し、AOAOの展示方法などもよく見てみると、自由研究の参考になるかもしれません。
ツアー参加者には、専用のシートが配布され、クイズ形式でAOAOの工夫や秘密を答えたり、見学した時に気づいたことをメモしたりスケッチを描いたりできるようになっています。ツアーが終わると「修了証」にスタンプを押して渡してくれます。
ツアーは8月25日(日)までの毎日、午後3時15分から約30分。入館料のほかに、参加料500円が必要ですが、年間パスを持っている人は無料です。ホームページから事前予約が必要です。
「爬虫類」などの展示や体験プログラムも
また、8月1日(木)からは、2つの特別展が始まります。6階「GREEN ROOM」では、「爬虫類(はちゅうるい)と生命のワンダー展」がスタート。トカゲは、水辺や樹上や陸地などさまざまな環境に順応した多様性に富んだ生物です。企画展では、南米のアマゾン川流域や沼地に生息する「ガイアナカイマントカゲ」など7種類を展示します。
5階「CO-WORKING」では、「エリック・カールと生命のワンダー展」が始まります。パネルに描かれた岩や花、茂みの中に隠れている「はらぺこあおむし」を探しながら、生物の名前を英語と日本語で学ぶことができます。いずれも10月31日(木)までで、入館料のみで見学できます。
5階「CO-WORKING」では午後2時から4時まで、体験プログラム「おさかなぼうしをつくろう!」も実施。小さな子どもでもできる簡単な工作です。8月1日からは、エリック・カールが好んだ手法の貼り絵の体験プログラムに変わります。参加料は300円です。
住所/札幌市中央区南2条西3丁目20 moyuk SAPPORO4~6階 |
営業時間/午前10時~午後10時(最終入館午後9時) |
休館日/なし |
入館料/高校生以上2200円、小中学生1100円、3歳以上200円 |