旭川市の高砂酒造は代表銘柄「国士無双」が来年10月に発売50周年を迎えるのを機に、地場企業とのコラボ商品や記念酒づくりを企画する。第1弾として日本醤油(しょうゆ)工業(旭川)と酒かすを使った鍋つゆを開発し、29日に発売。旭川の老舗2社が協力して酒を飲まない人も楽しめる商品を広め、旭川の醸造文化を盛り上げる。
国士無双は1975年10月に発売。甘口の日本酒が定番だった当時、淡麗辛口を追求し、主力商品に。銘柄は中国の古典「史記」から命名した。「この世に二つとないおいしい酒を造りたい」という意味を込め、中国人観光客にも人気だ。
発売50周年に向け、高砂酒造は国士無双をさらに多くの人に知ってもらおうと、他社と協力した商品開発を複数企画する。第1弾は、ともに旭川の醸造文化を守る日本醤油工業と協力。1年をかけて高砂酒造の酒かすと日本醤油工業のしょうゆを合わせた4倍濃縮の鍋つゆを開発した。
開発過程では「酒かすの風味をしっかり感じつつ、苦手な人でもおいしく食べられるバランスが難しかった」(日本醤油工業の茂木浩介社長)と、4回の試作を重ねた。最終的に内容量のうち3割が酒かすとなり、均一に混ぜるため手作業で酒かすを細かくちぎり製造する手間を加えた。
鍋つゆを企画した高砂酒造の中山仁美さん(33)は「酒かすが入っているので白身魚やお肉にも合うほか、野菜いためなどにも使える」とアピール。国士無双の節目に向け、「日本酒を飲まない人にも高砂酒造を知ってもらえるような商品をつくっていきたい」と今後の企画に力を込める。
日本醤油工業の茂木社長も「今回の商品開発を『醸造のマチ』である旭川を盛り上げることにつなげたい」と語った。
鍋つゆは200ミリリットル入りで540円。高砂酒造の直売店(宮下通17)とオンラインショップ、日本醤油工業の直売店(曙1の1)で販売する。 (鈴木誠)
(北海道新聞2024年11月28日掲載)