【浦河】両親が町内で育てる地元特産の夏イチゴの魅力を広めようと、町向別の田岡陽向(ひなた)さん(21)が今夏、キッチンカーでイチゴスイーツ専門店を開業した。9月29日の「うらかわ産業まつり」でも150組以上が訪れる盛況ぶりで、田岡さんは「新鮮なイチゴをうまく加工して、多くの人においしいと言ってもらいたい」と話している。
田岡さんは浦河高卒業後、帯広市内の専門学校から江別市内の会社に就職したが、会社員生活に疲れを感じて休職。自分のやりたい仕事を考え、両親が作るイチゴのPRを仕事にしようと、会社を退職した。
地元の夏イチゴの大半は東京方面に出荷され、ケーキに使われることが多い。父秀幸さんの「熟したとれたてのイチゴを身近な人たちにもっと食べてほしい」という言葉を思い出し、「好きなお菓子作りを生かして両親の役に立ちたい」(田岡さん)と7月に開業した。
両親の支援などを受けて用意したキッチンカーには、「いちご農家の娘です。」という店名を掲げ、札幌市内や日高管内のイベントに出店する。イベントがない土、日曜は道の駅「サラブレッドロード新冠」に出向く。
メニューはイチゴにチョコレートソースをかけた「ストロベリーチョコレート」、牛乳に自家製シロップ、イチゴ、生クリームを入れた「いちごミルク」、「いちご飴(あめ)」など10品ほど。500~1100円で提供したうらかわ産業まつりでは客足が途切れず、「フレッシュな味わい」「甘みと酸味のバランスが良い」などと好評だった。
キッチンカーを始めて3カ月。秀幸さんは「娘のキッチンカーをきっかけに、うちの直販サイトでイチゴを購入する人もいて、助かっている」と話す。田岡さんは「キッチンカーでの営業を地道に続けて、いつかは常設の店舗を持ちたい」と目を輝かせる。
夏イチゴの収穫が終わる11月末以降は、両親が栽培する冬イチゴに切り替えて営業を続ける考えだ。キッチンカーの出店情報は同店のインスタグラム(@strawberryfarmgirl_)で随時発信している。 (和田樹)
(北海道新聞2024年10月2日掲載)