カトリック元町教会(函館市元町)が 10月末に改修を終え、今の建物が完成した1923年(大正12年)当時に近い姿になった。函館山側の増築部分を取り除いた。教会裏にあるマリア像をまつったルルドの洞窟へ行き来しやすくなり、この一角の一般公開も始めた。
同教会の起源は1859年(安政6年)に設けられた仮の聖堂で、国内有数の古い歴史がある。今の建物は、1910年(明治43年)築の聖堂が21年の大火に遭った後、焼け残ったれんが壁を補強する形で建てられた。ゴシック様式の荘厳な建築で、鉄筋コンクリート造りの鐘楼や内部の天井のアーチ、ローマ教皇から贈られた祭壇など文化価値が高い。
68年に信者が使う会館を山側に増築し、クリスマス会などに利用していた。2019年に着任した祐川郁生主任司祭が、より多くの巡礼を受け入れたいと考え、ルルドの洞窟への通路を広く確保することにした。5月に着工し、費用は修繕積立金と国の補助を充てた。通路は観光客も休憩できる緑地にする予定。
増築部分の撤去に伴い山側の裏口も復活させ、100年以上前のステンドグラスや、倉庫にあった金属の飾りも活用。鐘楼の外壁も補修した。
同教会の小原雅夫広報部長は「改修で建物の魅力が増した。歴史を紹介する案内も充実させ、教会の価値を広めたい」と話す。(佐藤陽介)
(北海道新聞2024年11月5日掲載)