【根室】元菓子職人で市内在住の藤田知美さん(54)が、市中心部の常盤町2に根室で珍しいクレープ専門店「クレープハウスゆゆ」を開き、好評だ。結婚後に子育てをしながら趣味として菓子を作り続けるうちに、「元気で働けるのはあと何年だろうか」と人生を見つめ直し開業を決意、50代で新たな挑戦に踏み切った。
店舗はイオン根室店の南西にある小さな平屋の建物。周りに砂利を敷き、花や雑貨を飾った庭を手作りするなどこだわった。屋根付きのベンチもある。
メニューはイチゴのクレープ生クリーム(750円)やバナナ(650円)など。柔らかくもちもちした生地が売りで、クレープには砕いたピスタチオやクッキーを載せる。
藤田さんは根室高を卒業後、大阪の専門学校で菓子作りを学んだ。札幌市の製菓店で菓子職人として3年ほど働き、根室に戻った。結婚後は趣味で菓子作りを続け「見た目もかわいく楽しい気持ちになる」とクレープをよく作った。
出店のきっかけは新型コロナウイルスの感染拡大。社会情勢が不安定になり、先行きを見通せない中で自分のやりたいことに「失敗しても挑戦しよう」と決意。土地を探し、製菓衛生師の資格を取得するなど約1年半かけて準備した。医療事務員として働いた市立根室病院を今年9月末に退職、11月3日に開店した。
根室ではキッチンカーがクレープを売るケースはあるが、専門店は珍しく店頭に行列ができるほど。テイクアウトでもおいしく食べられるように研究を重ねる。藤田さんは「50歳を過ぎても一歩踏み出せた。まずは10年間続けたい。中心市街地の活性化にもつながれば」と意気込む。
不定休。今月は5、7、12、14、15日の正午から営業予定で、それ以降は未定。商品がなくなり次第終了する。詳しくはインスタグラム「クレープハウスゆゆ」へ。 (大井咲乃)
(北海道新聞2024年12月4日掲載)