【別海】明治初期に「旧開拓使別海缶詰所」が製造、販売していたサケの缶詰の復刻版が登場した。缶のラベルは146年前、1878年(明治11年)の発売時を再現したデザイン、中身は生の町産秋サケにこだわった商品で、根室管内4市町の観光関係者らで構成する協議会「鮭の聖地メナシネットワーク」が手がけた。
「開拓使別海さけ缶詰」と名付けられた復刻版を考案したのは町の地域おこし協力隊員の近藤信宏さん(63)。「別海は江戸幕府に献上されたほどおいしいサケが取れ、日本で2番目にできた缶詰工場(缶詰所)をPRしたい」と、2年前に町郷土資料館の戸田博史学芸員(54)に相談した。その後、食品会社勤務の経験を生かし、サケの塩分濃度を変えるなど試作を繰り返した。完成品が9月末に納品された。
製造は根室市内の缶詰メーカー「マルユウ」に委託した。近藤さんによると、冷凍品を使うと臭みが出るといい「当日朝に漁獲されたものを加工するので新鮮で味が良い」と仕上がりに納得する。
販売を担うのはNPO法人「別海町文化財ネットワーク」で、11月3日に旧奥行臼駅逓所で開かれるイベントのほか、インターネット販売も計画。町へのふるさと納税の返礼品としても活用したい考えだ。130グラム入り1個650円。問い合わせはメナシネットワーク別海事務局、電話0153・75・0802へ。 (森朱里)
(北海道新聞2024年10月24日掲載)