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2024.09.14

「SAPPORO CIRCLE」でナチュラルワインを楽しむ~札幌市内の飲食店を飲み歩き

小川郁子編集長
小川郁子編集長

 苫小牧生まれ、札幌育ち。ビール、ワイン、日本酒、お酒全般、控えめにいって好きです。食べ物の好き嫌いもほとんどありませんが、ウナギやハモ、アナゴなどニョロっとしたものは苦手です。1996年に北海道新聞入社後は、道内各地や東京で1次産業や政治、行政などを担当しました。2023年5月からTripEat北海道編集長。

 ナチュラルワインを提供している札幌市内の飲食店を巡るスタンプラリー「SAPPORO CIRCLE(サッポロサークル)」が9月8日(日)に開かれ、TripEat北海道の編集部有志で参加しました。専用のグラスを持って店を巡り、ワインとおつまみのセットを楽しむ「はしごワイン」を楽しみました。

イベントキャラクターの「ワイン鹿」が描かれたパンフレットとスタンプカード
イベントキャラクターの「ワイン鹿」が描かれたパンフレットとスタンプカード

 ナチュラルワインを提供する飲食店「日々(にちにち)」の大畑徳真さんが昨年に続き企画し、2回目の開催。参加者は事前に参加料2千円を支払い、グラスやグラスホルダー、スタンプカードなどをもらって、昨年より2店多い28店を巡ります。各店では1000円で、おすすめのナチュラルワイン50ミリリットルとおつまみが提供されます。今年は昨年より100人多い約500人が参加しました。

フランスのオレンジとポテトサラダ
<ハヤシ料理店>

ハヤシ料理店の店舗入り口
最初に訪れたハヤシ料理店

 スタートの午前1時に訪れたのは、札幌市中央区南3条西3丁目のプレイタウンフジ井ビルに入っている「ハヤシ料理店」。同ビルには参加店4店が入居しており、もし混んでいたら別の店に参戦できると見込んで、選択しました。

ハヤシ料理店のオレンジワイン
ハヤシ料理店のオレンジワイン
ユズで香り付けされているハヤシ料理店のポテトサラダ
ユズで香り付けされているポテトサラダ

 1番乗りで入店です。ワインは白、オレンジ、赤から選ぶことができ、オレンジの「オリヴィエカルル カールラナチュールエフォート22」をお願いします。フランス・アルザスのワインです。ほどよい酸のある、くせのない味わいです。おつまみは「合鴨醤油漬けと燻製玉子のポテサラ」。ポテトサラダはなめらかで、ユズで香り付けされています。量もたっぷりめで、合鴨のくんせい、半分に割ったちょうどいい固さの半熟卵も付いていて、ワインをもう1杯ほしいくらいです。でも、まだ1軒目なので、1杯でがまんです。

ハヤシ料理店のスタッフ
ハヤシ料理店のスタッフ

くまコーラとくるみ最中
<micloud>

ミクーで提供されたくまコーラとくるみ最中
ミクーで提供されたくまコーラとくるみ最中

 2店目は同じフロアの「micloud(ミクー)」に水平移動。ワインは5~6種類から選ぶことができ、北海道産で唯一ラインナップしていた、ワイン畑浦本の「くまコーラ ClassyK」をお願いします。「くまコーラ」は、新潟県に移住したフランス人醸造家のジャンマルク・ブリニョさんが北海道のブドウ生産者や醸造家と協力してつくっているワインです。これまで、藤野ワイナリー(札幌市)や山田堂(余市町)でも醸造していますが、今年リリースのClassyKは、余市町の森羅郷の笠井行雄さんが育てたナイアガラを使い、岩見沢市の「ワイン畑浦本」がつくりました。

 お店の人は「今年のくまコーラは炭酸が弱く、泡感少なめです」と説明してくれました。飲んでみるとやや弱めではありますが、十分な発泡感があり、すっきり、おいしくいただきました。

 フードは札幌・北24条の老舗和菓子店「一力」の「くるみ最中」。「ワインのお供に食べても、持ち帰ってもいいですよ」と言われたので、ここは持ち帰ります。

フランスの白と鶏白レバーのコンフィ
<ワイン食堂 幸>

「ワイン食堂 幸」の店舗入り口
3店目のワイン食堂 幸

 3店目は同じビルの8階にある「ワイン食堂 幸(さち)」。ワインは、フランスとイタリアの泡か白、赤5種類の中から選びます。フランス・ロワールの白「ピエール・プレシューズ2019」にしました。同行者はシャンパーニュ。ソーヴィニヨンブランを使った白は、酸味が少なくほんのり甘みがあり、オレンジワインに近いイメージです。

マグナムボトルで提供されたいワインとグラス
マグナムボトルだったので、グラスが小さく見えます
「ワイン食堂 幸(さち)」の鶏白レバーのコンフィ(左)とペンネ
鶏白レバーのコンフィ(左)とペンネ

 フードは、柿の白和えやイナダとカブの煮物など6種類から1つ選択。「鶏白レバーのコンフィとニラのおひたし」と「ラム肉の辛いミートソースペンネ」をもらい、シェアします。鶏白レバーはねっとり、パテのような口当たりで、和だしに漬けたニラがいいアクセントです。ミートソースはゴロゴロと大きめのラム肉がたっぷり。コショウがきき、唐辛子も入っていてしっかり辛みもあり、スパイス感があっておいしい。

 フードはほかに、「タコとカブ菜のおむすび」と「ビスコッティ」があり、こちらはテイクアウトできます。1軒で1杯とおつまみが続くと、まずまずお腹がいっぱいになるので、テイクアウトできるものがあると、うれしいですね。

「ワイン食堂 幸」の吉川幸子さん
ワイン食堂 幸の吉川幸子さん

イタリアのオレンジと野菜のおつまみ盛り合わせ
<炉端 酒 勿ノ論>

「勿ノ論」の店舗入り口
照明を落とした「勿ノ論」の入り口

 ここまでで1時間ほど。1店20分の計算です。4店目はプレイタウンふじ井ビルを離れ、「おしゃれな雰囲気の炉端で、お料理もお酒もおいしい」と聞いて、行ってみたかった「炉端 酒 勿ノ論」(札幌市中央区南3条西4丁目9カミヤビル7階)へ。店内には炉端を囲む大きなカウンターがあり、いい雰囲気です。ワインは泡とオレンジ、赤白各2種類から選ぶことができ、イタリアのオレンジ「ニコリーニ2019」を選択します。華やかな香りで、口に含むとほどよい苦みがあります。

「勿ノ論」で提供されたオレンジワイン
勿ノ論のオレンジワイン
「勿ノ論」の4種類の野菜料理の盛り合わせ
4種類の野菜料理の盛り合わせ

 フードは野菜のおつまみ盛り合わせ。紫キャベツと鶏むね肉のサラダは、ガーリックがきいていて、ワインの進む味。ニンジンのラペにはクミンが入っており、ミカンの甘酸っぱさとよく合います。梨とブルーチーズのヨーグルトマリネは、意外な組み合わせですが、これは、大あり。トウモロコシのチヂミは生地のねっとり感とトウモロコシのプチプチ感で、楽しく食べられます。どれも野菜のおいしさが感じられるおつまみです。

「勿ノ論」のスタッフ
勿ノ論のスタッフ

イタリアの赤とシカのタンのハンバーグ
<poco tannico>

「poco tannico」の店舗ドア
カウンターだけのpoco tannico

 さて、次はどうしましょう。近くで行ったことのないお店を探し、「poco tannico」(札幌市中央区南3条西5丁目三条三松ビル4階)に入ってみます。店内は10数人のカウンターのみ。いつもはいすがあるそうですが、この日はスタンディングになっていました。ワインはイタリアの赤「INCENDIO」。イタリアのサルディーニャ島を代表する赤ワイン用ブドウ「カンノナウ」でつくられているそうです。

「poco tannnico」の赤ワイン
poco tannnicoの赤ワイン
「poco tannnico」の一口大のシカのタンのハンバーグ
一口大のシカのタンのハンバーグ

 フードは、茶色のミートボールのようなものが出されました。なんと、シカのタンのハンバーグ。肉々しいハンバーグの中に、ごろんと粗めのタンのひき肉が入っています。直径4~5センチの小さなかたまりですが、ぎゅっと詰まった肉質で、食べ応えがあります。

「poco tannico」店主の三浦康弘さん
poco tannico店主の三浦康弘さん

スペインの白とポテトサラダやクスクスの盛り合わせ
<ナチュラルワインバー ばんなちゅ>

「ばんなちゅ」の店舗入り口。
ばんなちゅの入り口。ドアを開けてすぐ左の階段を上ります

 これまで初めてのお店を選んで回ってみましたが、次は知っているところにしてみます。「ナチュラルワインバー ばんなちゅ」(札幌市中央区南4条西5丁目)にごあいさつです。ワインはスペイン・カタルーニャの白「パレリャーダ」とフランス・ラングドックの赤「アン・バ・ド・コテ」。

「ばんなちゅ」の白ワインと赤ワイン
ばんなちゅの白ワインと赤ワイン
「ばんなちゅ」のポテトサラダとクスクス、パンの盛り合わせ
ポテトサラダとクスクス、パンの盛り合わせ

 フードは、ガーリック風味のクスクスと大粒のマスタードがかかったポテトサラダに、余市町の「ぱん処」のカシューナッツのパンのスライスが添えられています。ポテトサラダは、ほのかな辛みと甘酸っぱさのあるマスタードにも、クスクスにもよく合います。

「ばんなちゅ」の水島誠さん
ばんなちゅの水島誠さん

イタリアの白とソイの煎り酒和え
<〆のい>

ホテル1階にある「〆のい」の入り口
ホテル1階にある〆のいの入り口

 次は、このまま北上して、「〆のい」(札幌市中央区南1条西6丁目8-1フィーノホテル札幌大通1階)に寄りましょう。チリの赤「Pipeno」にはカモのロースト、イタリア・ロマーニャの白「スペルグレ イル・ファルネート」には煎り酒で和えたソイがペアリングされています。煎り酒は、日本酒に梅干しなどを入れて煮詰めた、室町時代に考案された調味料です。

「〆のい」で出された赤ワインと白ワイン
〆のいで出された赤ワインと白ワイン
「〆のい」のカモのローストとソイの煎り酒和え
カモのローストとソイの煎り酒和え

 煎り酒の素材を活かす優しい味わいが好きなので、それにつられて白をお願いしました。ワインは酸があり、ちょっと固い印象ですが、おつまみは塩分控えめの煎り酒のうまみがきいています。

「〆のい」のスタッフ
〆のいのスタッフ

イタリアのオレンジワインとエルビスサンド
<Tepp’s>

「テップス」の店舗入り口
テップスの入り口。階段を上がってすぐ左側にお店があります

 サッポロサークルは参加店を回ってスタンプを一定数集めると、後日このイベントの参加店で使うことのできる5000円分の食事券が当たります。5店で1口、8店で2口、10店で3口、15店で4口、応募できます。

 今のところ、7店。それなら2口応募できるよう、もう1店行きましょう。狸小路にある「Tepp’s」(テップス、札幌市中央区南3条西7丁目タヌキスクエア)に向かいます。到着すると1組、入店を待っています。今回、初めての並びです。それほど待つことなく入ることができました。

「テップス」のシェフが修行したイタリア・シチリア産のオレンジワイン
シェフが修行したイタリア・シチリア産のオレンジワイン
「テップス」のエルビスサンド
エルビスサンドと合わせます

 ワインはシェフが修行をしたイタリア・シチリア産のオレンジワイン「ルストロ2021」。柑橘系の香りがあり、ミネラルと少しの苦みや渋みが感じられます。おつまみはエルビスサンド。エルビス・プレスリーが愛したとされるピーナツバターとバナナ、ベーコンを具にしたホットサンドです。野生酵母を使ったテップスの自家製パンのおいしさと、甘さとしょっぱさのバランスで、「カロリー高そう」という罪悪感もものともせず、ぱくぱく食べてしまいます。

「テップス」のオーナーシェフ夫妻
テップスのオーナーシェフ夫妻

フランスの赤とマサラ
<道草バザール>

「道草バザール」の店舗入り口
道草バザールの入り口。南6条通から砂利道に入り、さらにその奥に、ひっそりと看板があります

 これで、2口応募の8店を制覇。でも、今回は輸入のナチュラルワインが多く、北海道産の優しい、繊細なワインを「飲みたい欲」が満たされません。日曜も営業している北海道産ワインを飲めるお店…と思案していると、円山の「みち草バザール」(札幌市中央区南6条西22丁目3-56)が思い浮かびました。イベントとは関係なく、北海道産のワインをボトルで注文して飲もうと、地下鉄に乗って、移動です。

 到着するとイベント終了の午後7時を少し過ぎたところ。すると店主の森本健太さんが「実は、アラカルトをやめて、コース料理のみの提供にしているんです」。アラカルト数皿で、ボトルワインを…ともくろんでいたのに、失敗です。でも、「ちょっと時間を過ぎているけど、サッポロサークルのメニューなら出せるので、1杯どうぞ」とフォローしてくれました。

「道草バザール」で提供された赤ワイン
道草バザールで提供された赤ワイン
「道草バザール」のエゾシカ肉のマサラと秋サケのマサラと、後ろは八列トウキビとシケレペ
エゾシカ肉のマサラと秋サケのマサラ。後ろにあるのは八列トウキビとシケレペ

 ワインはガメイを使ったフランス・ロワールの「ヘイ・ガマン!」。軽めですが、ベリー系の香りとタンニンも感じます。おつまみはエゾシカ肉のマサラと秋サケのマサラ。余市町の「ぱん処」と小樽市の「ヨルトノ」の薄くスライスしたパンの上にのせられています。シカ肉のマサラには、八列トウキビとアイヌ民族がスパイスに使ったというシケレペ(キハダの実)が入っており、秋サケのマサラには、せたな町の農園「シゼントトモニイキルコト」の野菜が使われています。辛くはないのですが、スパイスの香りが豊かで、ワインとぴったりです。北海道産ワインは飲めませんでしたが、満足です。

スタッフが来ていたワインサークルの今年のTシャツ(左)と昨年のTシャツ
スタッフが来ていたワインサークルの今年のTシャツ(左)と昨年のTシャツ
ワイン鹿が描かれていたメニュー表
メニュー表にワイン鹿が描かれていた店もありました

 2回目となったサッポロサークル。ワイン好きな人はもちろん、さほどでない人もワインを楽しむきっかけになったことでしょう。また、「行ったことはないけれど、気になる」「入りにくいかな」と思っていた店を訪れるきっかけにもなります。このイベントをきっかけに、「次はおなかをすかせて来てみよう」と、再訪を考えている人も多いでしょう。お店にとっても、参加者にとっても、新しい常連さん、新しい行きつけを見つけられたらいいですね。

小川郁子編集長
小川郁子編集長

 苫小牧生まれ、札幌育ち。ビール、ワイン、日本酒、お酒全般、控えめにいって好きです。食べ物の好き嫌いもほとんどありませんが、ウナギやハモ、アナゴなどニョロっとしたものは苦手です。1996年に北海道新聞入社後は、道内各地や東京で1次産業や政治、行政などを担当しました。2023年5月からTripEat北海道編集長。

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