【根室】市内明郷(あけさと)の「明郷伊藤☆牧場」が、一般消費者向けの牛乳「明郷伊藤☆牧場 低温殺菌のおいしい牛乳」の販売を地元スーパーなどで始めた。一般向けの牛乳を根室市内の牧場が商品化するのは初めてで、牧草自給率100%の同牧場らしい濃厚で甘みのある味を提供するという。
牛乳は、牧場を経営する伊藤畜産(根室市)が自社の設備で製造する。ボトル詰めで180ミリリットル(290円)と800ミリリットル(880円)の2種類。市内のスーパー「マルシェ・デ・キッチン」(大正町1)とコンビニエンスストア「タイエー西浜店」(西浜町3)で今月7日から販売を始めた。
同社は約300頭の乳牛を飼育。牛乳の生産能力は1日最大120リットル。一般向け牛乳はスーパーなどの注文に応じ180ミリリットル換算で最大700本を毎週土曜に販売する。賞味期限は7日間。
同社は2013年から5リットル入りの箱形容器に入れた牛乳を根室市や札幌市などの飲食店や宿泊施設に業務用として販売している。持ち帰りの要望も多かったため今春から容器などを準備し、一般消費者向けの牛乳を8月から自社店舗で先行販売していた。
同牧場の牧草は輸入を使わず全て自給している。育てている牛は海霧のミネラルを含んだ牧草を食べており、生乳の脂肪分は4.2%と高い。本来の味を生かすため牛乳は63度で30分間低温で加熱殺菌処理する。伊藤泰通(やすみち)社長(60)は「脂肪分とタンパク質が高く、濃厚な味わい。今後、扱う店舗を拡大したい」と話す。
道東あさひ農協根室支所によると、市内には2024年度時点で酪農家が68戸ある。伊藤牧場以外の農家は、搾乳した生乳を市外に出荷している。 (先川ひとみ)
(北海道新聞2024年12月16日掲載)