札幌・ススキノの複合施設「COCONO SUSUKINO(ココノススキノ)」がオープンから1年を迎えます。飲食店のほか、スイーツやそうざいの食品販売店など、各店とも北海道随一の繁華街・ススキノで新たなファンを増やし、根付いています。にぎわう各店のおすすめグルメやこだわりを紹介します。
目次
北海道の食材も活用 米粉のしっとりバウムクーヘン
ring ring
地下1階にある「米粉のバウムクーヘン ring ring(リングリング)」は、北海道産の食材を使った米粉スイーツのお店です。米粉の製造・販売を手がける「SYOKUSAN(しょくさん)」が運営するだけあって、米粉の質にこだわっているのはもちろん、仁木町産リンゴや本別町産ゴボウなどを使ったバウムクーヘンも手がけ、北海道の食材の魅力発信にも力を入れています。
アレルギーの要因となるタンパク質グルテンを含まない「グルテンフリー」の米粉スイーツは、小麦アレルギーの人だけでなく、健康志向の人にも人気で、近年、提供する店も増えています。リングリングが使う米粉は、岩見沢市内の自社工場で製造。北空知地方の指定農家が生産した「きらら397」をその日使う分だけ、浸水させた後、製粉します。製粉前にコメに水分を吸わせることで、一般的な米粉の3~4倍の水分を含んだ米粉を、同社では「生米粉」と呼んでおり、これがバウムクーヘンのしっとりとした口当たりにつながっています。
看板商品は、もちろんバウムクーヘン。トウモロコシを餌にして育てたニワトリからとった鮮やかな黄色の黄身が特徴の栗山町の酒井農場のブランド卵「とうきびたまご」や、北海道産の生乳100%の生クリームを使っています。
1番人気はしっとりと柔らかい「ソフトバウムプレーン」(ホール1600円)。水分をたっぷり含んだ米粉に卵や生クリームを加えた生地は柔らかくたれやすいため、職人が手作業で加減を見ながら焼成します。2番人気の「ハードバウムプレーン」(ホール1700円)は、外側はしっかり焼き固め、中はしっとり。ソフトバウムの2倍の米粉を使っており、米粉そのものの味を楽しめます。それぞれ、食べやすくカットしたスティックや個包装のミニもあります。
バウムクーヘンはプレーンのほか、北海道産の食材をプラスした変わり種もあります。「ソフトバウム国稀」(ホール1800円)は、増毛町の国稀酒造の酒かすを使用。食べると、酒かすの自然の甘さと香りが広がります。板状の酒かすをちぎりながら生地に練り込んでいるため、しっとりとした生地の中に酒かすのつぶ感を感じることができ、食感も豊かさも楽しめます。
仁木町産のリンゴをピューレ状にして生地に加え、果実の優しい甘さと香りのある「ソフトバウム りんご」(ホール1600円)や、本別町の「三井農場」が生産したゴボウをパウダー状にして生地に入れた「ハードバウム ごぼう」(ホール1700円)など、思わぬ組み合わせが、食材とバウムクーヘン双方の新しいおいしさを引き立て合います。秋なら北海道産のサツマイモ紅あずま、夏はトウモロコシなどを使った季節商品もあり、何度も訪れたくなります。
小さいハードバウムの中心の穴に北海道産チーズを使った濃厚なフィリングを詰めて焼いた「チーズインバウム」も人気です。プラムジャムを加えた「チーズインバウム プラム」と「チーズインバウム チョコ」はココノススキノ限定販売です。ジャムはプラムのほか、イチゴやハスカップなどになることもあります。
リングリングは北海道産の食材にこだわるからこそ、「もったいない」の気持ちも大切にしています。お菓子を作る時に余る卵の白身を使ったラングトシャや、バウムクーヘンの端の商品にできない部分を焼いたラスクなども製造し、無駄のないようにしています。
SHOKUSAN本社近くの本店(札幌市中央区南4条西10丁目1005-4)に比べ、ココノではギフト商品の売れ行きがいいそう。カットした小さなバウムクーヘンの個包装5種類をかわいらしいきんちゃく袋に詰め合わせた1500円のセットなどが人気です。SYOKUSAN商品開発部チーフの小野友香さんは「友達同士で飲みに行って、お気に入りのスイーツを交換しあう女性も多く、場所柄、ちょっとかわいくて手頃な手土産が喜ばれているのでは」と話しています。
手作りで本場の味を提供 お得なセットも
韓国バル YOi
4階ココノ横丁の韓国バル「YO-i(ヨイ)」は、ポッサムやサムギョプサルなどの韓国料理をはじめ、付け合わせのキムチや調味料のコチュジャンまで、ほどんどすべてを手作りしています。ランチタイムとディナータイムの間のアイドルタイムも通しで営業し、「ハッピーアワー」として格安で昼飲みできるのも魅力。スタッフのフレンドリーな接客も好評で、味、価格、雰囲気と3拍子そろっています。
スンドゥブチゲ(990円)や海鮮ネギチヂミ(同)、プルコギ(880円)、ヤンニョムチキン(825円)、ロゼトッポギ(880円)など、韓国料理を代表するメニューがずらり。豚肉を柔らかく煮込んだポッサム(990円)などは、店を運営する「四季の旅」(札幌)の鄭眞旭社長の義母が札幌市内のセントラルキッチンで、手作業で下ごしらえ。長いもや白菜などの各種キムチ(各605円)、季節の野菜を使ったナムル、コチュジャンなどの調味料もお母さんの手作りです。
本場の味が自慢で、マネージャーの佐々木忍さんは「日本に旅行に来たものの、日本食があまり口に合わなかったという韓国人の高齢夫妻が、ここの料理を食べて目を輝かせ、元気になって帰っていったこともあります」と話します。
人気メニューのひとつ、サムギョプサル(1650円)は豚バラ肉を一口大に切って、表面をカリッと焼き上げ、甘辛いたれをからめています。熱々の鉄板に載せられ、ジュージューという音と、盛大な湯気とともに運ばれます。キムチやネギ、辛みそと一緒にサンチュで包んで食べると、肉の表面のカリカリ感と脂のジューシーさがたまりません。
エビを使ったセウジャン(1320円)もここでしか味わえない一皿。15センチを超える大きなエビをセントラルキッチンで手むきし、タマネギやレモン、唐辛子などの特製だれに漬け込みます。とろりとした食感と甘さのエビに、キリリとしたタレが絡み、お酒が進みそうです。
店の運営会社が韓国食材の店「シンマート」を経営していることもあり、ビールやソフトドリンク、マッコリ、焼酎などドリンクも韓国のものをとりそろえています。
ランチが終わった午後3時からディナータイムの午後5時までは、知る人ぞ知るお得な2時間。ビールかハイボール1杯と、おまかせおつまみ4品が付いてなんと500円。おつまみは、チャプチェやナムル、キムチ、カットしたチヂミなどで、もちろん手作りです。これだけで、お酒1杯では足りないほどです。
また、この時間帯には、大きなプレートに韓国で流行のフード7品を盛り合わせた「モッパンセット」も提供しています。「モッパン」とは韓国の大食い系動画のことで、韓国では、大食いユーチューバーが食べるチキンやポテトなどを盛り合わせて提供する店が出始めて大流行。ヨイでは、ヤンニョムチキンとフライドポテト、チーズボール、ソトックソットク、キンパ、ポテトにソフトドリンクが付きます。1人前1650円で、2人前から。100円プラスでソフトドリンクをアルコールに変更できます。
店名の「ヨイ」は、「善」と書きます。「食べてヨイ、飲んでヨイ、よ(寄・酔)ってヨイ」にかけたそうです。スタッフはみな、気さくでフレンドリー。「お客さんに楽しんでほしい」との思いで接客しているといい、佐々木さんは「学生のアルバイトにもファンがついて、スタッフ目当てで来店する人もいるほど」と自慢します。「寄ってよかった」と思えるお店です。
お茶やトッピング、選んでオリジナルドリンクを
The TEA
地下1階で、台湾で人気のタピオカやゼリー入りのお茶やドリンクを提供する「The TEA」は、女性を中心にいつもにぎわいをみせています。さっぱりしたお茶やクリーミーなミルク、甘いデザート系など、その日の気分で味や甘さ、トッピングを選ぶことができ、自分だけのオリジナルドリンクを楽しめます。
台湾ではポピュラーで、屋台などどこでも気軽に飲むことができたお茶。台湾出身で、ワーキングホリデーで北海道に滞在していた傅采淋(フーチャイリン)さんが、このお茶が日本にないのをさみしく思っていたところ、スポンサーと巡り会ったのを機に2018年、琴似に1号店をオープンさせました。札幌中心部にも2店目を出店しましたが、昨年9月にココノに集約しました。
まず、基本のお茶を選びます。季節メニューを除くレギュラーメニューだけでも、ティーや豆乳、ミルクティーなど30種類以上。烏龍茶でも、杉林渓(さんりんし)や鉄観音(てっかんのん)があり、「冬瓜レア」や「柚子青」「龍眼蜜青レア」など、見慣れないものもたくさんあります。豆乳も「豆乳アールグレイ紅茶」や「豆乳黒糖抹茶」「豆乳ココア」など種類がいろいろ。さらに、ホットかアイスかを決めます。次に甘さと、氷の量を選択。最後にタピオカか仙草ゼリー、ミルクもち、ナタデココの中からトッピングを選びます。
たくさんありすぎて迷ってしまったので、傅さんに「さっぱりしたものを」とリクエストすると、冷たい鉄観音烏龍茶のミルクティーにミルクもちと仙草ゼリーをトッピングしたものをすすめてくれました。トッピングは80円追加すると2点入れることができます。おすすめの組み合わせを書いたシートもあるので、参考にするといいかもしれません。
鉄観音烏龍茶ミルクティーは甘さ控えめ。ウーロン茶のさわやかさやこくも感じられます。ちょっと吸引力が必要ですが、時々口に入るミルクもちのクリーミーさやなめらかさ、仙草ゼリーのほんのりした甘さと少しの苦みが引き立ちます。サイズは500ミリか700ミリで、かなり大きめですが、トッピングがアクセントになって、飽きずに飲めそうです。
鮮やかなピンク色がかわいらしい「苺ティー」にはナタデココ、「黒糖抹茶ミルク」にはタピオカなど、それぞれおすすめもありますが、好きなものを組み合わせて、自分好みのオリジナルティーを探すのも楽しみのひとつです。
具だくさんの釜めしやシンプルなザンギ 釧路の老舗和食店の味
お菜屋 ふく亭
地下1階に店を構える「お菜屋(おかずや)ふく亭」は釧路に本店を構える和食料理店が運営する唯一のそうざい店。釧路本店は釧路市中心部の繁華街で半世紀以上続く老舗で、釧路名物のザンギやオリジナルのいなりずしなど、地元の人に親しまれている味を、手ごろな価格で届けています。
おすすめは、4種類ある「釜めし」。釜めしは手堅い人気があり、会議や会合の弁当として数十個まとめて注文が入ることも珍しくないとか。
1番人気の五目(850円)は、だしで炊き上げたご飯の上に、メーンの鶏肉がごろり。それを、まるまる1個のホタテ、プリプリのカキ、サケのほぐし身、キラキラのイクラが囲んでいます。このほか、ウズラの卵や栗ものり、錦糸卵とニンジン、青菜が彩りを添えています。耐熱のプラスチックの器に入っており、電子レンジで軽く温めると、ご飯がふわっと軟らかくなり、だしの味わいや素材それぞれのおいしさが引き立ちます。
「牡蠣ほたて」(同)は鶏肉の代わりにカキとホタテが増量され、「鮭いくら」(同)は鶏肉とカキ、ホタテの代わりにサケのほぐし身とイクラがたっぷりと入っています。「鶏照り焼き」(780円)は大ぶりの鶏の照り焼きがのったボリュームたっぷりの一品です。
「絹いなり寿司」(3個入り540円)は、あげを開いて袋の中に酢飯を入れるのではなく、薄味で炊き上げたあげで、酢飯をくるりと巻いています。あげはしっとり、つややかな仕上がりで、ユズの皮で香りと風味が付けられており、上品な味わい。ちょっと小さめで、しょうゆ味は控えめ。優しい甘さがあり、リピーターも多いといいます。
釧路発祥とされる名物料理のひとつ、ザンギも見逃せません。「くしろたんちょう港町ザンギ」はしょうゆベースのたれに漬け込んだ鶏肉に軽く片栗粉をまぶして、からりと揚げています。ニンニクは使っておらず、揚げ物ながら、あっさりと軽め。ごろんと大きめのものが1個130円ですが、5個ほど入ったパックは540円とお得。ニンニクやショウガで風味付けしたり、揚げた後にたれをかけたりと、ソウルフードとしてさまざまなアレンジが全道各地で愛されているザンギですが、ふく亭のザンギは鶏肉のおいしさがシンプルに伝わる「釧路ザンギ基本の味」です。
ほかにも、各735円の「ハンバーグ弁当」や「鶏黒酢炒め弁当」、「釧路ザンギ弁当」や、540円でうどんにおかずが付く「幕の内うどん弁当」や「桜えびかき揚げうどん」、各378円の「かぼちゃサラダ」や「たまごサラダ」、「ポテトサラダ」など、手ごろな価格の弁当やそうざいが並びます。
ふく亭はもともと、釧路市の繁華街・末広地区の和食料理店です。現在は釧路市内のほか、札幌や旭川、富良野、新千歳空港などにもレストランを展開。会議や研修の弁当、冠婚葬祭のオードブルなどの仕出しも手がけ、冷凍弁当の通信販売もしています。道内各地の農水産物の魅力を引き出し、幅広い年代、性別の人に食べやすく、おいしいと感じてもらう味付けが持ち味です。ふく亭外商部長の土井泰雄さんは「ココノススキノのそうざい店は、ふく亭グループの味を知ってもらうアンテナショップのようなもの。すすきのという道内一の繁華街で、多くの人に手にとってもらい、味わってみてほしい」と話しています。
ふく亭では12月18日まで、12月31日に店頭で引き渡す「三段オードブル」(3~4人用1万7000円)や年越しそばや寿司付きの「年越しセット」(1万3500円)、12月23日~1月3日受け取りの「ファミリーオードブル」(3人用6600円)などの予約を受け付けています。
とろっとやわらか食感のたこ焼き 1周年の特別メニューも
風月
4階ココノ横丁にあるお好み焼きの名店「風月」は、1年前のココノススキノオープンと同時に初めてたこ焼きをメーン商品に据え、新たなスタートを切りました。たこ焼きの生地はお好み焼きとはまったく違うレシピで、独自開発。中がとろっと柔らかく、たこ焼きの本場・大阪の人が「地元の味」と太鼓判を押す人気店に成長しています。
風月が目指したのは、表面を揚げ焼きしたカリッとしたタイプではなく、「粉もん」の聖地・大阪の、中がとろっとした柔らかい口当たりのたこ焼き。一般的に大阪では粉1キロに対し、水分3500~4000ミリリットルとされるところを、風月は5000ミリリットル入れています。その分、焼くのに時間がかかり、また焼き上げ後も崩れやすくしぼみやすいという難しさがありますが、中の生地は火が通っているのにとろっとした食感で、だしの味がしっかり感じられるのが特徴です。
「オリジナル」(4個500円、6個700円)や「明太マヨ」(4個580円、6個780円)、だしに漬けて食べる「明石焼風」(同)が人気です。
オープン当初はたこ焼きと海鮮の串焼きがメーンで、風月の看板ともいえるお好み焼きや焼きそばはメニューに入れていませんでした。ところが、やはり「風月なのに、お好み焼きがないなんて」「焼きそばも食べたい」というお客さんも多く、途中からお好み焼き3種類と焼きそば2種類を、メニューに追加。北海道産のホタテとタコ、イカとエビ入りの「超!シーフード玉」(1300円)と「超!シーフード塩焼きそば」(1180円)はココノススキノ店のみの限定メニューです。
平日の午後5時からと、土日祝日のみのお得な「たこハイサワーセット」は、たこ焼きのオリジナル4個と小鉢、ハイボールかサワーが付いて1100円とお得。小鉢はタコキムチや海鮮マリネなどの日替わりで、この日は切り干し大根でした。ドリンクは、プラス100円でサッポロパーフェクトクラシックに、プラス150円でSORACHI 1984に変更できます。
ココノススキノ店オープン1周年を記念して、特別メニュー「九条ねぎマヨたこ焼き」(4個580円、6個780円)を発売します。ソースとマヨネーズをかけたたこ焼きの上には、九条ネギがたっぷり。ネギがたっぷりすぎるのと、たこ焼きが柔らかいのとで、たこ焼きが楕円形に変形するほどです。そこにユズで風味を付けており、たこ焼きのだしの風味がより一層引き立ちます。九条ネギが旬を迎え、甘みが増す冬の間、販売する予定です。
住所/札幌市中央区南4条西4丁目1-1 札幌市営地下鉄南北線すすきの駅5番出口直結 |
営業時間/地下2階~地上2階 午前10時~午後9時、3階ココノフードホール 午前11時~午後11時、4階ココノ横丁 午前11時~翌午前0時 |