【中富良野】町内のワイン製造販売「ドメーヌ・レゾン」の白ワイン「中富良野ソーヴィニヨンブラン」が、国内最大規模のワイン品評会「日本ワインコンクール2024」で、最上位の「グランドゴールド賞(GG賞)」に選ばれた。醸造を担当したのは、理想のワイン作りを求めて道外から入社した30代の2人。試行錯誤の成果が実り、快挙に喜びをかみしめている。
国産ブドウのみを使用したワインが対象の同コンクールで、7月26日に発表された。今回は全国161のワイナリーから計941点の応募があり、いずれも過去最多だった。
GG賞は同コンクール20周年を記念し今年創設。 100点満点で審査し、85点以上の金賞ワインの中でも高得点の92点以上となった同社と大分県宇佐市のワイナリーの2本だけが選ばれた。
受賞ワインの醸造を手がけたのは、ドメーヌ・レゾン製造部の若手2人。2023年に入社した野吾隼矢さん(31)は鳥取県のワイナリーで栽培を担当していたが、大好きな品種ソーヴィニヨンがよりよく育つ土地を求めてやってきた。21年に入社した武井翔さん(35)は、異業種で働いていたが、北海道でのワイン作りに関心を持ち、愛知県から移住した。
原材料のブドウは全て自社農場で23年秋に収穫したもの。青草のような若々しい香りの「早摘み」と、濃厚で甘やかな香りの「遅摘み」をブレンドした。これまでの同社の製法よりもじっくり皮や実を果汁に漬け込んで香りを強めた後、タンクで発酵させ、24年4月に瓶詰めした。
野吾さんは「草原を連想させる香りでありながら、甘みやうまみがしっかり乗ったバランスのいい仕上がり」と自信をみせる。今回初めてコンビを組んで造り上げたワインが全国最上位と評価され2人は「周囲の人々のおかげでこの結果につながった」と笑顔を見せる。
富良野市ぶどう果樹研究所の元醸造責任者で、同コンクールの審査員を務めた経験もある、F PLANNING LAB(エフ・プランニング・ラボ、富良野市)代表の高橋克幸さん(54)は「金賞を取ることすら難しいコンクール。外国人も含む審査員に認められ、世界基準のワインと言っても過言ではない」と説明。「富良野の気候が生んだブドウの素晴らしさと、2人の挑戦的な取り組みの結果だ」とたたえる。
受賞ワインは、9月初旬に1本3300円(750ミリリットル入り)で、町内の直営店などで販売を予定している。(川上舞)
(北海道新聞2024年8月3日掲載)