8月27日から9月1日に札幌市内で開催された「第40回アジア競馬会議」に合わせ、同伴する家族や会議の空き時間を活用したい人のために催行された、札幌発着の3つの日帰りツアー「パートナープログラム」。最後は、北海道の食の魅力を体感できるプログラムです。北海道の新鮮な青果や水産物が集まる札幌市中央卸売市場やサッポロビール博物館、ロイズカカオ&チョコレートタウンを訪れます。あわせて立ち寄りたいスポットも紹介します。
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活きのいいネタ、海鮮丼を堪能する「札幌市中央卸売市場」
北海道旅行の1番の目的に「食」を挙げる人も多いでしょう。道都・札幌とその周辺の約230万人の食を支えるとともに、北海道の新鮮な野菜や果物、水産物を全国各地に供給しているのが、札幌市中央卸売市場です。卸売市場の周辺には場外市場が広がり、青果や水産物を販売する小売店や飲食店が並んでいます。
場外市場には10ブロックに約60店が軒を連ねています。青果や水産物は仕入れたてで、目利きの店の人と会話しながら、目当ての品を探すことができ、持ち帰り用の保冷剤も用意され、発送もしてくれます。観光客だけでなく、地元の市民や飲食店も通うだけあって、品質や鮮度は折り紙付き。小売店だけでなく、飲食店も数多く出店しており、鮮度が命の寿司店や海鮮料理の店だけでなく、日本食や中華、ラーメン、カレーなどさまざまな店が並びます。
そんな中でも、水産物販売の「北のグルメ」は指折りの老舗。干物問屋として創業し、今年で76年目を迎えました。1階の「海鮮市場北のグルメ」では、活カニや活ホタテ、ホッケの干物、冷凍の海産物などを販売。1階の一部と2階は「海鮮食堂北のグルメ亭」として、新鮮な魚や貝、カニなどを中心とした料理を提供しています。
一番人気は15種類の魚介類がのった海鮮丼。入荷状況によって変更もありますが、中央には頭付きのボタンエビがどんと鎮座し、周囲を大ぶりに切ったマグロやサーモン、歯ごたえも楽しいホッキやツブ、タラバガニの足などが固めます。店の自慢は、オリジナルのイクラのしょうゆ漬け。大粒のイクラを、ご飯と一緒に食べた時にちょうどいいように、少し濃いめの味付けで仕上げてあります。この丼を食べて、「お土産に」「自家用に」と下の市場で買い求める人も。
ご飯は、ホクレンと共同開発したオリジナルブレンドのあたたかい白米。海鮮の丼に合う粘り具合や甘みになるよう、特AランクかAランクの「ななつぼし」と「ふっくりんこ」をブレンドしています。ご飯の量は、たっぷりの海鮮丼の具材に合わせて多めですが、おいしさにつられて完食する人も多いそうです。
住所/札幌市中央区北11条西22丁目4-1 |
電話番号/011・621・3545 |
北海道の開拓を学び、ビールを味わう「サッポロビール博物館」
食の宝庫・北海道に来たら、ビールやスイーツは、欠かせません。味わうだけでなく、その歴史や製法を学ぶと、よりおいしさが増します。日本国内ビール製造発祥の地の札幌中心部の東側エリア「創成イースト」には、「サッポロビール博物館」があり、見学のプレミアムツアーも開催されています。
サッポロビール博物館は1890年(明治23年)築の麦芽をつくる製麦所だった建物で、「北海道遺産」に認定されています。最初に姿を見せるのはビールの仕込みの際に麦汁を煮沸する「ウォルトパン」。2003年まで実際に使われ、350ミリリットル缶24万本に当たる85キロリットルを仕込むことができます。
展示コーナーでは、醸造所の建設やビールの製造と出荷、ビールの原料へのこだわりなど12のテーマについて、映像やパネル、写真、ビールびんなどの資料とともに解説されています。
ビールの販売が始まった1877年(明治10年)には、ビールの価格は大びん1本16銭。当時、上等の日本酒は1升(1.8リットル)で4銭5厘程度、かけそばが1杯8厘程度だったことを考えると、ビールはいかに高価な飲み物だったかが分かります。
また、実物のホップも展示してあり、容器のふたを開いて匂いをかいでみることもでき、たたみやい草、青草、何かのハーブのようなホップ独特の香りを体感できます。
見学を終えたら、ぜひ1階のスターホールへ。サッポロ黒ラベルやサッポロクラシック、開拓使麦酒などを有料で提供しています。きれいに洗浄したグラスにサーバーからビールを注いでくれます。きちんと泡を切って、一番おいしい状態で出してくれます。
有料のプレミアムツアーに参加すると、サッポロ黒ラベルと開拓使麦酒が各1杯付いており、試飲している間に、家庭でもできるおいしいビールの注ぎ方を教えてくれます。まず、グラスは冷蔵庫に入れ、ビールは5~6時間、4~8度程度に冷やしておきます。ビールは3度注ぎ。まず勢いよく半分ほどを注ぎます。泡が立ちますが、おさまるのを待って、ビールと泡が1対1くらいになったら、大きな泡を立てないようにゆっくりと9割ほどを注ぎ入れます。ビールと泡が6対4くらいになったら、最後にグラスの縁から静かに泡を持ち上げるように注ぎ、泡がグラスの縁より高くなっても入るだけ注ぎます。ビールと泡が7対3というのが、黄金比です。きれいなグラスに上手に注ぐと、飲み終わったグラスには泡の輪がきれいに残ります。
住所/札幌市東区北7条東9丁目サッポロガーデンパーク内 |
電話番号/011・748・1876 |
「カカオ&チョコレート」が詰まったロイズ「タウン」
ロイズカカオ&チョコレートタウンは、前庭にローズガーデンが整備されています。季節ごとにさまざまな種類のバラが咲き誇り、来場者を迎えます。
内部には、ロイズが所有するコロンビアの農園をジオラマで再現。大スクリーンには農園の映像も映し出されています。カカオは果物で、ラグビーボール状の実は「カカオポッド」と呼ばれ、枝だけでなく幹にも直接実り、ロイズの農園では600~650グラムで収穫します。カカオポッドを割って出てくる「パルプ」という果肉の中に含まれている種が「カカオ豆」です。
農園エリアでは、カカオが生産される環境や生育過程、成分などについて、一部展示に触れたり、クイズに答えたりして体験しながら学ぶことができます。
工場体験ゾーンでは、ガラス越しに工場を見学でき、壁に沿って展示されているパネルや展示資料で、カカオ豆の選別や焙煎、液体のカカオマスの製造など、チョコレートの製造工程を学ぶことができます。
プレイエリアでは、ゲームやクイズでチョコレートの製造工程を「おさらい」。手で触れたり、体を動かしたりしながら、大人も子どもも楽しめます。
このほか、横23センチ、縦14センチの大きな板チョコのデコレーション体験や、世界中のチョコレートのパッケージや食器などを集めたコレクションの展示などもあります。
ショップでは200種類以上の焼き菓子や同店限定の「ファームトゥーバー」チョコレートなどを販売。この店限定のソフトクリームも人気です。
住所/当別町ビトエ640-15 |
電話番号/0570・055・612 |
ニシン漁の活気を感じ、洋食と温泉も「銀鱗荘」
食に関心の高い人には、こちらもおすすめです。江戸時代から昭和初期にかけての春、北海道西海岸の日本海沿岸にはニシンの大群が押し寄せ、ニシン漁の大網元は栄華を誇りました。1900年(明治33年)、余市の大網元、猪俣安之丞氏が故郷・越後から招聘した宮大工を使って築造した個人邸宅が銀鱗荘です。
トドマツやセン、タモなどの高級木材を使用、75畳(約120平方メートル)の大広間には幅2軒半(約4・6メートル)の神棚がしつらえられています。その荘厳な屋敷は38年(昭和13年)に石狩湾と小樽の街並みを眺望できる平磯岬の高台に移築されました。旧本館と隣接するグリル銀鱗荘は国の登録有形文化財となっています。また、銀鱗荘は将棋の王位戦や竜王戦の舞台となったことでも知られています。
本館と増築した新館の全17客室に宿泊できるほか、無色透明の温泉をたたえた大浴場と露天風呂は、グリル銀鱗荘の本格フランス料理のランチコース付き日帰り入浴でも利用できます。
住所/小樽市桜1丁目1 |
電話番号/0134・54・7010 |